不動産トピックス
クローズアップ 非破壊検査編
2013.11.18 16:55
建物の価値をはかる上で重要となる、躯体の耐震性能や劣化状態。既存の建築物の状況を正確に把握するには、職人が持つ熟練の技と、最新鋭の機器による診断が必要だ。将来的な然るべき修繕工事や耐震補強工事に向けて、各社はどのようなソリューションを提供しているのだろうか。
ニッショウ機器/つくし建設 耐震・防災に関する様々なソリューション展開
総合的な防災ソリューションを展開するニッショウ機器(横浜市中区)。そのグループ企業であるつくし建設(横浜市中区)は、建物の安全管理やビル・マンション・戸建てなどの総合建設事業を行っている。同社の強みは、安全で快適な建物づくりに向けた確かなソリューションの提供である。特に近年テナント企業からの関心も高い建物耐震については、撮影対象物の表面温度を赤外線カメラで測定し、浮き・はく離部分を推定する非破壊検査手法「高精度赤外線調査」を提案。補強材には高い強度を誇るアラミド繊維を活用し、また、非伝導性を持つフィブラシートの提案も行う。シートはコンクリートの表面に樹脂で含浸させながら貼り付けることにより、既存のコンクリート構造物を補強・補修することが可能だ。この工法は鋼構造物や木構造物の補強にも使用されている。
ニッショウ機器専務取締役の清水真一氏によれば、近年では津波発生時の避難を迅速に行い住民や観光客の安全確保を実現することを目的として、夜間でも明るく避難場所や高台への避難経路を示す蓄光シートを販売企画・施工を行っており、神奈川県を中心に各自治体で導入が進められている。蓄光に加え広角で光を反射する再帰反射を組み合わせた技術は今後、建物内の避難誘導の案内表示にも応用が検討されているとのことだ。
シンワ検査 高出力型X線発生装置を導入 コンクリート厚400mmまで対応に
建築・土木構造物の調査診断、構造計算、補強設計まで総合的な調査診断業務を展開するシンワ検査(横浜市都筑区)。同社は今年8月、高出力型X線発生装置の導入を発表した。
これは、X線発生装置からX線を照射し、壁面などコンクリートの裏側に張ったフィルムの内部の様子を写し出すというもの。コンクリート内部の鉄筋・電配管・CD管などの位置や鉄筋径を確認することができるため、床や壁に円筒形の穴を開けるコア抜きの作業も安心して行うことができる。
同社の発表によれば、コンクリートの厚さが約300mmまでは小型のX線発生装置を使用し、厚さ350mm程度までの場合は大型の装置で撮影を行っていたが、350mm以上はコンクリートの状態によって撮影が不可能な場合もあったという。しかし、今回導入したX線発生装置は従来の装置に比べて高出力・高安定化を実現し、透過能力が向上しているため、厚さ400mm程度までが対応可能となっている。
IHI検査計測 直線加速器を利用したX線発生装置を販売
IHI検査計測(横浜市金沢区)は11日、非破壊検査用のX線源として、高品質で安定稼働する直線加速器を利用した高エネルギーX線発生装置の販売を開始した。
同製品は、照射エネルギーは0・95~9MeV(エレクトロンボルト)と各種取り揃えており、用途に応じたエネルギーを選択することができる。また、一つの装置で2つのエネルギーを照射できるデュアルエネルギータイプの製品もラインアップされている。同社によれば、X線発生装置の移動装置(昇降および左右前後、チルトなど)の設計・製作も行っており、使用条件に合致した移動装置を提供することが可能だ。
日本マテック 高い透過力を持つ低周波横波を使用 コンクリート探傷・測定用の計測器
日本マテック(東京都新宿区)の「A1040 MIRA(ミラ)」は、低周波横波を使用して2mの透過力を持つ、コンクリート探傷・厚さ測定用の超音波探傷器である。
センサーは、40個のマトリックスアンテナアレイ(AA)で構成されており、デバイスのAA素子は、カップリング剤なしでドライ接触の超音波送受信が可能である。また、各AA素子はスプリングを装着しており、曲面や粗表面にも追従する。データは無線LANでパソコンに転送が可能で、使いやすいメニュー式の設定値調整、自動的に高速で断面を切り替えられ数多くのデータを収集できることも特徴の一つである。