不動産トピックス

クローズアップ 駐車場サービス編

2013.12.02 15:06

 駐車場は、交通手段として自動車がある限り都心・郊外関わらず、さまざまな場所において必要不可欠な社会インフラである。その設置にあたっても、遊休地の有効活用のみならず、ビルなどの空室対策として活用することが可能である。また、事故防止のため、何よりも安全性を重んじる必要があり、安全性向上や、使いやすさを向上させるサービスも各社からリリースされている。今回は駐車場と関連するサービスを紹介する。

「ロックレス」式駐車場システム ナンバーを自動読取り 不正もすぐ発見する
 一般的な時間貸し駐車場は、入庫してしばらくたつとロック板が上昇して車の移動をできなくし、料金を支払うことでロック板が下がって出庫が可能になる。ロック板であれゲートであれ、車の移動を物理的に拘束することで課金できるというのが時間貸し駐車場経営の根本であるといえよう。しかし物理的に拘束せずに運営できる時間貸し駐車場システムが存在する。使用するのは監視カメラだ。
 アイテック(東京都新宿区)が開発した「『ロックレス』式駐車場システム」は、その名のとおりロック板を持たないシステムだ。 
 各車室に取り付けられたカメラがナンバープレートを自動的に読み取り、車両の入出庫をチェックして課金する。料金を支払わずに出庫した車両に対してはナンバーを記録し、同社が運営する駐車場を再び利用した際に支払いを促す。
 また駐車場内全体を撮影するカメラが設置されているため、ナンバープレートを隠すなどの不正もすぐに発見できるという。
 さらにカメラのレンズを隠すと同社に信号が送られ、警備員が急行する体制がとられている。こうした仕組みやカメラの抑止効果もあってか、不正利用は従来のロック板式よりも少ないという。
 「ロックレス」式駐車場システムのもう一つのメリットが、駐車しやすいという点だ。同社の調査では女性の多くがロック板式駐車場への駐車を苦手としており、ロック板式から「ロックレス」式に変えたところ売り上げが増加したというデータもある。スマートフォンと連動した支払いシステムなど利便性を高めるサービスもあり、利用が広がっている。

駐車場綜合研究所 タッグモンパーキング 入庫待ち避ける予約システム
 駐車場綜合研究所(東京都渋谷区)グループでは、駐車場コンサルティング機能や独自のホスピタリティ教育による駐車場管理運営のノウハウを軸として、「駐車場はサービス業」であるという企業理念のもと「元気のあるまちづくり」に貢献している。
 同社では時間貸し駐車場予約サービス「TaGMON parking(タッグモンパーキング)」を、今年8月より開始した。「タッグモンパーキング」とは、駐車場を予約したいという多くの顧客からの要望を受けて開発されたシステムだ。「必ず駐車できることの安心感」を提供するサービスである。
 乗っている車を駐車する際に、入庫待ちを避けたい場合には、当日利用したい駐車場を、「タックモンパーキング」を経由して事前に予約することで、予約車室をあらかじめ用意することが可能だ。
 また、駐車場オーナーとして、システムと予約オペレーションノウハウをパッケージ化して提供することで、駐車場の稼働率向上をサポートするとしている。
 同社では、今年5月から東京・千代田区と港区の大型駐車場でそれぞれテスト運用を実施ている。

三菱重工パーキング スマートパーキングシステム 高齢者や女性でも使いやすく
 三菱重工業(東京都品川区)のグループ会社である三菱重工パーキング(横浜市西区)は、機械式駐車場の安全で快適な操作に役立つ支援製品「スマートパーキングシステム」を開発し、販売している。
 第三者の操作を防止する「認証機能付き携帯リモコン」、見えやすく操作が簡単な「対話式操作盤」、各種関連情報を表示する「大きなディスプレイ画面」の3点で構成されており、利用者に優しいようにユニバーサルデザインを採用している。 
 新設および既設駐車場の更新時の需要を開拓し、立体駐車場の事故防止や利便性の向上を実現するとしている。
 「スマートパーキングシステム」は、三菱重工業と共同開発した製品で、人間工学に基づく製品設計を重視、高齢者や女性にも簡単に操作できるようなデザインを採用した。 「携帯リモコン」では、自動車のドアロック開閉用リモコンとほぼ同じ大きさ。自動車から降りずに入庫作業が出来るので、操作中は第三者の操作を防止する。「大きなディスプレイ画面」は、入庫・出庫など各種案内や注意喚起に関する情報を表示する。利用者の安全性の向上とともに、入庫待ち時間に、利用者にとって有効な情報を提供するものにもなる。

アップルパーク パーキキンググランプリ銀賞を受賞 商業20年あまりの実績 最近は空室活用として
 駐車場や駐輪場、バイク駐輪場の総合プロデュースを全国で展開するアップルパーク(東京都北区)は平成3年に会社を設立し、一昨年に創業20周年を迎えた。
 土地活用としての駐車場事業のほか、百貨店やスーパー、レストラン、医療機関、スポーツクラブなどの駐車場・駐輪場の運営管理の実績も数多い。
 一昨年は、日本パーキング協会(東京都中央区)が行った第1回パーキンググランプリにおいて、同社が手がけた「アップルパーク北鴻巣第2」が銀賞を受賞した。
 また、同社ではビルや店舗物件の1階を駐車場や駐輪場にコンバージョンし、管理運営を行っている事例を持っている。1階路面物件の空室対策のひとつの選択肢として駐車場や駐輪場、バイク駐輪場設置を提案する実績・ノウハウがある。
 「最近では、かつての繁華街に立地する商業ビルで空室となってしまっていた1階の店舗物件を時間貸しの駐輪場に、マンションの1階の空室となっていた店舗物件を時間貸し駐車場にコンバージョンしたという案件を手がけました。いずれの案件もお客様から問い合わせをいただき、所要日数は提案までが1週間程度、オーナー様の検討機関が2週間程度、着工からオープンまでが1週間程度でした。それぞれ周辺の交通環境を入念に調査したうえで設置しましたので、新たにオープンした物件は単なる空室解消のみならず、不法駐輪や駐車場不足といった問題の解決にもつながるため、周辺の環境向上にも貢献します」(藤原氏)




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