不動産トピックス

クローズアップ ウェブサービス編

2014.02.03 11:57

 不動産・建設業界は昔ながらの商習慣が色濃く残り、取引等において必ずしも利便性が高いとはいえなかった。そうした中、IT化が遅れているといわれていた不動産・建設業界でもウェブサービスを活用し、ユーザーをサポートする動きが顕著になっている。

 アベノミクスの影響で不動産市場に注目が集まり、投資家も急増中だ。
 個人投資家が活用するのは不動産投資サイト。テレビCMでおなじみの有名サイトをはじめ、今や数多くのサイトが乱立しているが、今年4月に本格的に運営を開始する不動産サイト「不動産広場」は、情報発信力は大手に負けるが、信頼のおける全国の中小不動産会社に特化した物件情報サイトだ。
 「既存の不動産サイトは個々の物件の情報量が圧倒的に少なく、消費者はサイトを見ても問合せをするしかなく、結果大手不動産業者に問合せが行ってしまう現状を打破したい」(事務局 内田 みさき氏)
 同サイトは元付・売主・貸主・代理物件のみ掲載しているが物件情報量は圧倒的だ。価格、利回り、駅からの距離といったオーソドックスな情報だけでなく、物件の歴史や周辺情報など、詳細な情報を提供してくれる。さらに、当該物件を登録する不動産会社の会社説明だけでなく、担当者の顔写真まで掲載しているので、担当者の雰囲気や人となりを知ることができる。同サイト内に登録した不動産会社を紹介する専用ページも提供、これまで情報発信力の弱かった地方の中小不動産会社のPRの場として機能する。
 現在は試験的にサイトを運営しており、本格始動の4月までは登録料金は無料。すでに登録会社は600を超えた。将来的に「建設会社、士業など不動産に関する情報をオールマイティに発信していく」(内田氏)ことを目指している。

 建築業界独特の商慣習や取引はウェブを利用することで自由度と利便性を高める余地がある。
 平成17年に店舗設計やリノベーション事業等を手掛ける建設会社として設立されたアークフィール(東京都千代田区)は3年ほど前からWEBマーケティング事業部を立ち上げ、建設業界向けのウェブサービスの提供を開始した。
 「建設業界のIT化はまだまだ発展の余地があり、一部の取引はアナログに依存するものも少なくないのが現状です。特にニッチな業界ではウェブを活用した商取引の習慣に馴染みが薄いため、そもそも技術があり、信用できるパートナー企業を見つけるのも難しい。そういった課題を内包している建設業界の活性化のため、建築的知見を持つ当社で建設業界向けウェブサービスの提供を開始しました」(常務取締役 佐々木 大樹氏)
 ウェブサービスを初めて手掛けたのは同社の中核事業である店舗出店支援事業。自社の工事案件を獲得する集客手段として集客用サイトを開設した。その後、ウェブマーケティングの知見を活用し建設業マッチングを次々と開始。試験的に開設しているものも含めて建設業界向けサイトは11を数える。いずれも建設業の取引の自由度と利便性を高めるものばかりだ。例えば、昨年5月に開設した「図members!」は図面制作受発注をマッチングするものだ。
 「精緻な業務が求められる図面制作者は営業時間がなく、技術に比例して仕事量が確保できないケースもあります。また、発注者側は図面を制作できる人材の探し方が分かりません。こうした図面受発注のミスマッチを解消することに貢献できるサイトです」(佐々木氏)
 また、昨年9月には、建設現場で余った建材を出品・落札できる「建設R市場」を開設。こちらは建設現場でほぼ必ずといっていいほど発生する建材の余剰分をサイト上で売却できる仕組みだ。
 「余った建材は通常、廃棄しますが、当サイトでは不要になった建材を多少の利益を乗せて処分できる上に、環境にも貢献。高騰する建築コストの圧縮にも寄与します」(佐々木氏)
 今後も様々なサイトを運営していくという。


 不動産に特化した比較サイトの運営を行うシースタイル(東京都中央区)は「不動産&マンション売却査定.com」、「土地活用&賃貸経営比較.com」、「任意売却・無料相談.com」、「賃貸管理×リロケーション.com」、「不動産買取査定.com」、「貸事務所・貸店舗ナビ」、「マンション管理費&修繕費見直し.com」、「ビルメン見直し.com」の8サイトを統合し、掲載企業数約600社からスタートする不動産関連サービスの総合比較サイト「スマイスター」を1月27日に開設した。
 サイト利用者は、不動産売却・買取、土地活用、建物管理、オフィス仲介、任意売却などについて、複数の不動産会社に無料で一括問い合せをすることができるため、サービス内容と価格の比較が可能。また、サイトに掲載する不動産会社も、初期費用・月額費用は発生せず、問い合わせ件数に応じて課金される成功報酬型を採用している。
 「統一ブランドとしてポータル化することで、当社から提供する1つのIDとパスワードで8つのサイトのサービス利用ができるため、サイト利用者の方々にとって利便性が高まっているほか、それぞれのサイトの情報を共有することで新たなビジネスマッチングの創出を図れるのではないかと思っています。更には、サイトの統合に伴い、デザインを一新して見やすさを追求しており、スマートフォンでもサービスを利用できるように対応しています」(代表取締役 川合 大無氏)




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