不動産トピックス
クローズアップ マッチングサイト編
2013.06.10 14:28
オーナーが工事業者や管理会社を探すために情報収集する方法は、業者のホームページを一件一件閲覧するといったように、非効率的になりがちである。今回のクローズアップでは、業者を効率的に探すことができるマッチングサイトを紹介する。
番町エステート 防水工事の比較で安心・低コスト
防水業者の選定は、ビルオーナーにとって簡単ではない。デベロッパーが良いのか、管理会社に依頼するか、地元の業者が適しているのか。番町エステート(東京都千代田区)が運営する防水業者の一括見積りサイト「屋上防水ナビ」は、条件を入力するとこれに合致する業者を最大3社紹介。現地を視察させた上で見積りが提出されるため、より実態に合った見積り比較が可能になる。また施工業者に直接依頼することで、施工費用は3割ほど割安になるという。
同社代表の畔柳一郎氏は「これまでは受注した業者と施工する業者が異なる場合もあり、意思疎通の不徹底やコスト増大に基因するトラブルもありました。これらは工事業者に直接依頼することで解決できると考えています」と話す。同サイトの登録業者は技術レベルだけでなく施工実績や顧客対応についても規準を設けており、品質面でも安心を担保している。現在は数少ない防水専門の比較サイトとして、利用者も増加中という。
オフィスミル オフィス移転の総合サイト「オフィスミル」を運営
オフィスミル(東京都渋谷区)は、オフィス環境の改善を目的に、オフィス移転の総合サイト「office mill(オフィスミル)」を運営している。
同サイトではテナントと不動産関連事業者とのマッチングも行っているが、ただ複数事務所から見積りを提出させるという、いわゆる「一括見積りサイト」と異なり、オフィスの移転・改装を予定しているテナント企業に対して、その企業が希望するオフィスレイアウトを実現するデザイン事務所や設計事務所を紹介してきた。しかし最近になって、ビルオーナーから「テナントの入居を促進するためにはどうすればよいか」との相談も増えているとのことだ。
「テナント企業は、『コミュニケーション』、『クリエイティブ』、『グリーン』の3項目を満たすビルを求めています。この項目を満たすためには、リニューアル工事が必要となるケースもあります。当社がこれまで築いてきたデザイン事務所や設計事務所など約250社からなるネットワークの中から、オーナーの要望に応える事務所をご紹介しています」(代表取締役 白木 航氏)
白木氏が話す、テナントが求める3項目を満たすビルを作ることで、テナント誘致をより有利に進めることも可能だという。例えば、「コミュニケーション」の具体的な事例を挙げると、人間が感覚的に暖かさを感じるオレンジをオフィス空間に配する。これにより、オフィスワーカーのコミュニケーションがより円滑となる。この事例はあくまでも専有部の話であるかもしれないが、オーナーも共有部であるエントランスにこうした配色を施すことで、テナントからのビルの印象を変えることができるだろう。
「リニューアルといっても全ての工事が多額の予算を必要とするわけではなく、アイディア一つでお金をかけずに効果的なリニューアルを実施することも可能です。ご相談いただければ、所有ビルに対して最適な提案を行うことができるデザイン事務所・設計事務所、3社を候補に挙げ、最も適した事務所からご紹介いたします」(白木氏)
アイディライト 管理会社の変更をサポート
ビル管理会社の比較サイト「ビル管理会社 一括見積プロ」を運営するアイディライト(東京都千代田区)は、現在同サイトを通して、ビルオーナーに対して管理会社の変更に必要な情報を提供している。
「当サイトはビルを適正な価格で運用するために必要となる情報の提供を目的として今年3月に立ち上げました」(代表取締役 白髪 伸幸氏)
白髪氏は自ら不動産賃貸経営を行う中で、自社管理していた管理業務の一部を管理会社に委託しようとした際に、苦労したという経験が、同サイト立ち上げのきっかけであるという。
「マンションであれば管理組合がありますので、組合員から様々な意見や見方が出てくるでしょう。しかし、ビルオーナーは基本的に物事を1人で決定しなくてはなりません。私も管理会社に業務委託する際には、何を基準に管理会社を選べばよいのか、明確な判断基準もありませんので、大変苦労しました。このような悩みを抱えるビルオーナーから問い合わせしていただきましたら、まずお会いさせていただき、現状の問題点をヒアリングします」(白髪氏)
商業テナントとオフィステナントが混在するような複合ビルでは、フロアによって適切な管理手法が異なる。そうしたビルでは、管理費削減だけを目的に管理会社を変更すると、トラブルにつながることも考えられる。オーナーと管理会社の双方にとって最適なマッチングを行うために、このヒアリングが欠かせないと白髪氏は話す。
「テナントにとっては、管理会社は身近な存在です。その身近な存在である管理会社が変わるだけでビルの印象が大きく変わることは良くあることです。ですから、現在の管理会社が適正な管理を行っているかということをオーナーもよく見る必要があります。この適切な管理の内容については、ヒアリングの際にこちらからもお伝えします。また、管理会社もオーナーの言われた通りの仕事をこなすだけではなく、建物の価値を向上させる提案を積極的にするべきです。当社もサイトの運営を通して、オーナーと管理会社の良い出会いを提供していきたいと思います」(白髪氏)