不動産トピックス
今週の一冊
2011.12.19 10:21
家賃滞納問題を正面から
家主破綻
著者 丸山 輝
出版 幻冬社
発行 平成22年8月27日
価格 1200円+税
「子供のころから不動産投資家になることを強く希望していた」という筆者は古物商を皮切りに様々な事業を展開した起業家。バブル崩壊後念願の不動産オーナーとなるも、夢見ていた「不動産投資家」の実態は憧れとはかけ離れた「家主業」だった。
不動産経営は時にさまざまな問題を生起するが、そのなかで最も家主を苦しめるのが家賃滞納であるという。
筆者は家賃滞納問題そのものを「家主業を蝕む暗礁」と呼び、「日本の国力に直結する大きな問題」と位置づける。こう書くといたずらに問題を過大視しているように思えるかもしれないが、本書でも紹介されている家賃滞納事例を読むとその構造的問題がおぼろげながらつかめてくる。愛人契約からクレーマー、刀傷沙汰、孤独死といった事例はいずれもドラマチックだが、多くの不動産オーナーにとってはまさに現実問題。本書は滞納させないノウハウや対処法などと合わせ、多角的な解決を提示する。
著者は平成13年、新たに賃借人保証業務を開業するが、その役員収入は実質ゼロという。「家主業」にとっての生命線であるにも関わらず、これまで大きく報じられることのなかった家賃滞納と正面から向き合った一冊。