不動産トピックス

今週の一冊

2013.11.11 17:22

東京に存在する有名・無名の個性派ビル ビルウォッチングの魅了を伝える

世界に誇れる東京のビル100
著者:宮元 健次
出版:クスナレッジ
発行:平成25年11月2日
価格:1800円(税別)

 ビルの経営者目線で本書を読むと、管理や改修時の大変さを思い浮かべ、莫大なコスト負担に悩まされそうだが、建築物鑑賞の愛好家にとっては必見である。
 本紙では、登録文化財等に指定され、歴史的に価値のあるテナントビルを紹介する「歴史的ビルめぐり」なる記事を不定期で掲載しているが、本書に登場するのは歴史的価値ではなく、意匠性、建築技術に秀でたビルの数々。「歌舞伎座タワー」をはじめとするランドマークビルから、一度見ると忘れられないユニークな外観を持つビル、洗練されたスタイリッシュビル、ファサードに特徴のあるオリジナルビルの4章に分類し、東京に存在する100のビルを紹介する。
 ページ構成は見開き、もしくは1ページに1物件が登場。解説文は最低限にとどめ、ビジュアルを重視する「写真集」であるため、建築の素人でも読みやすい。あとがきにあるように、本書は近年流行している「建築ウォッチング」を行う上で、ビル建築の見方や見所を実例として指南することを目的にしている。廃墟、ダム、団地、工場夜景をまとめた写真集は過去に出版されたが、より身近な存在であるビルは現実的でありすぎるため、深く見学することは少ない。魅力的かつ斬新なビルが東京に多数存在することに気づかされる、そんな一冊だ。




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