不動産トピックス
クローズアップ 床面清掃機編
2014.04.28 12:22
テナント誘致のために一番大事なことはビルの清潔感ではないだろうか。テナント側は最新鋭の設備を取り揃えていても不快感を与えるビルに入居しないだろう。ビル内の清潔感を保つのに不可欠な器具の一つが床面清掃機。今回は、清掃を行う人の目線から開発され、より効率の高い清掃を可能にする床面清掃機3機を紹介していく。
アマノ(横浜市港北区)は、自動床面洗浄機にあらかじめ手動操作した一通りの作業を記憶させ、今までと同等の洗浄作業を自動運転で再現する自律走行式ロボット洗浄機「SE-500iX」を3月28日より販売開始。
今までの自動床面洗浄機は、手で押すタイプ、駆動モーターを用いた自走式、人が乗り込む搭乗式の3種類であった。いずれも、人のオペレーションを必要としていたが、今回リリースした新製品は、国内で初めての自律走行式の洗浄機で、準備段階、後片付けを除き、洗浄作業自体を自動で行う。
また、自動運転では一般的にパソコン等を用いて、地図情報をプログラミングする必要があったが、同製品では、現場の「すぐに導入したい」という声に応え、プログラミング工程を、熟練した現場スタッフに1度洗浄作業をしてもらうことで、同じ動きをロボット洗浄機に覚えさせるという方式をとる。1度動かすことで、地図情報等を形成し、コースと汚れやすいところをパターン通りに洗浄する。最大64通りのパターンを覚えさせることができ、洗浄する場所が変わっても、同様に1度動かすことで、パターンを覚えるため、迅速に対応することが可能だ。なお、床面洗浄機の運用において重要な課題の一つが、洗浄汚水を完全回収することだ。同製品では、スキージーを3層構造とし、フロント1枚、リア2枚。特にリアの2枚が残水を無くすことに大きく貢献しており、1枚目で回収できなかった水を、2枚目で完全回収する仕組みをとる。
なお、同社が床面清掃機に着手したのは、昭和57年。当時は、欧米メーカーとの技術提携による自社生産からスタートした。同社は、開発する上で、日本人が使いやすい清掃機を基本コンセプトとした。現在、同スペックのものであっても、同社製品は、海外輸入製品よりも小型である。現在、ビルメンテナンスを行う方の中には、女性や高齢の方もおり、床面清掃機の小型化は国内ニーズにマッチしたものだ。
「近年は、セラミックの床材が増えてきており、残水があると滑りやすい等の生の声から商品開発を行うなど、利用者ニーズに迅速に対応することが可能な点が自社開発の利点と考えております。また、当社では、新製品に取り付けた機能を既存製品に反映させ、マイナーチェンジ版としてリリースも行うことで、既存ラインナップにもバリエーションを持たせています」(クリーニングシステム事業部 企画課長 橋本 浩栄氏)
テナントカンパニー(横浜市中区)が提供するバッテリー式床自動洗浄機「T12 ec-H2O仕様」は、ディスクヘッドとシリンダーブラシヘッドの2仕様があり、床材や汚れの性質により選択が可能。いずれの仕様も、水道水を電解し日常清掃で洗剤を使わない床洗浄技術ec-H2Oが標準装備。
ec-H2O搭載の洗浄機は、環境負荷の低減、清掃コスト削減の両方を実現。同製品のような中・大型機を使用する広いフロアであるほど、その効果が明確となる。洗剤代、洗剤の調合にかける手間、洗剤容器の廃棄、汚水処理コスト削減だけでなく、使用する水量も大幅に減らせ、同じ広さの面積の洗浄でも、給排水によるダウンタイムが削減でき、清掃効率の引き上げ、労務費の削減ができる。
同製品は、ブラシ下げ、洗浄液の散布などの洗浄作業操作がワンタッチで行える。さらに、あらかじめ洗浄設定をしておけば、いつも同じ床洗浄ができ、作業者による作業のバラつきもない。また、すべての操作、表示がハンドル中央部で確認できるため、視線を前方からはずす時間が短く、運転者の疲労軽減に貢献する。
ワックスメーカーとして昭和19年に創業したリンレイ(東京都中央区)は「快適な居住空間をクリエイトする」を企業理念に掲げ、社会の発展や住環境の変化に伴い様々な製品開発を手掛けている。約15年前から自社開発の自動床洗浄機の販売を開始。現在、6種類の自動床洗浄機を販売している。床面清掃には、洗剤を撒く・洗う・洗浄後の汚水回収という3つの工程があるが、同社が発売している自動床洗浄機は、これらの3つの工程を1台で補える機能が基礎となっている。一昨年の11月に発売されたシリーズ最新型自動床洗浄機「Rook17快α」は、誰もが使いやすい製品を目指し4度のリニューアルを経て完成された製品である。同製品について同社のマーケティング部チーフリーダーの岡部浩司氏は次のように語った。
「Rookシリーズのハイグレード機である『Rook17快α』は、近年、床洗浄機を使用される方に女性の比率が高まってきている、というところに着目し、開発を行いました。自動床洗浄機は、後ろに立ち操作するものが一般的ですが、女性の使用者は洗浄機のボディで前方が見づらくなり、恐怖心を覚え、作業効率が下がってしまうことが多くあります。この問題を解決する為、ボディ内部の機構の設計にこだわり、前に切り込んだフォルムを実現し、前方に大きな視界を確保することで、平均身長155cmの方々でも安心して使用できる構造にしました。また、同Rook17シリーズではパッド台といわれる洗浄ユニットの脱着を自動(スイッチ操作)で行える機能を国内メーカーで最も早く採用しており、使用者の方々に、より安全安心で効率的な作業が実現することを常に目指してきています」(岡部氏)
また、同氏は現状の製品に満足せず、利用者からの意見がある限り、それに応える新たな製品の開発を続けると語った。