不動産トピックス

今週の一冊

2013.02.11 17:00

不動産屋は笑顔のウラで何を考えているのか?
著者:大石 健右
発行:平成24年9月10日
出版:幻冬舎メディアコンサルティング
価格:1400円(税別)

 バブル期の土地コロガシなどの印象から不動産流通業界は長らく「ブラックな業界」と、一般の方に認識されていたが「現在も不動産流通業界は『ブラック』だ」というのが、本書が読者に伝えたい趣旨である。ただ、ここでいう「ブラック」とは反社会的という意味ではなく、不動産業界の取引慣習等がエンドユーザーには把握できないところで決められている「ブラックボックス化」が問題だと指摘しているのだ。
 本書に頻繁に出てくる「担ボー」や「ヌキ」といった言葉。これらは不動産流通業界における隠語であり、不動産の購入を希望するエンドユーザーの利益ではなく、業者側の都合を重視する業界であることがわかる「キーワード」でもある。
 著者は長年、大手マンション会社や不動産建設会社に身を置き、不動産流通業界のオモテとウラを知り尽くした人物。その豊富な現場経験から本書は、不動産流通業界に根強く残るエンドユーザーには理解できない商習慣を「暴露」する過激な内容がふんだんに盛り込まれ、そうした業界の常識を打破し、ユーザー重視の業界を目指す著者の取り組みも紹介する。
 インターネットの発達により、いまやビルオーナーよりもテナントのほうが情報に精通しているといわれるが、本書のような暴露本が普及するような現在、これまでの不動産業界主体の商慣習は、もはやエンドユーザーに筒抜けとなっていると知るべきだ。不動産業界全体のイメージアップのためにも顧客満足度を追求していく必要があるのではないだろうか。




週刊不動産経営編集部  YouTube