不動産トピックス
今週の一冊
2012.03.19 12:17
構造変化により物流業界にビジネスチャンス
これからは倉庫で儲ける!!物流不動産ビジネスのすすめ
著者:大谷 巌一
出版:日刊工業新聞社
発行:平成24年2月25日
価格:2000円(税抜)
物流業界はグローバル化に伴って3PL(サード・パーティ・ロジスティクス)という新たな業務形態が日本市場を席巻し、倉庫業に大きな変革をもたらした。それでは3PLとはどのようなものか。3PLとは企業の物流部門を第三企業に委託するという契約形態であり、これにより物流業界に参入する新規企業および物流不動産ファンドが日本において大型高機能型物流倉庫の建設を進めた。
本書はこうした業界の構造変化に合わせて物流不動産ビジネスを展開しているイーソーコドットコムの会長を務める大谷巌一氏が物流不動産ビジネスのイロハを詳しく解説する一冊である。
物流不動産ビジネスは、これまで硬直化していた物流業界に風穴を開けた。今までの物流企業は自社倉庫を賃貸することはなかった。そのため、自社で取り扱う荷物量が減れば、 その分収益も減ってしまう。そこで、物流不動産ビジネスでは倉庫を賃貸・売買、時にはマスターリースし、倉庫を借りたいという企業を仲介するという不動産業務を行うことで、物流企業にとってはこれまでの物流業務に加えて不動産収入を得ることができるのだ。
とはいえ、空き倉庫と倉庫を借りたい企業をマッチングさせるのはそう簡単ではない。より優秀な営業マンとなるために必要なこととして、大谷氏は「ITツールを活用して、いかに情報を循環させるか」ということが重要であると説く。このような発想は、不動産業に携わる営業マンにとっても当てはまることだろう。テナントが今何を求めているのか。本書からはこうしたニーズに対して、繊細に反応できるアンテナを常に張ることがリーシングにとっては重要であることを教えられる。