不動産トピックス

クローズアップ 駐車場・駐輪場活用編

2013.05.06 15:42

 駐車場や駐輪場はこれまで、あくまでビルの附帯設備として捉えられてきた。しかし自動車や自転車に対するニーズはここ数年で大きく変化している。これを的確に捉えることで、駐車場や駐輪場をビルの主役とすることも可能なのである。

ストリートプリント工業会アスファルトの路面が個性的に変身 石畳や天然石張りの風合いも再現
 駐車場などの舗装として多用されているアスファルト。施工しやすくコストも比較的安価なためあらゆるシーンで目にする素材だが、しかし見た目の美しさという点では石畳やブロック張りの路面に比べて見劣りしてしまう。またコンクリートなどに比べて耐久性も低く、劣化しやすいことも美観を損なう原因のひとつだ。これまでアスファルトの美化といえば、表面の清掃や白線の引き直し、あるいは塗装程度であり、結局見た目は「アスファルト」そのものである。そこで登場したのが、カナダ・IPC社が開発した「ストリートプリント」だ。国内では同社のライセンスを受けた「ストリートプリント工業会」に加盟する企業が施工する。アスファルトの表面を石畳やブロックのように加工し、「見た目」と「耐久性」において、従来のアスファルトの概念を覆す技術だ。
 アスファルトを熱すると柔らかくなるのは周知のとおりだが、「ストリートプリント」はこれを利用してアスファルト表面に模様をプリント(型押し)する。アスファルトに型が押されたら表面にコーティング剤「ストリートボンド」を塗布して完成する。
 「ストリートボンド」はエポキシ樹脂をベースにアクリル系樹脂を加え、高い耐久性と耐磨耗性を獲得。歩行はもちろん自動車の走行もまったく支障はない。柔軟性も高く、表面のひび割れの発生も低減される。防滑性にも優れ、すべり抵抗値は乾燥時・湿潤時ともにインターロッキングよりも高い数値を記録している。また紫外線に晒されても色あせしにくく、ガソリンやオイルなどにも強い。コンクリートにも塗布でき、さらに環境にも配慮され「ストリートボンド」を施工したアスファルトはリサイクル可能。
 ボンドの標準カラーは51色で、プリントの面パターンが6種類、縁パターンは4種類をラインアップしている。カラーとパターンの組み合わせによって石畳やレンガ張り、タイル張りのような見た目を再現できる。またカラーの塗りわけによって模様やイラストを描くこともでき、見た目からアスファルトと判断するのは困難といっていいだろう。価格も低廉で、レンガ張りの約7割、天然石貼りと比べると約半分ほど。画一的だったアスファルト面に個性を生み出し、駐車場のみならずビルの差別化にもつながる技術といってよいだろう。

リレーションズ 導入簡便なシェアサイクル
 「駐輪場に自転車が溢れて停められない」とはマンションで良く聞く話だ。1軒ぶんの駐輪台数が足りないことが原因だが、しかし台数制限は住民サービスの観点からも避けたいし、かといって駐輪場を広げるために新たなスペースを確保するのは簡単ではない。リレーションズ(東京都渋谷区)が展開する「COGOO(コグ)」は、場所を選ばずにシェアサイクルを開設できるシステム。ビルやマンションに、低コストでシェアサイクルを導入可能だ。
 レンタサイクルとシェアサイクルは同じように見えるが、実は概念もマネジメントも異なる。自転車を貸し出す点では同じだが、マネジメントを行う上では「出発した地点に帰ってこなければならない」のがレンタサイクル。「他の地点で返すことができる」のがシェアサイクルと定義することができる。いずれにしてもこれを実施するにはコストがかかり、さらに人員も配置しなければならない。無人で行うこともできるが、これも専用の精算機や駐輪フックなどの設備が必要であり、導入コストはさらにかかる。
 COGOOは自転車の荷台に取り付けられた端末と、駐輪拠点に取り付ける弁当箱ほどの大きさの中継器のみで構成されており、大規模な設備は必要ない。コストは従来型の約四分の一で、1台からでも導入可能という手軽なシステムだ。
 使い方も簡単だ。携帯電話やスマートフォンからログインして暗証番号を取得し、端末に入力すると、端末に取り付けられた鍵が取り外せる。この鍵で自転車のロックを外して乗車し、乗り終わったらまたロックして鍵を端末に装着する。貸し出しと返却のデータは自動的に中継器に送られ、いつ誰がどこで借り、いつどこで返したか、などは詳細なデータにより把握できる。運用形態もレンタル型とシェア型いずれも可能で、利用料金や料金形態も自由に設定できるため、個々のニーズに合った運用が可能だ。
現在は大学のキャンパスや観光地などで運用がはじまっており、その輪は徐々にひろがりつつある。デッドスペース活用やテナント向けのサービスとしても有効だろう。

カーシェアリング・ジャパン ビル差別化につながるカーシェア
 カーシェアリングが次世代交通インフラの一つとして注目されつつある。カーシェアリング・ジャパン(東京都渋谷区)が展開する「カレコ」は、コンビニエンスストアのような感覚で使える地域密着型のカーシェアを目指し、密度の高いステーション配置を心がける。
 カーシェアリングは駐車場活用のスキームとして有効だが、その背景として挙げられるのが不動産の都心回帰だ。都市部では費用対効果の面で自動車保有のメリットは薄く、社用車の減数によって駐車場に空きがではじめている。カーシェアリングの導入はこうした駐車場の有効活用だけでなく、テナントにとってはコストが抑えられるというメリットもある。電気自動車なら環境はもちろん有事には非常用電源としても利用可能だ。「カーシェアリングは、他ビルとの差別化に確実につながるものと考えています」(同社)




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