不動産トピックス

クローズアップ 特殊メンテナンス編

2012.08.27 17:26

 経年劣化はビルの常。避けられるものではないが、適切な管理運営により劣化を遅らせたり、あるいは新技術により往時の性能を再び取り戻すことも可能になった。今回はビルにまつわる様々なメンテナンス技術を紹介する。

エコテック エアコンの性能が潤滑剤で蘇る
 ビル内で使用されるエネルギーのうち最も多くを占めるといわれている空調関連機器は、設備の更新、運用改善ともに大きな効果を生むのは明白だ。毎年新しい技術を採用した製品が登場し、新たな製品に更新するだけでも一定以上の節電効果が見込めるといわれているが、まだ寿命がきていない機器を更新するのもためらわれる。一方で昨年来注目が高まっている運用改善による節電も、早くも手法が出尽くした感が否めない。こうしたなか発表された「エネデュース」は、空調機の経年劣化と消費電力を抑える一種の潤滑油。コンプレッサーに注入することで性能を蘇らせるという。
 一般的に電気を使用する製品は経年劣化とともに消費電力が増加していくが、エアコンもその例に漏れない。エアコンにおける増加割合は毎年4~5%といわれているが、設置後10年を過ぎるころから急激に増加し始める。その主な原因は空調の心臓部にあたるコンプレッサーの劣化だ。コンプレッサー内の潤滑油に「エネデュース」を添加することで、コンプレッサーの性能が甦るのだという。
 具体的には「エネデュース」に含まれる金属表面修復剤が長年の運転による磨耗ではがれた金属面を再結晶化させて圧縮効率をスムーズにし、「設定温度に達するまでの時間」を短縮することで省電力化につなげるというもの。電力使用量の削減効果は3~6年間使用した空調機で5%~15%、6~9年間の空調機では10%~25%という数字がでており、室外機の振動やノイズを低下させる効果や空調機器の寿命を延長させる効果も期待できるという。設備にもよるが数万円以内で施工できるため、早期の償却も可能だ。
 東京・大手町のパルビル(プロミス本社)で15・2%、太陽テクノリサーチ(石川県白山市)本社ビルでは8%、レオパレスが運営する集合住宅では計36・8%という節電を実現しているという。「エネデュース」による効果を保証する制度も用意されており、安心して導入できそうだ。

太陽光サポートセンター 「メンテナンスフリー」という言葉にご用心 太陽光の性能フルに引き出すメンテは必須
 ソーラーパネルの導入が拡がる一方、様々な課題が表面化しつつある。その一つがパネルの不具合だが、小出力のシステムは不具合発生を知らせる機構を備えていないものが多く、仮に発電量が低下しても天候によるものか不具合によるものかの判断をすることができない。太陽光サポートセンター(東京都港区)の「太陽光メンテナンス代行サービス」は、この問題を解決する可能性のあるサービスだ。
 多くのソーラーパネルメーカーがメンテナンスフリーを掲げているが、不具合が全く発生しないことはありえない。「太陽光メンテナンス代行サービス」が実施するのは、設置状況や接続状況などの点検、専用の計測機器「IVカーブトレーサー」を用いた発電出力計測、高圧洗浄機を用いたモジュールの表面洗浄、発電データのチェックおよび管理、コールセンターでの電話対応など。契約は10年で、新設から6カ月以内の太陽光発電システムが対象となる。一般住宅用のほか集合住宅用のメニューもあり、大規模設備に関しては別途見積となる。
 同社が実施するサービスは太陽光発電システムの販売店や施工会社に代わってメンテナンスを行うもので、あくまで販売店などの代行という位置づけ。オーナーから直接メンテナンス依頼は受け付けていないが、それでも問合せは急増中という。同社事業部長の野村次生氏は「まずはソーラーパネルもメンテナンスが有効であることを知っていただきたい」と話し、導入を呼びかけている。

オプス ビルの印象左右する外壁の美観維持 足場不要のロープ作業で低コスト高効果
 オプス(仙台市青葉区)が展開する「SKET(スケット)」は、高いロープ技術を駆使した特殊清掃やあらゆる高所作業、ダクト清掃のエキスパートチームだ。
 一般的にビル外壁の修繕や洗浄には足場架設が必要で、コストも高額となる。「SKET」は、窓ガラス清掃などで行われているロープ作業技術をさまざまなジャンルに応用。足場架設というコスト面だけでなく、小まめな調査、修繕を行うことで保全の必要な箇所を早期に発見し、ビルのライフサイクルコスト低減を可能にする。同社では外壁クリーニングもビルの診断の一環と考え、地上からは見えない部分まで実施しているという。
 「SKET」は外壁清掃・洗浄および調査・診断、鳥害対策、剥落防止のための養生といった外壁・高所作業全般。さらに厨房の排気ダクトや空調機の清掃、さらにはサイロの内部清掃まで、あらゆる箇所に対応している。同社代表の菅原俊樹氏も「顧客密着のメンテナンス会社でありたいと考えています」と話す。まさにビルの再生に直結する技術と言えるだろう。




週刊不動産経営編集部  YouTube