不動産トピックス
クローズアップ 太陽光発電編
2014.04.21 13:28
太陽光発電装置の最適な運用のためには、適切な設置やその後の保守点検は必須だ。今回は太陽光発電に関連する製品やサービスを紹介する。
太陽光発電の発電効率を維持するためにメンテナンスは欠かせないが、なかでも重要なのがソーラーパネルの汚れ除去だ。明成商会(東京都千代田区)のコーティング剤「SOLACOAT(ソラコート)」は、パネル表面をコーティングすることで汚れを付きにくくし、発電効率を向上させる製品だ。
あまり知られていないが、ソーラーパネルに汚れが付く原因の一つは雨。雨が降るとその跡に汚れが付着しやすくなり、水分が蒸発すると汚れだけそのまま固着してしまうのである。水道水で洗い流す方法もあるが、水道水には微量のミネラル分が含まれており、今度はこれが水垢の原因となってしまう。かといって、雨が降るたびに洗浄していてはコストもかかる。一般的なパネルにとって、雨はかってパネルを汚すに結果になってしまうのである。
「ソラコート」は、こうした課題を払しょくすべく開発されたコーティング剤。これまで汚れの元とされていた雨を味方に付けた製品といっていいだろう。コーティング剤は強い親水性を発揮するため、パネル表面に付着した汚れの下に雨
が入り込むことで汚れを浮き上がらせ、そのまま洗い流すイメージだ。コーティング済みのパネルとコーティングしていないパネルの発電効率は、10年で約10%の差がでるという。コーティング剤は耐候性に優れ、一度施工すると約20年間は性能が持続する。施工は同社の試験に合格した専門スタッフが実施するため安心感も高い。
同社電子材料営業部の笠原翔太氏は「発電効率の維持はもちろん、持続的効果によるメンテナンスコストの削減も期待できます」と話す。同社で販売したソーラーパネルには基本的に全て施工可能で、将来的には社外製パネルへの施工も可能にしたいという。
ビルに太陽光発電を導入する場合、その設置場所の多くが屋上となる。ビルの屋上といえば傾斜のないいわゆる陸屋根だが、その取り付けには戸建住宅の傾斜した屋根とは異なる配慮・ノウハウが必要となってくる。
そのひとつが防水。陸屋根にソーラーパネルを安全に設置するためにはコンクリート面に穴を開け、アンカーを打ち込んで架台を固定する必要がある。しかしアンカーのために開けた穴の防水処理を確実にしなければ、ソーラーパネルのみならず躯体そのものにも悪影響を与えてしまう。
こうしたことから陸屋根への設置工事を避ける業者は少なくないが、太陽光発電を中心としたエネルギーマネジメントシステムの構築を主業とするケイアンドエム(東京都町田市)では、独自の実用新案技術を駆使した設置方法を提案している。同社代表取締役会長の地主光滋氏はその理由について語る。「太陽光発電は設置して終わりではありません。安心・安全に使っていただくためには、設置の可否や発電効率の判断、設置工事、さらにアフターサービスまで一貫してできる体制が必要です。当社があえて陸屋根への設置を引き受けるのも、その体制があるからに他なりません」
メンテナンスについても万全を期し、独自の育成体制でノウハウを積んだ同社スタッフが実施することで安心を提供する。同社がこれまでに手掛けたシステムの設置は3630件(平成26年4月現在)にのぼるが、機器のみならず設置した屋根についても10年間保証を実現。同氏の言葉が実績に基づいたものであることを実感させる。太陽光発電の施工業者選びは、機器のメーカー選び以上に重要かもしれない。
ソーラーパネルの導入が拡がる一方、様々な課題・問題も表面化しつつある。
その一つがソーラーパネルそのものの「不具合」だ。特にビル用など小出力のシステムは不具合発生を知らせる機構が備わっていないものが多く、発電量などの低下が見られた場合でも、その原因を特定することができない。太陽光サポートセンター(東京都港区)の「太陽光メンテナンス代行サービス」は、この状況を解決する可能性のあるサービスだ。
同サービスが実施するのは、設置状況や接続状況などの点検のほか、専用の計測機器「IVカーブとレーサー」を用いた発電出力計測、高圧洗浄機を用いたモジュールの表面洗浄、発電データのチェックおよび管理、コールセンターでの電話対応など。契約は10年で、新設から6カ月以内の太陽光発電システムが対象。発電出力などによって異なる3プランを用意しており、大規模設備にも対応可能だ。
同社が実施するサービスは太陽光発電システムの販売店や施工会社に代わってメンテナンスを行うものだが、メンテナンスへのニーズは確実に増加しているという。同社事業部長の野村次生氏は「ソーラーパネルはメンテナンスフリーではありません。当サービスは、施工会社や管理会社の差別化ツールとしても効果的です」と話している。