不動産トピックス
今週の一冊
2013.12.02 15:40
変革したいビルオーナーのためのアクションプラン
まちづくりデッドライン 生きる場所を守り抜くための教科書
著者:木下斉/広瀬郁
出版:日経BP社
発行:平成25年4月8日
価格:1900円(税抜)
「まちづくりデッドライン 生きる場所を守り抜くための教科書」と少々過激なタイトルの本書。その内容は、新たな時代に対応できる「まちづくり」を行うためには、高度経済成長時代を引きずった考え方を捨て、「事業としてのまちづくり」を徹底することである、というもの。一見すると「まちづくり」を担っている人のための書籍のようにも読めるが、実はビルオーナーが知っておくべき「まち」の現状とその仕組みについても詳しく解説されている。
特に注目すべきは「バリューネットワーク」という概念を挙げて、価値観の変化を説明している点だ。この「バリューネットワーク」とは、「価値とお金を交換するプレイヤー間のつながりに着目し、相互の力関係や全体の構造を川やリレーのような『流れ』のあるものとして読み解く方法」としている。
このような説明を加えたうえで、消費者と不動産オーナーの立場の変化について触れ、「まちのバリューネットワーク上のプレイヤーをこれまでの時代と比較すると、『川下』にいたはずの消費者の立場が有利になり、『川上』にいたはずの不動産オーナーの立場が不利になってきたことが分かる」と指摘する。
不動産の活性化には街の活性化が必要不可欠であるが、その街を活性化させるためには街を支えている不動産オーナーの変革がまず必要であることは言うまでもない。その前提に立ったうえで本書が提示する「不動産オーナーの5つのアクション」も興味深い。