不動産トピックス

クローズアップ 災害対策製品編

2013.05.13 16:55

 テナントがビルに求める機能の中でも、災害への対策は東日本大震災以降、高い関心を集めている。多くのワーカーや来館者が集うビルにおいて、もし大地震などの災害が起きた場合、オーナーとして何ができるか。災害対策製品を展開する各社の最新アイテムやトピックスを紹介していく。

チャレンジ 揺れが広がる様子をPC上でリアルタイムに表示
 全国各地に設置された地震計が地震の初期微動(P波)を検知して震源や地震の規模を示すマグニチュードを推定し、各地の震度や主要動(S波)の到達時間を計算・推定して主要動の到達前に知らせるシステム「緊急地震速報」。平成19年に本格運用を開始したこのシステムは、東日本大震災及びその余震を経験し、テレビ・ラジオ等を通じて情報を流す一般利用がよく知られており、このほか、緊急地震速報には専用端末を通じてより正確な震度や揺れの規模を伝える高度利用が存在している。
 チャレンジ(東京都台東区)では、ビルやマンション・商業施設といった施設に設置し、気象庁から提供される高度利用の緊急地震速報を受信して、大きな揺れが到達する前に予測震度と猶予時間を知らせる装置「EQガード2.」の販売を行っている。緊急地震速報は震源地が遠隔地である場合、大きな揺れの到達前に地震発生を知らせることができるが、直下型地震ではP波とS波がほぼ同時に地震計の設置地点に到達するため、大きな揺れが到達する前に速報を知らせるのが困難な場合がある。「EQガード2.」は気象庁から配信される情報を受信するだけではなく、装置自身に地震計を内蔵し、装置そのものがP波を検知して予測される震度やS波到達時刻を知らせる直下型地震対応の受信端末である。
 同社執行役員社長の佐々木和男氏は「受信した情報はスピーカーに接続すれば館内一斉放送ができ、パソコン画面上でもお知らせすることが可能です。また、全国に導入済みの『EQガード2.』が観測した地震動を記録して、巨大地震の揺れが拡大する様子をパソコン画面上にリアルタイムに表示することができ、巨大地震発生時の適切な行動につなげることができます」と述べている。

多摩川クラフト 南極観測隊にも採用された簡易トイレキット
 多摩川クラフト(東京都稲城市)の「ペールトイレキット」は、災害時における緊急用やゴルフ・登山・バーベキューといった屋外で周辺に公衆トイレがない場面で活躍するトイレキットだ。この「ペールトイレキット」は、石油製品や化学薬品などの輸送に使用するペール缶を便器として使用し、目隠しの役割を果たすテント、便座、凝固剤、トイレットペーパーといったアイテムがセットになっている。同社取締役社長の水津慎吾氏によれば、「ペールトイレキット」は日本の南極観測隊の野外観測時に使用するトイレとして採用されているほか、ペール缶の径は世界共通であることからベルギーの南極観測隊にも採用されているとのこと。また、富士山の山麓や登山道、林道などをつないで総距離約160kmを走破する山岳レース「ウルトラトレイル・マウントフジ」においても、コース上の各所に「ペールトイレキット」が選手用に設置されている。
 「テントを設置することで、女性でも安心して利用することが可能です。また、災害発生時には避難場所の公衆トイレは混雑することが予想されるため、『ペールトイレキット』を常備しておくことで、万が一大規模災害が起きた場合でも快適なトイレ環境を確保します」(水津氏)
 また、同社では廃棄用ごみ袋、ポケットティッシュ、凝固剤を収納したコンパクトなポケットサイズの携帯用トイレ「QQトイレ」の販売も行っており、「ペールトイレキット」とともに災害備蓄トイレとして普及活動を行っていくという。

鶴間防災システム 「非常食・防災用品専門SHOP」をオープン
 鶴間防災システム(東京都町田市)は11日、インターネットの通信販売や量販店の防災グッズコーナーではなく、防災関連用品を専門に取り扱う「非常食・防災用品専門SHOP」を、東京都世田谷区に新規オープンした。
 同社では平成9年の設立以来、自治体や消防団・町内会等の自主防災、自衛消防活動の積極的な支援を行ってきた。東日本大震災以降、企業など組織単位での自主防災に対する意識は高まっているものの、各家庭や個人にまで十分な防災意識の向上が図られているとは言い難いのが現状である。そこで同社は様々な防災用品を実際に手に取ることができる専門店を開設。店内には帰宅困難者対策用品をはじめ、各種消防・防災用品、防災グッズ、非常食のギフトセット、人気キャラクターの防災用品などを取り揃えている。同社では「非常食・防災用品専門SHOP」の運営を通じて、自主防災への意識の向上に努めるとしている。




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