不動産トピックス
今週の一冊
2014.01.13 16:44
相続ビギナーにこそ読んで欲しい一冊
大増税時代がやってくる すっきりわかる仕組みと対策
著者 田中 陽
出版 NHK出版新書
発行 平成25年11月10日
価格 740円(税抜)
平成26年度の税制改正大綱では、ビルオーナーなど富裕層に関わる大幅な税制改正は見受けられなかった。しかし、安心はしていられない。平成25年度の相続税改正によって、基礎控除額が引き下げられ、相続税の課税対象者が大幅に増える予定だ。
本書「大相続時代がやってくる すっきりわかる仕組みと対策」の著者である田中陽氏は、冒頭「相続とは、心の準備ができているかどうかがすべてといっても過言ではない」と記す。この増税時代に相続税対策を実行するには、とにかくまず相続の仕組みを知らないことには始まらない。そうした点では、本書はまさに相続ビギナーの人たちに向けて書かれた一冊であり、相続対策にあたって本当に必要な知識だけをまとめていることから、相続ビギナーでも相続に対する理解を深めることが可能であるのが特徴だ。
とはいっても、第5章では「賢い相続のテクニック」と題して、生前贈与の活用を勧める等、実際に相続が発生する前にやっておくべき対策方法も詳しく解説しているので、これから本格的に対策を実施することを考えている読者にも役に立つ内容が盛り込まれている。
相続は、相続する側と受ける側ともにこれまでの人生を整理していく契機となるはずだ。そうした意味でも、相続を見て見ぬふりをするのではなく、しっかりと正面から受け止めて、関係者にとって最も良い相続を目指すべきだろう。