不動産トピックス
クローズアップ 床材編
2012.04.23 10:06
建物内に入ると、必ず触れるのは床材である。必ず使用するものなので使い勝手は非常に重要。単純に歩行ができればいいというものでは決してない。今回紹介する床材は内装材として高い意匠性を確保しながら、施工面や管理面で付加価値の高い床材を集めた。
フォルボ・フロアリングB.V. 屋内に蓄積するホコリの90%は外部から 意匠性を兼備しあ玄関マットで汚れ予防を
ヨーロッパのリノリウムメーカー5社が1928(昭和3)年に合併して誕生したフォルボ・グループ。今年で創業84年を迎え、現在は床材・ベルト・接着剤の三事業部を世界的に展開するグローバル企業である。
その中で床材を扱うのが、オランダに本社を置くフォルボ・フロアリングB.V.だ。平成19年に東京都品川区に日本法人を設立。亜麻仁油等の天然素材を使用した環境配慮型のリノリウム床材を中心に塩ビタイルやタイルカーペット等、床材全般を取り扱っている。
総合床材メーカーである同社が今年から普及に注力しているのが、玄関マット「coral(コーラル)」だ 。
「屋内に蓄積するホコリの90%は靴に付着し、外部から持ち込まれます。そのため、屋内の汚れを抑えるためには、建物入口に玄関マットを設置する必要があります」(同社日本支店 代表 エリック・デグルート氏)
ただし、玄関マットの上を6mほど歩かないとホコリが取れないのだが、日本における一般的な玄関マットはサイズが小さく、機能していないのが実情。また、見た目の色使いも来客者を迎える玄関口にそぐわない。
同製品は従来型の玄関マットの弱点を解消。約80種類のデザインを用意し、玄関マットとは思えない意匠性を実現。さらに、設置場所や用途によってマットの質感を選択できる。
「入口から3つのエリアに分けて用途別に設置するのが理想です。汚れたら掃除するのではなく、汚れを予防することで、メンテナンスコストを大幅に削減することができます」(同氏)
ボード OAフロア対応の天然木突板タイル木材
いまやオフィスビルの標準設備といえるOAフロアだが、そのほとんどがタイルカーペット仕様であり、入居テナントには選択の余地がなかった。そんな中、建材メーカーのボード(東京都新宿区)は、OAフロアに対応した天然木突板タイル床材「ウッドペッカーオフィス2.」を開発。天然木フロアでありながらOAフロアの機能性を有した画期的製品として注目を集めている。
「天然木材は温度や湿度変化によって伸縮するなど、施工技術が非常に難しいため、これまで製品化されませんでした。当社は天然木の弱点である伸縮を極限まで抑えることに成功しました」(同社インテリア2部 部長代理 柳澤 光氏)
同製品の構造は、薄さ0・25mm程度の天然木突板の表面に特殊セラミック塗装を施し、一番下に複合樹脂シートを配して厚みを出している。単板のわずかな伸縮に連動する形で樹脂シートが緩衝材の役割を果たし、木材の過度な伸縮やゆがみ、反りを防いでいるのが特徴。
「既存ビルはタイルカーペットが大半ですが、入居テナントの中にはフローリングを希望される方も多いです。当製品はOAフロアに直接貼ることができ、専用接着剤OAボンドで施工するため、簡単に剥がせ、再施工も可能です。原状回復の責務も果たせます」(柳澤氏)
また、天然木材ならではの優位性も見逃せない。タイルカーペットでは液体をこぼすとシミになり、メンテナンスが大変だが、同製品は汚れやキズに強く、液体をこぼしてもふき取るだけ。また、白カバやカリン等、5種類の木の風合いを選べるのも魅力だ。
ナガイ 釘や接着剤を使わず簡単施工でフローリングに
自然の木材を生かしたオリジナル建材を多数展開するナガイ(長野県飯田市)は、釘や接着剤を使わずに簡単施工が可能なビニールタイル「ジーロックフローリング」を展開している。
従来型の床材はほぼ確実に接着剤を用いて固定していたが、同製品はサネをかみ合わせて固定するため、置くだけで施工できる。張り直しや将来的な撤去の際も手軽に行えるだけでなく、移転時に再利用することも可能だ。
「タイルカーペットや畳などの上に設置するだけで、フローリングの風合いを実現します。接着剤を使わないため、ホルムアルデヒドやVOCといった有害物質の心配がなく、住環境を快適に保つことができます」(同社 インテリア事業部 永井 大嗣氏)
同製品のサイズ規格は厚さ4mm、幅150mm、長さ936mmだが、カッター等で表面のトップレイヤーに切れ目を入れるとサイズ調整が可能。あらゆる場所への施工を実現する。
「施工と加工を個人でできるため、エンドユーザーが購入するケースが多いです。また、床材の厚みが4mmと薄く、既存の床に施工しても違和感は皆無です」(永井氏)
デザインは12種類あるので、事務所や店の雰囲気にあった意匠を選択できるのも魅力。現在は、さらに幅広い建物に導入できるように、更なる色柄の追加を進めている。