不動産トピックス
クローズアップ 浄水器編
2013.02.11 16:58
東日本大震災以降、水の安全性について関心が高まりオフィス内に浄水器を設置するケースも増えてきた。浄水器もまた、テナント満足度を高められる設備といえるだろう。今回、設置型からレンタル型など、さまざまな浄水器を紹介する。
ドリテック 簡単に浄水が作れるタンク型浄水器
ドリテック(埼玉県越谷市)は、ペットボトルなどの空き容器に簡単に浄水が作れるタンク型浄水器「アクアリアWF―101」と交換用浄水カートリッジ「WK―201」「WK―202」を2月上旬より発売する。
タンク型浄水器はペットボトルなどの空き容器にセットするだけで、簡単に浄水が作れる。付属のアタッチメントを使うことにより、コップや冷水筒・やかん・電気ケトルなどに直接浄水器をセットすることが可能となっている。
ペットボトルに浄水した水を入れて持ち歩けば、外出先でもおいしい水を飲むことができ、市販の水を購入するよりも経済的で、ゴミの削減にも繋がる。
浄水カートリッジは安心の日本製で、塩素やトリハロメタンなど10項目の物質を除去。浄水タンクの容量は1・0リットルで、フタにカートリッジ交換時期の目安がわかるカウンターが付いている。
マルチピュアジャパン 80種類の有害物質を除去
平成14年度設立のマルチピュアジャパン(東京都杉並区)。同社は、世界で最も厳しい第三者試験認証機関NSFから世界トップクラスの性能認証(NSFマーク)を取得した高性能浄水器を輸入販売している。
同社が販売する浄水器は80種類以上の有害物質を除去することが出来る。さらに、放射性物質であるヨウ素、セシウムなども軽減し、震災後、原発事故の影響もあり水の安全性を考える人が増えたため、問い合わせは通常の倍以上となったという。
中でも、レンタル専用の「MP880SC」に人気が集まっている。シンクの上に設置するカウンタートップの浄水器で、設置にかかる手間はほぼゼロ。年1回を目安に交換するカートリッジは無料となっている。同製品は月額2800円で使用することができるため、1日あたりのコストは100円以下と費用をおさえられる。子どもを抱える家庭の他、保育施設や飲食店などでも多く使用されており、愛飲者からは「浄水器では除去できないと言われているセシウムを除去できることに驚いた」、「カルキ臭さが全くなく、美味しく飲める」などの感想が寄せられている。
代表取締役兼CEOの高橋洋光氏は「オフィスビルにも導入実績はございます。『震災後、飲料水の安全性について考えるようになりました。従業員により安心して過ごしてもらいたいと感じました』と導入を決めた企業もありました。ビルオーナーが、浄水器を導入するというケースは珍しいものの、テナントは水の安全を気にされているのだと感じました。浄水器を導入することはビルの価値を高めることに繋がるのではと思っています」と語っている。
ナック 宅配水のメーカーシェア1位
水の宅配サービス「クリクラ」を展開しているナック(東京都新宿区)。RO(逆浸透膜)フィルターを使用して不純物を除去した安心・安全なミネラルウォーターが子育て世代を中心に支持され、シェアを拡大している。
同社ではサーバーを無料で貸し出し、12リットル入りの水ボトルを自前のスタッフが2週間に1度、定期配送している。利用者と直に顔を合わせることで、水の使用状況が把握でき、配達するボトルの本数を消費量に応じて調整できる。また、利用者の声を直接聞くことができる利点もあるそうだ。
利用者は現在、一般家庭の比率が多くなっているが、水の宅配サービスを始めた当初はオフィスでの使用が中心だったという。テナント企業の従業員の口コミで、サービスの認知度が高まり、徐々に家庭に浸透していったそうだ。現在はテレビCMの放映に加え、スポーツイベントで無料サンプルを配布するなど、様々な方法でPRを展開している。その効果もあり、平成23年に宅配水のメーカーシェア1位に輝いている(矢野経済研究所推計)。
「オフィスビルでは、福利厚生の一環で導入されるケースが多いようです。冷たい水が飲まれるだけでなく、昼食用に粉末のスープを持参する女性社員がお湯を使って調理していると聞いています。多くの方に愛飲していただき嬉しく思っています」(栁澤 克典氏)
ユーピー 化学物質や塩素化合物を90%以上除去
ユーピー(横浜市旭区)は浄水器の販売、施工や修理などを全国で展開している。
さらに、現在家庭内やオフィス内で使用している浄水器のカートリッジ販売や、既に廃業したメーカーや購入先が不明になったカートリッジ、パーツ(部品)なども豊富に取り揃えているという。
同社の主力製品の一つである浄水器「ウォーターメッセージ」。同製品はフィルターに、水に含まれる化学物質や塩素化合物を1年使用しても90%以上効果的に取り除く微粒子活性炭を採用。浄水器は水道メーターの外側に設置する。工事には各戸の場合は半日、建物全体は1日~2日を要する。
同製品は一般家庭の他、オフィスビルにも多くの導入実績がある。築年数を経過したビルの場合、水道管のメンテナンスを行っていても、赤サビが出るなどトラブルが生じるケースもある。「テナントに安心してビルを利用してもらいたい」と考えた中小ビルのオーナーから500件以上の問い合わせがあったという。
実際に導入をしたオーナーからは「テナントから『浄水器を導入してもらってから、今まで水はほとんど飲まなかったが、美味しくて1日1リットル以上飲むようになり、自然とお通じもよくなりました』と喜んでもらえました」という声や、シャワールームなどの水回りも完備していたビルのオーナーらは「入居テナント方から『シャワーの使用を続けていたら、髪質が綺麗になりました。美容師にも驚かれたほどです』と感動していました」という声が寄せられたという。
代表取締役の橋本克之氏は「最近ではビルを新設する際、他との差別化を図る目的で浄水器を導入するケースが増えています。テナントリーシングにも繋がっているようで嬉しく思っています。今後も安全で美味しい水を提供できるよう努めてまいります」と話している。