不動産トピックス

クローズアップ 天井編

2014.06.23 14:20

 外壁や側壁に付加価値をつけるビルオーナーは多いが、天井部分は手つかずだというケースが大半だ。今まで注目されなかった部分をバリューアップすることは空室対策にもなる。建物の価値を上げる天井製品を紹介する。

 必要な場所へ必要な電力を供給する適光適所を実現し無駄なく節電を行う調光器を販売する日本節電力開発(東京都千代田区)。同社は天井部分のバリューアップ製品としてLED平面パネル照明「人工空システム」を発売している。
 同社事業本部長の大喜章徳氏は「エントランスやエレベーターの前に設置するだけでイメージが変わります。ビルのバリューアップということを考えたときにワンポイントになるのではないでしょうか」と語る。
 同社の調光器を用いることで1wから70wまで自在に明るさを調節することができ、ほのかな明るさから強い日差しまで本当の空のように演出することができる。タイマー機能を活用することで自動的に自然な調光を実現することも可能となっている。また、オーナーの好みに合わせて写真などのコンテンツを事前に入稿することでオリジナルの雰囲気を作り出すこともできる。
 「人工空システムは節電をメーンとする製品ではなく天井の付加価値を高める補助的な照明機材として販売しております。しかし、当社の技術を生かして調光することで節電効果を発揮させることもできます」(同氏)
 一般的に天井パネルを設置する際、電気の配線以外に照度を制御するための信号線が必要になるが同製品は通常の電気配線のまま設置することができる。通常、コストをかけることで良いものを導入することができるが、低コストで簡単に事務所に開放的な空間を作ることができるということが同製品の特徴だと同氏は考える。
 「同製品を配置することで圧迫感を感じさせずに空間を広く見せることができます。天井部分を活用して建物のイメージを改善させるために導入を検討していただければと考えております」(大喜氏)

 トランス、コイル、電子回路をベースに培った開発及び技術力を応用し、インバーター電源などの大量生産によるローコスト・ハイパフォーマンスを実現するサナーエレクトロニクス(東京都品川区)。蛍光灯インバーター安定器やLED照明などのシーリングライト製品、高圧電源トランスを販売している。
 同社常務取締役の伊藤誠氏は「当社の強みは高い技術力とメーカーであるということです。国内外に拠点を置きコストを追求しながら製品を生産しています」と語る。
 東日本大震災以降、省エネへの関心が高まりLED照明の需要が増えた。しかし、全体から見ると15~20%ほどしか普及していないのではないかと同氏は考えている。同社は蛍光灯にもLED照明にも対応することができるように両製品を兼用できる商品を提供しているとのこと。
 「当社は施工技術者も揃えております。販売して終わりというわけでなく施工まで行うことでトータルでサポートしていく環境を整えています。明るさを抑え、より省エネ効果を高めたいなどの要望はメーカーにしかできない対応で比較的簡単に実現することができますので、様々な顧客の要望にも臨機応変に対応しております」(同氏)  蛍光灯の安定器に関しては競合する企業は少なくなっていると同氏は感じている。同社は今後も省エネ事業を軸にして、LED照明だけでなく蛍光灯の安定器を販売することで建物の多様な需要に応えながらビジネスを展開していく。

 壁面緑化の導入からメンテナンスまでトータルでサポートする事業を展開する大日化成(大阪府門真市)はアートフラワー高宮(千葉県船橋市)とタッグを組んで天井緑化の発展に奮闘している。
 「天井は室内のなかでも華やぎが少ない部分です。高所部分に生花を飾ることは難しくコストもかかるためアートフラワーで緑化を行おうと考えました」(大日化成技術部部長 山下 律正氏)
 アートフラワー高宮代表取締役である高宮幸子氏は「天井を緑化するのであれば造花が最適だと思います。オーナーの好みに合わせてデザインや色に変化をつけることができます。緑だけを敷き詰めるのではなく、緑で作ったオブジェなどを組み合わせることでバリエーションを出すことができることも魅力です」と語る。予算やスペース、全体の雰囲気に合わせたデザインを考案することで、生花では実現できなかった天井装飾を提供することができる。平面的な緑化だけでなく立体的な緑化も行うことができるため建物の用途に合わせてレパートリーを変えることが可能だ。天井を緑化することで建物のバリューアップや他物件との差異化を図ることができる。
 「天井部分の装飾となりますと消防法などの問題が出てきます。天井緑化を行う際は防火対策などを徹底して安全性を高めながら取り組んでいきます」(高宮氏)
 建物の価値観が多様化するなかで壁や床を装飾する動きが出てきているが、天井部分の装飾に目を向ける企業はまだ少ないと山下氏は感じている。造花を用いることで生花よりコストを抑えることができ長期的な装飾も可能だ。「天井につながることで将来のビジネスにつながると思います」と同氏は期待する。




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