不動産トピックス

クローズアップ 防災対策編

2012.08.13 15:57

 ビルの耐震性能を強化することはもちろん欠かせないが、万が一の緊急時における帰宅困難者への対応やBCP支援など、テナントからのニーズが高まっているため、いかにして室内の防災対策を行うかが重要だといえるだろう。今回は室内の防災対策に寄与する様々な製品を取り上げる。

テレネット オフィス什器の転倒防止材を設置する耐震固定サービスを展開
 テレネット(長野県飯田市)は、緊急地震速報を受信する端末の製造・販売および防災コンサルティング業務を中心に事業を行っている。同社では、新たなサービスとして事務機器・設備機器や複合機などの転倒防止材を取り扱うメーカーと提携し、同社ブランドによる転倒防止材を設置する耐震固定サービスを8月下旬からの展開を目指しているという。
 「当社では、これまで緊急地震速報受信端末の導入支援をはじめ、安否確認メールの一斉送信など、オフィスワーカーが安心・安全に働けるシステム作りを提案していましたが、更なる安全性の強化を目的に、室内空間の防災性能を高める新たなサービスとして追加し、総合的な震災対策をワンストップで提供できるようにしていきたいと考えています」(代表取締役社長 青山 貴子氏)
 なお、耐震固定サービスは、オフィスはもちろん、マンションや工場などの施設も対象予定。オフィス什器の耐震固定では現場調査に取り組んで見積書の提出するほか、工場の特殊設備においても構造計算を実施してカスタマイズすることとなっている。
 「大地震の発生に対応するべく、平成21年6月1日から消防法が改正いたしました。防災管理に係る消防計画の作成届出を行う際に事務機器・設備機器固定等の被害軽減措置が明記されているので、設置場所やコストに合わせた地震対策を施す必要性を有しております」(同氏)

ダイドードリンコ 高性能バッテリーを搭載し停電時に効果を発揮
 ダイドードリンコ(大阪市北区)は、良き企業市民としての社会的責任を果たすべく、災害救援ベンダーを展開している。災害などで停電になった場合でも専用キーによる人的操作で非常用電源に切り替え、自動販売機庫内の飲料を提供することができ、救援物資到着までの間、生命維持の危険を低減させることを実現している。
 その他にも、同社のオリジナル企画として、HYUNDAI ITとともに自販機併設型デジタルサイネージボックスを共同開発。空き缶入れ上部のスペースの有効活用や高性能バッテリーを搭載したことで停電時にも優れた効果を発揮することが可能だという。
 「デジタルサイネージのモニター画面から緊急地震速報や津波情報など災害情報を流すことができるほか、ニュースや自治体情報などをリアルタイムでの配信を実現しています。また、自社広告はもちろん、他社に広告の場として提供することで、新たな収益源として確保することが可能です」(東京営業部 東京オフィス 営業開発担当 本名 康高氏)
 なお、飲料水や非常食が入ったエレベーター用防災備蓄ボックスや津波対策になるライフジャケット収納型デジタルサイネージボックスのオレンジボックスの設置も推奨。オフィス空間に設けることで、地震・天災・停電などの不測事態に対応することができる。また、同社考案のオリジナル倉庫として防災備蓄品のストック量の変更の際にスペースに合わせてサイズを変えられるエクステンションシステムストッカーなどもラインアップしている。

キングジム 消灯時や停電時に6~8時間ほどの発行が可能
 キングジム(東京都千代田区)はあらゆる業種をラベルでサポートするラベルライターの「テプラ」など、主にオフィス・家庭用の文具を製造・販売。
 中でも「テプラ」PROシリーズは、色・幅・機能など用途に合わせた豊富な種類のテープカートリッジで業務をバックアップしている。平成23年9月からは明るい環境で光を蓄えることで消灯時や停電時に6~8時間ほどの発光が続く高機能テープ「テプラPROテープ 蓄光ラベル」の展開も始めた。
 同製品はエルティーアイ(京都市右京区)が販売している高輝度蓄光テープ「α―FLASH(通称ある・ふら)」をベースに「テプラ」で印字ができるように加工を施している。テープの幅は12mm、18mm、24mm、36mmの4種類を用意し、巻長さ1・5mの製品で、JIS規格の約4倍の輝度性能を有し、高輝度蓄光式誘導標識の輝度基準をクリアしている。
 「太陽光、蛍光灯、白熱光などの光を吸収し、暗闇で明るく光る蓄光材を採用しているため、急な停電時でもラベルを認識できます。電気のスイッチ、ヘルメット、懐中電灯、消火器、非常口、危険物などに作成したラベルを貼っておくことでいざという時の避難誘導を補助します。なお、蓄光材にはセラミックが含まれていることもあり、『テプラ』本体のカッターを使用せずに市販のハサミなどでカットしてください」(広報室 リーダー 藤本 実生氏)

ボネックス 箱ごと入れる消火用具を新たに開発
 ボネックス(東京都千代田区)は、投げるだけで消火することができる「投げ消すサット119エコ」をはじめとした、新しいタイプの消火用具、設備、消火薬剤の開発および製造・販売を行っている。
 今年の2月から箱ごと入れる消火用具の「フライヤーサット」を新展開。同製品は、火のついた揚げ物用フライヤーなどに対して、そのまま入れるだけという簡単な使用方法に加え、シンプルな構造であることによる小型化(5・5cmの立方体)・低価格化を実現。特別に調合された消火薬剤入りの同製品1セット(4個)で油量12リットルまでの揚げ物油火災の初期消火が可能となっている。
 「当製品の一番の特徴は、浮かびながら消火していくことであり、現在、特許を申請中です。また、使用している薬剤は人体や環境にも無害なため製品を利用した後でも営業再開まで時間を要してしまうようなことがないほか、消火後は冷まして可燃ゴミとして捨てられるので後片づけが容易になっております」(代表取締役社長 苅谷 公司氏)
 なお、同製品は既に給食センター(事業所・病院・学校)やファストフード・レストランの飲食店などに採用実績を多数有しているという。




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