不動産トピックス

クローズアップ 不動産活用サイト編

2013.04.08 16:16

 何かしらの情報を集める際、ネットを利用するのはすでに当たり前となっている。これは不動産オーナーにとっても同様だ。一括見積もりサイトから物件紹介サイトまで、今回は不動産オーナーに寄与するサイトを紹介する。

Justマネジメントサービス エレベーターの保守・改修を一括見積もり
 Justマネジメントサービス(札幌市西区)が運営する「エレベーター見積もりお助け・com」では、エレベーターのメンテナンスやリニューアルに係わる見積もりを匿名で取り寄せ、比較できるサービスを提供している。
 サービス誕生のきっかけは、同社代表・但野善氏の経験。マンション管理組合の副理事長としてエレベーターのリニューアルを検討することになった同氏だが、エレベーター会社とのメンテナンス契約が、管理会社を通した間接的なものであることに気づく。エレベーター会社との直接契約による費用節約を目標として行動を開始したが、当然だがどのエレベーター会社もマンション名や住所を告げなければ見積もりさえできない。
 「現地でエレベーターの状況を確認しなければ見積もりができないのは分かっていますが、その前の段階で、今の管理会社などとつながりのない会社、かつ信頼のある会社か否かを判断できれば」(同氏)。こうして誕生したのが、無料・匿名でエレベーター会社に相談できるシステムだ。
 利用方法は簡便で、申し込み後に届く専用シートに必要事項を記入し、これまでのメンテナンス作業報告書やエレベーター仕様書のコピーなどを添付して送信するだけ。1週間から10日ほどで、資料をもとにした概算の見積もりが届く。一度に見積もりをとれるのは3社までで、リニューアル以外にもメンテナンスの見積もりも可能。その後の各社への質問や相談も匿名でできる。その後、安心して任せられると判断すれば実名での折衝に切り換え、現地での正式な見積もりの後に契約という流れになる。
 最終的な決断を下すのはあくまでユーザーであり、管理会社との関係性や従来からの付き合いなどを考慮する必要もない。見積もりにかかる手間を省けるだけでなく、純粋に、ビルにとって有益か否かのみで判断することができるサービスといっていいだろう。

ひつじインキュベーション・スクエア 選ばれるシェアハウスの条件とは?
 シェアハウスという概念とそこで暮らすという行為は人々のあいだで完全に定着したといっていいだろう。本来は「同居」から始まったものであり、そのメリットは賃料や光熱費を案分することによる低廉なコストと気軽な入退去など。入居者を募るというより知り合いなどを通じた紹介によって拡がってきたものだ。やがて、そこで醸造されるコミュニティの存在や、立場や境遇、職業などを近しくする入居者同士による互いの触発など「シェアハウスに住むメリット」が認識されるようになるとビジネスとしても注目が集まり、ここ数年で大手不動産会社の参入も相次いでいる。またシェエアハウスは既存物件からのコンバージョンも少なくなく、不動産活用という観点からも有効なスキームといっていいだろう。
 しかしこれを運営することを考えると、仲介業者を通じた従来どおりの募集方法では不安が残る。シェアハウスはその特性上、立地や賃料、建物のスペックといった基本的な項目以外にも、コンセプトや入居者の属性、デザイン、さらに入居のルールなども検討課題として考慮される。入居希望者としても、自身に合ったシェアハウスを探す媒体が必要とされている。
 ひつじインキュベーション・オフィスが運営する「ひつじ不動産」は、「シェア住宅の総合メディア」を標榜するサイトだ。平成17年の開設以来、シェアハウスとそこでの生活、さらに市場動向や課題などを伝えるメディアとして活動を続けている。
 掲載されているのは1300棟・1万6000室以上のシェア物件。掲載物件はあくまで紹介のみで仲介は行っていないが、スタッフが全物件を直接訪問・取材することで客観的かつ信頼性の高い情報を提供している。また掲載には独自の規準を定めており、掲載物件の衛生管理や運営体制を担保している。同サイトの目的は、何よりもシェア物件市場の底上げと健全な成長だ。

グッドフェローズ 専門知識必要なソーラーパネル選び 一括見積もりで比較検討も容易
 太陽光発電の設置が盛んに行われているが、これの設置のためにはメーカーや業者を自身で探し、検討しなければならない。しかしこれにはある程度の専門知識や手間が必要で、費用対効果も含めて比較するのは簡単ではなく、導入検討者の90%が1社のみしか見積もりを取っていないという調査結果もあるという。グッドフェローズ(東京都品川区)が運営する「タイナビ」「タイナビNEXT」は、太陽光発電装置の設置業者を比較できるサイトだ。家庭用をメーンとする「タイナビ」は約330社から、大規模事業用がメーンの「タイナビNEXT」は約150社から比較検討できる。
 使い方は簡単で、サイト上で案内に沿って必要事項を入力していくだけ。「タイナビ」は訪問見積もりのほか、簡単な見積もりをメールで受け取ることも可能。いずれも同時に5社まで見積もりを依頼することができ、比較が簡単に行える。また太陽光発電装置は屋根の角度や材質、設置場所の状況によって効率も変わってくるが、「タイナビ」「タイナビNEXT」は設置場所の状況も考慮するため、より実態に即した見積もりを取ることが可能。複数の業者のなかから総合的な判断をすることで、より効率的な太陽光発電装置の設置につなげることができる。

CityLights オフィスも個性を主張する時代
 賃料回復への兆しや稼働率上昇への兆しが見え始めたとはいえ、まだ実態は追いついてきていないといっていいだろう。特にオフィス物件においてはワークスタイルの多様化などによってニーズも大きく変化し、選ばれる物件・他と競合しない物件の構築は今後さらに必要となってくるだろう。
 「TOKYO WORKSPACE」は、デザインオフィス物件を掲載するカタログサイト。オフィスはただの機能的な空間ではなく、企業のメッセージを発信しかつ価値を高めるための空間であり、そこで「働く」という行為自体に高い意識を持ってほしいという理念のもと開設された。現在は港区・渋谷区・新宿区を中心に約250物件を紹介しているが、同サイトでは機能性や建物のスペックよりも、内装のデザインやつくり、景色、変わった立地などで評価される場合が多いという。
 グレーのタイルカーペットに白いクロス、パネル天井に蛍光管という従来のスタイルはもはや陳腐化しているといっていい。オフィスをデザインで選ぶ層は、確実に増大しているのである。




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