不動産トピックス
クローズアップ ビル管理システム編
2013.11.11 17:18
ビルの管理効率化を実現するビル管理システム。オフィスの用途が多様化する中で、日常管理の効率化だけでなく、設備の運用改善や省エネ・節電といったニーズに対応する機能を追加した管理システムを各社販売している。
セイコーステラ テナントコミュニケーションの円滑化を図るシステム
中小ビルを中心にビル管理業務を行っているセイコーステラ(東京都府中市)。同社が開発を手掛けたビル管理システム「BilCo(ビルコ)」が今年の春に完成を迎え、現在中小ビルオーナーに対して「BilCo」を活用した管理提案を行っている。
その良し悪しがビルの価値を左右するほどビル経営において重要な位置を占めるのが管理業務である。しかし、高い管理品質を維持するとなると管理費用もかさみ、賃料収入が思うように伸びない現在の貸ビル市場を前提とすると、不動産賃貸業自体を圧迫してしまう可能性もあり得る。
「管理業務にかかる手間や負担を軽減することで、ビルオーナーには経営に集中してもらう。その支援ができればと考え、ビル管理システムを開発しました」(代表取締役 川畑 浩一氏)
川畑氏が話すように、「BilCo」の特徴は日常管理業務・定期管理業務を行う上で必要となる「ビル管理月次報告」、「工事の承認申請・報告書」、「テナント請求書一覧」などのオーナーに提出する書類関係は全て、Web上から閲覧可能という点にある。また、テナントに対する請求書の発行、クレーム受付なども「BilCo」の画面上から行うことが可能だ。
こうした管理業務の効率化を支援するビル管理機能だけであれば、同様の機能を持つ他社のシステムも多く存在する。同社の「BilCo」が他社と異なる点を挙げるならば、テナントに対する情報発信を行っている点にある。
「同システムは、コミュニケーションシステムという側面も持っており、ビルの管理運営情報を伝えるだけでなく、テナントの自己紹介や、トピックスの紹介などテナントが情報発信することも可能です。今年の春から当社が管理運営するビルでシステムを活用していますが、テナントからメールの返信をもらうこともあり、コミュニケーションの機会も増えました」(川畑氏)
ビルの修繕や工事、請求書発行の履歴など、ビルオーナーが本来管理しておくべきデータを自動的に収集することが可能であることから、より効率的な管理が可能。さらにテナントのコミュニケーションの円滑化をはかる役割も果たす「BilCo」。同社に管理を依頼すれば、もれなく同システムを活用することが可能であるとのことから、「ビルの付加価値を上げたい」、「効率的な管理」を実現したいオーナーにとっては最適な管理サービスであると言えるだろう。
アズビル テナント毎の電力使用量を表示し省エネ参加を促進
アズビル(東京都千代田区)は、入居テナントに利便性・快適性を提供し、テナントビルとしての付加価値を高める、テナントビルオーナー向けのサービス商品「savic―netFX(セービックネット エフエックス)テナントサービスサーバ」に、テナントの省エネ参加を促進することでビル全体の省エネを実現する新機能としてテナント毎の電力使用量等を表示する「電力使用状況表示機能」を追加。8月から販売を開始している。
テナントサービスサーバは、同社のビルディングオートメーションシステム「savic―netFXシリーズ」のオプション商品である。ビルオーナーからの提供により、テナント入居者はWebブラウザからオフィスの照明・空調の入切や設定温度変更、空調の残業延長運転予約等を簡単に操作することができる。今回の機能追加は、ビル全体の省エネ化をさらに加速したいというテナントビルオーナーのニーズに対応にしたものとなっている。
新機能としては、テナント毎の電力使用量や目標値との比較グラフ等で表示可能。ログイン直後のトップ画面は、従来機能である自席周辺の空調や照明の操作・設定ができる「マイエリア機能」と、ビルオーナーからテナント向けの情報を掲載する「お知らせ機能」、そして、テナント入居者のPCやタブレット端末のWebブラウザに表示する。これにより入居テナントは自社の電力使用状況をタイムリーに把握することが可能となった。
大塚商会 3次元CADとBEMSを連携させた節電システム
ソリューションプロバイダの大塚商会(東京都千代田区)は、日本で初めてとなる3次元CADとBEMSを連携させたビル節電対策ソリューション「3Dビルコミュニケーションシステム」を9月26日から提供開始している。
同ソリューションは、竹中工務店(大阪市中央区)の技術をもとにしており、大塚商会が導入・サポートを実施する。ビルの新築時だけでなく、既存ビルでも導入できるオープンなビル管理システムとして、テナントビル向けにも利用することが可能となっている。
同システムの特徴として挙げられるのが、3次元CADを活用している点だ。3次元CADの立体的な図面を使うことで、「どこでどれだけ使っているか?」といったフロアの電力利用状況確認がより分かりやすくなる。また、タブレット端末を使ったタッチ操作による空調や照明の制御なども可能で、フロア利用の最適化や使用電力の削減など、従来よりも快適で効率的なビル運営を実現することができる。