不動産トピックス
クローズアップ 遮光・遮熱製品編
2012.01.16 16:12
これまでビルの省エネと言えば、大手不動産会社が所有しているような大規模なビルに実施するもので、中小ビルへの省エネはまだ先と思われていた。しかし、東日本大震災をきっかけに、中小ビルに対する省エネの取り組みが急増した。そうした意味では省エネが本格的に実施された一年であったと言えるだろう。今年もその重要性高まる省エネであるが、今回のクローズアップでは数多く省エネ製品の中から、遮光・遮熱製品を取り上げる。
住友スリーエム 屋外側のガラスへの施工可能
住友スリーエム(東京都世田谷区)は、昨年10月から窓ガラスに貼付することで太陽が発する熱エネルギーを抑制する日射調整フィルム、「3Mスコッチティント ウインドフィルム Nano80SX」の発売を開始している。
内貼り専用の従来製品Nano80と同等の光学特性を有していることに加え、同製品は屋外側のガラス面への使用が可能になったことで、内貼り施工ができない様々な場所へ採用が可能となった。これにより、オフィスや商業施設におけるアトリウムや吹き抜けの天窓など大量のガラスが採用されている箇所や店舗・飲食店の固定式カウンターなどが設置された外壁ガラス、足場の設置が困難な環境での施工を実現する。
同製品の設計施工価格は平米あたり税別1万8000円。
立川ブラインド工業(東京都港区)は、ヨコ型ブラインド「モノコム」の省エネ仕様「モノコム25高遮蔽タイプ」に引き続き、オフィスや学校、公共施設に最適な「モノコム35高遮蔽タイプ」、また「モノタッチ」にも「モノタッチ25・35高遮蔽タイプ」を発売し、高遮蔽タイプを拡充ししている。
「モノコム」および「モノタッチ」の高遮蔽タイプの特徴は、穴なしスラット(羽根)を採用することで優れた遮光性能を実現している点である。通常のヨコ型ブラインドのスラットにはブラインドを昇降させる「昇降コード」を通す穴が開いているが、「高遮蔽タイプ」では穴なしスラットを採用していることから、スラット穴からの光漏れを防止している。また、スラットとスラットの間隔を小さくすることで、スラットを閉じた際の重なりを大きくしており、遮蔽性能の向上を可能としている。
ミナミヒーティングプラン 樹脂二重窓パネルで高い断熱遮熱を実現
設備機器の開発、製造販売を展開しているミナミヒーティングプラン(東京都稲城市)は、樹脂二重窓パネル「まど・りーど」の製造販売を展開している。
樹脂パネル(アクリル、ポリカーボネート)はおよそガラスの5分の1という熱伝導の低さを持ち、既存の窓ガラスとの間に空気層を持たせることで、断熱性と遮熱性をより優れたものにできる。そのため冷暖房を行う際の、窓からのエネルギーロスを50%以上軽減して、空調機のエネルギー消費量を低減することができる。それに伴い、CO2発生量も抑制できる。
外気温が低いと起こる窓ガラスの結露を低減するため、カビの発生などといった悪影響を防止する。また、地震や衝撃があった際に窓ガラスが割れても、ガラス破片の室内への飛散を防ぐ効果もある。ガラスよりはるかに高い強度を持ち、簡単には割れないため、防犯効果も実現する。耐候性を高めたもので、透明性や耐久性に優れているため、10年以上という耐用年数を持つ。
「取り付け取り外しでも大掛かりな工事が不要で、既存サッシを利用できるため、ペアガラスや二重サッシを取り替える際のおよそ半分以下の費用で設置することが可能です。住宅と比較するとビルなどの施設については、複層ガラス窓の普及は低いと感じますが、省エネをはじめとするさまざまな効果を考えると、今後普及を進めていくべきと感じています」(同社代表取締役・村上誠氏)
トーソー オフィス向け省エネブラインドを開発
総合インテリアメーカーであるトーソー(東京都中央区)は昨年10月から、オフィス・施設向け横型ブラインド「スペーシィタッチ25・35」、「グラデーションブラインド」の販売を開始している。
同社はこれまで住宅用インテリアの開発販売が中心であったが、「スペーシィタッチ25・35」はオフィスビルへの導入を前提とした新製品。その特徴は操作コードを下へ引くと自動的にブランインドが降下する「自動降下」が採用されている点にある。さらに操作コードを左右どちらにでも付け替えることが可能であることから、オフィスレイアウトの変更もより容易となった。また、「スペーシィタッチ25・35」とともに販売されている「グラデーションブラインド」は、自然光を効率よく室内に採り入れることを可能としており、省エネに寄与するブラインドとなっている。羽の角度を0・2mmずつ変えることで上部の羽に反射した太陽光が室内の天井を明るく照らすという構造を持つ同製品を導入することで、オフィスフロアの照明に使用されているエネルギーの約34%を削減することを可能としている。
「当社はこれまで住宅用製品が中心でしたが、この度販売した両製品を通じてオフィス市場にも販路を拡大していきたいと考えています。特に『グラデーションブラインド』は清水建設との共同開発の製品となっており、節電・省エネが求められているオフィスビルの消費エネルギー削減に貢献するブラインドとなっております」(営業企画室 販売促進課 広報担当 小高 亜希子氏)
ニチベイ コード穴のない羽根の採用で高遮蔽性能実現
ニチベイ(東京都中央区)は、1月16日に高遮蔽ワンコントロール自動降下ヨコ型ブラインド「ユニタッチ25高遮蔽タイプ」を発売した。
同製品はコードを引くだけでブラインドがゆっくりと降下し、もう一度引けば停止するシンプル操作機能を搭載。ニチベイ独自の昇降コード穴のない25mm幅スラットの採用で高い遮蔽性を実現している。一般スラットに比べ高い日射反射性能を持つ遮蔽スラットや、遮熱スラットにフッ素コートや酸化チタンコートを施した高機能スラットに対応する。これにより一般のブラインド(ユニタッチ25)と比較して、日射遮蔽性能(日射熱取得率)は20%以上向上させるとともに断熱性能(熱抵抗値)も70%以上向上させており、高い省エネ効果を発揮する。