不動産トピックス

クローズアップ ドアロック編

2012.07.09 10:48

 防犯カメラや各種のセンサーなどビルを守るセキュリティ用品には様々なものが存在し、多くは現在も進化を遂げている。その発達の過程は侵入者とのいたちごっこであり、根本的な解決には至っていない。しかし、どんなに技術が発展しても防犯の要が「戸締まり」であることには変わりはなく、どんなに高性能な機器を設置したところで戸締まりがなされていなければ意味をなさないのはいうまでもない。今回はビルのセキュリティの原点ともいうべき錠前について紹介。その重要性をあらためて考え直したい。

タキゲン製造 暗証番号ダイヤル組み込んだハンドル
 タキゲン製造(東京都品川区)の「ダイヤルロック平面ハンドル」は、その名のとおり平面ハンドルにダイヤルロックを組み込んだもの。デザインと防犯性を両立させたコンパクトな設計のドアハンドルだ。
 防水ではないため室内での使用が条件となるが、情報盤や通信機器用のラック、配電盤、分電盤、あるいは制御盤などの扉に適した設計で、ビル内のあらゆる場所で活躍しそうだ。ロックは4桁の暗証番号式となっておりダイヤルを合わせれば解錠するため、煩雑になりがちな鍵の管理も不要だ。通常の鍵を使って解錠することも可能で、暗証番号の失念や災害などの非常時にも対応している。また暗証番号はレバー操作のみで簡単に変更することが可能となっており、防犯性を高めている。
 ハンドルは耐久性と軽量性に優れたガラス繊維強化樹脂製で、強度も充分。厚さ0・8~2・3mmの板に取り付け可能だ。

オプナス 鍵交換の煩雑さを解消
 賃貸ビルではテナントの入居・退去の度に鍵を交換するのが当然だが、手間や管理の煩雑さなどオーナーにとって相応の負担がかかる。オプナス(東京都千代田区)が展開する「メモリス」は、錠前交換不要で鍵のチェンジが出来るシステムだ。住宅はもちろんオフィスはもちろんでも活躍しそうだ。
 交換も簡便。鍵は「子鍵」「チェンジキー」「マスターキー」の3種類が用意されており、テナントは子鍵を使用する。テナントが退去したら鍵穴にチェンジキーを指し込み、右に180度回転させて引き抜く。これで鍵がリセットされ、以前の子鍵は使用できなくなる。次に新しい子鍵を指し込み、左に180度回転させて引き抜くだけで鍵の交換は完了するという仕組み。ピッキング対策も施されているなど通常の鍵と同等の防犯性能も備えている。
 さらに施錠したかどうかを確認できるシステムもオプションで用意されている。「施開錠状態表示キー『アイズ』」は鍵に小窓が付いており、施錠するとオレンジ色、開錠すると黒色が表示される。玄関から侵入する空き巣のほとんどが無施錠のドアから入っているというデータもある。確実な施錠こそ最大の防犯対策ということをあらためて思いおこさせる。

シーズンテック 世界初・暗証番号が毎日自動変更
 シーズンテック(名古屋市緑区)がこの度発売した「マネージメント・ロック」は世界初の「自動で毎日、暗証番号が変わる電気錠」だ。同社はこれまでにも既存ドアに穴あけや配線工事不要で取り付けられる「シリンダーICロック」などを開発してきたが、マネージメント・ロックはこの機能をほぼそのまま受け継いでいる。
 もともと賃貸物件における空室の鍵の管理用として開発されたもので、暗証番号式としたのもそのため。仲介業者が空室を案内する際、不安要素となるのが鍵の受け渡しだ。マネージメント・ロックは5桁の暗証番号を毎日自動的に変更させることでこの不安を解消しただけでなく、シリンダーICロックから受け継いだ入退室管理機能と組み合わせることでどの仲介業者がいつ案内したのか、また制約に繋がったのか否かといったデータを得ることも可能だ。入居が決まったら「入居モード」に切り換えれば暗証番号は固定されるため、入居者がそのまま使用することもできる。時間ごとに区切って暗証番号を発行することもでき、貸会議室などとしての使用にも対応している。
 暗証番号の管理は専用ソフトを用いてパソコン上で行うほか、アンドロイドOSのスマートフォンからも可能。暗証番号以外にもICカードやお財布機能のついた携帯電話、もちろん既存の鍵でも解錠は可能。電池式のため配線工事も不要で、電池切れの際は外側から電池を繋ぐことで起動するのもシリンダーICロックゆずり。
 同社推進部長の箕島浩氏は「空室の管理を簡単・確実にとの目的から開発しましたが、あらゆるシーンでの使用が可能です。取り付けコストも低廉に抑えることができ、まさに賃貸ビルに適したシステムです」と話している。

堀商店 建築トレンドの変化に合わせ小型化
 オフィスビルに使用される電気錠には、防犯性能だけでなく、高い使用頻度に対応する為、特に耐久性が要求され、災害時に対する機能など緊急対応性も必要とされている。更に機密保持を維持する為、入退室管理の機能も必要とされている。また昨今ではデザインにこだわるビルも多く、ガラス張りの扉なども広く採用されている。こうした扉に錠を取り付ける場合、取り付け可能な箇所は框(かまち=枠)に限られる。堀商店(東京都港区)の「8100シリーズ」は必要な機能はそのまま、サイズを小型化してスリムな框への取り付けを可能にした電気錠だ。
 取り付けに必要な奥行は95mm以上。これまでアンチパニック機能付き電気錠の多くが120mm前後の奥行を必要としていたのに対して約25mmのスリム化を実現した。耐久性も高く、開閉回数100万回以上でも機能に支障はないという。ラインアップは、通電時解錠型の8100、瞬時通電施解錠繰返型の8101、通電時施錠型の8102の3タイプを用意している。
 同社営業部の渡辺部長は「錠前の機能を確実に発揮させるためには、錠そのものと同じくらい周辺環境に気を配る必要があります。特にヒンジなど開閉時に作動する部分は耐久性も求められます」と、錠前に付随する機器の重要性を話す。同社でも耐久性に優れた通電金具を開発中といい、完成すれば電気錠の信頼度はさらに高まりそうだ。




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