不動産トピックス

今週の一冊

2012.08.13 16:01

資産全体の最適化を促す新たな資産管理術

プロの総合資産コンサルティング 未来設計の税務手法
著者:鷹野 保雄
出版:ぎょうせい
発行:平成23年7月31日
価格:2476円(税抜)

 土地や家屋、預金、有価証券、不動産などの資産をどのような割合で保持し、運用すれば有効に資産活用ができるのか、資産家にとって悩ましい問題であるが、資産の最適配置を実現するには専門家の力を借りないと難しい。そこで、注目されるのが「総合資産コンサルティング」である。
 だが、資産家の周囲には弁護士や税理士等、様々な分野に精通した専門家が常に存在するはずで、彼らを起用すれば問題ないのでは?と疑問に思われる方も多いだろう。しかし、従来通りの専門家は法務・税務・資産運用といった自分のジャンルに関しては臨機応変に対応できるが、資産全体の現状を分析し、将来的なリスクを抽出し、その改善案を提案してくれることはほぼ稀だ。
 本書は相続税対策、固定資産対策など、個別事例を紹介するノウハウ本とは一線を画し、基本となる法人税、所得税、相続税の国税三法について基本構造、考え方の違いと相互関連性を学び、実務にどのように生かすかを追求。単なる資産保全にとどまらない、時代に即応した新しい資産コンサルの視点で解説する。
 税理士やファイナンシャルプランナー、コンサルタントを対象に「プロの総合資産コンサルタント」育成を目的にした参考書といった趣きが強いが、新たな視点で自らの資産管理を見つめ直すきっかけとして、資産家が一読する意義は十分にある。




週刊不動産経営編集部  YouTube