不動産トピックス

クローズアップ 昇降機編

2013.07.22 15:52

 エレベーターやエスカレーターといった昇降機は、ほとんどのビルには欠かせない設備であるが、東日本大震災以来、求められる安全性や省エネ性は日々高まりを見せている。その他建物の活用方法の多様化に伴って、他の設備同様に、必要とされる付加価値もさまざまとなっている。

東芝エレベータ 省エネや安全性能を格段に向上「Kindmover」シリーズ
 東芝エレベータ(東京都品川区)では、インバーター制御を採用し、省エネや安全といった性能を格段に向上させたエスカレーター「Kindmover(カインドムーバー)」を販売している。
 インバーター制御によって運行速度をコントロールし、通常は30m/分の定格速度を、利用者が少ない時には25m/分まで減速させ、消費電力を削減する。また、有償のオプションとして、利用者が誰もいない状況では10m/分の低速待機運転を行い、さらに利用者がいない状態が継続した場合、エスカレーターを停止させる低速停止待機運転機能をラインアップしている。
 また、安全性を高めるため、万一の際の緊急停止における利用者の転倒やつまずきを防止するため、停電時や一部安全装置が作動した場合を除き、インバーター制御によりエスカレーターを緩やかに停止させる。
 「Kindmover」は昨年10月から販売されており、今年5月には省スペースタイプがラインアップに追加された。標準型と比べ、エスカレーター幅を210mm狭くするなどすることにより、建物内での設置面積を減らすことが出来る。設置幅は狭まっても、標準型と同じ広さの踏み段を採用しており、輸送能力は標準型のエスカレーターと同等となっている。

コスモエレベーター エレベーターの価値向上を提案
 コスモエレベーター(東京都千代田区)は、独立系のエレベーターメンテナンス会社として、関東一円や東北地方を対象エリアとして営業展開している。
 独立系のメンテナンス会社として、同社のサービスは基本的にずべてのメーカーの保守メンテナンスに対応していると同時に、設置してから25年以上経過したエレベーターを対象としたリニューアルに関する事業も、すべてのメーカーの設備を対象に展開している。長年保守メンテナンスを受託してきた顧客などからも、従来非常に高額であった費用を大幅に削減したかたちでのリニューアルの提案は、非常に高い評価を得ている。リニューアル費用の大幅削減については、必要な部品だけを交換し、継続して使える部品は交換しないことや、自社技術員によって工事を行うことなど、同社の企業努力により実現したものである。  「エレベーターのリニューアルは、乗っている際の快適性の向上のみならず、安全性、省エネ性の向上にもつながります。また、同時にかごの内外装もリニューアルすることで、ビル全体のイメージを向上させることにもなります」(井上氏)
 現在同社ではエレベーター内のセキュリティ向上のため、SDカード記録型の広角ドームカメラ「SDC770 AVI」の設置を提案している。「SDC770 AVI」は電源工事のみで、映像用配線工事が不要であるため簡単に設置でき、またSDカードにデータを記録するため、映像を見る際にはWindowsMediaPlayerで手軽に再生することができる。
 会社設立からまもなく30周年を迎える同社では、日々変わらぬ安全を保つための保守メンテナンスとともに、エレベータの価値を維持・向上させるための提案も行っている。

日本オーチス・エレベータ 世界初「フラットベルト」採用の「Gen2」
 日本オーチス・エレベータ(東京都文京区)では、同社の規格型エレベーター「Gen2(ジェンツー)」シリーズを販売している。
 同社では、オイルが不要で耐久性が高く、ワイヤーロープと比較して約45%の軽量化を実現した、従来のワイヤーロープに代わる「フラットベルト」を独自に開発。「Gen2」はこの「フラットベルト」を世界で初めて採用したエレベーターシリーズだ。「Gen2」は「安全性」、「先進性」、「環境性能」、「省スペース」、「ユニバーサルデザイン」という五つのコンセプトを持つ。特に安全性に関しては、地震時の管制運転や緊急地震速報への対応、長周期地震動対策など、地震に関する豊富な対策が取られているほか、かごが開く時、手や指が挟まれるのを防ぐハンドタッチセンサーが標準装備となっているなど、高い安全性を確保するためのさまざまな機能を用意している(一部オプション)。
 今年2月には高齢者用住宅向け「Gen2 Life」が発売開始。高齢者の動きなどに配慮した縦型手すりを採用したほか、ドア開放時間は、従来製品よりも長めの30秒に設定されている。また、車いすでも利用しやすいよう、操作盤を側面に配置したほか、車いす2台で乗車できるよう大きめのかごを採用した。




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