不動産トピックス

ビルオーナーのための建築・設備最新情報

2012.08.13 16:04

岡村製作所 天井に固定しないハイパーティション
 ハイパーティションは、室内を床から天井まで仕切る間仕切りとしてオフィスなどで多用されているが、災害に対する意外な弱さもある。例えば強度が不足している天井に取り付けられていた場合、震度5弱~6強程度の地震によりハイパーティションと天井が地震の力を伝え合うことで両者ともに変形や破損の恐れがあり、また最悪の場合天井の落下・崩落という事例も報告されているという。地震発生時、様々な機器や什器が充満するオフィス内で天井やハイパーティションが落下・崩落すれば、直接的な人的被害のみならず避難路の閉塞などにもつながりかねない。
 岡村製作所(横浜市西区)がこのほど発売した「Swillow(スウィロー)」は、天井非固定型のハイパーティションだ。一般的なハイパーティションはパネル上部をビスなどで天井に固定するが、これでは天井とハイパーティションが一体化してしまい、地震の際などにはハイパーティションの重量を天井も負担することになる。揺れを支えきれなくなった天井が落下・崩落するのはこのためだが、「Swillow」は天井に固定しないため揺れによる相互の影響を最小限に抑えている。
 天井へは内蔵されたダンパーにより圧接されており、垂直方向の揺れに対してはプラスマイナス10cm程度の上下動を吸収する。横揺れに対しては、天井とハイパーティションの圧接部が滑るため揺れが影響しあうこともない。天井に固定しなくても、天井への圧接や横連結を強化するパネル内補強により、従来型のハイパーティションと同等の強度・遮音性を確保している。
 また天井の補強が不要になるため工期・コストの削減にもつながる。従来は天井裏の設備によっては取り付けられない場合もあったがその懸念もない。室内レイアウトの変更も容易になり、これまでの概念を覆す可能性をもった製品といえるだろう。

エーアンドエー 熱環境をシミュレーションする最新ソフト
 快適な建築物を設計するにあたっては、間取りの使いやすさはもちろん熱環境まで考慮しなければならない。ことに昨今、夏季の熱さは環境温暖化やヒートアイランドなどにより一層厳しさを増している。エーアンドエー(東京都千代田区)の熱環境デザインツール「ThermoRender4Pro」は、屋外熱環境と屋内熱負荷計算を併せ持った屋内外統合熱環境シミュレーションツールだ。
 CADの一種である「Vectorworks」をプラットフォームとし、ビルはもちろん戸建住宅から街区規模まで幅広いシミュレーションが可能。ヒートアイランド現象や、生活環境に影響を与える建物や地表面の表面温度を算出し、ビジュアル化して表現。MRT(平均放射温度)やHIP(ヒートアイランドポテンシャル)の算出、建物の熱量負荷計算やCO2排出量の計算も行える。
 今回のバージョンでは熱環境デザインをさらにサポートする新機能を搭載している。体感温度に近い、日射を考慮した平均放射温度の算出、さらに屋内緑化や壁面緑化の有無による効果の可視化が可能となり、モデリングの省略やプレゼンテーションの確実性向上にも貢献できる。熱環境が建物に与える影響のシミュレーションは、今後さらに重要になってくるだろう。

LIXIL 洗面台は使いやすく清潔に
 昨今、オフィスや商業施設など多くの人が利用する施設の洗面所では、化粧直しなどを快適に行える空間づくりが求められている。LIXIL(東京都千代田区)が独自に行った調査によると、現在の洗面空間に対して「荷物の置き場がない」「カウンターが水で汚れている」といった不満の声が多くあったという。
 同社が販売する「ノセルカウンター スラント」は、こうした声に応えるべく開発された洗面台。洗面カウンター上部には段差をつけてドライエリアとし、荷物置き場として使用できるほか、本体前面に傾斜をつけることで足下にスペースを設け、キャリーバッグを置ける空間を確保した。さらにカウンターの縁は傘をかけられる形状にするなど充実した荷物置き場を実現している。また足下にゆとりをもたせたことで足先が洗面台に当たることも無くなり、一連の動作もよりしやすくなっている。
 カウンターの水濡れ軽減にも配慮している。一般的な洗面台は洗面ボウルよりも蛇口が上にあるため、手洗い時などにどうしても水が飛び散る。「ノセルカウンター スラント」ではゆとりのあるボウル形状にし、ボウル内に吐水部を設けることで水はねや飛び散りを軽減。カウンターに傾斜がつけられているため水が溜まりにくく、掃除も楽にできる。
 デザインもシンプルだ。洗面ボウルとカウンター、上部のドライエリアまでを一体成型としたことで主張を抑え、あらゆる建築に調和するデザインとなっている。一体成型としたことで清掃もしやすくなり、また石鹸水の補充は前板を開けるだけ。立ったまま補充が可能なため、メンテンス性も向上している。
 サイズは奥行550mmと同じく450mmの2タイプをラインアップ。間口は1465~2210mmまでに対応している。

TOTO コンパクトなバリアフリートイレ
 ビルのバリアフリーに努めるのはビルオーナーの役割。法律や条例の施行とともに普及もすすんできたが、まだまだ手をかけられるところは意外と多い。昨年、TOTO(北九州市小倉北区)が車椅子を使用している204名を対象に実施したアンケートでは、約7割が「多機能トイレが不足している」と回答。また大規模な施設以外のコンビニエンスストアやレストラン、ファーストフード店などへの設置を希望する声も多く寄せられたという。
 こうした結果を受け、同社では東洋大学教授・高橋儀平氏と共同研究を実施。小規模施設や既存のトイレの改修など、トイレ空間に寸法上の制約がある施設にも車椅子対応トイレを設置しやすくするため省スペース化に取り組んだ。その結果、いわゆるバリアフリー法のガイドラインなどで標準とされている2㎡より小さい空間でも多くの車椅子使用者が利用できることが確認された。
 このほど発売された「コンパクト多機能トイレパック」は前述の研究に基づき開発されたもの。車椅子利用者などに必要な器具類がコンパクトにパッケージ化されており、汚物流し設置プランの内寸は180cm×190cm。多様な利用者に配慮した器具を最適なレイアウトかつ最小限の設置寸法でパッケージ化した。またロータンク式のため、一般住宅なみの給水環境でも設置可能となっている。




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