不動産トピックス
今週の一冊
2014.09.01 16:46
不動産をかうなら五輪の後にしなさい 不動産鑑定士がこっそり教える売買のコツ
著者 萩原 岳
出版 平成26年8月25日
発行 SBクリエイティブ
価格 760円(税別)
アベノミクス効果による景気回復は、国民の消費行動を積極的にする追い風となっている。東京都心では、2020年の五輪開催を見据えた湾岸部のマンション開発が活発になると同時に、投資家の購入マインドも旺盛になっている。しかし、著者は安易な住宅購入ムードが一部で醸成されている昨今の状況は、危険な兆候である可能性を指摘する。
著者によれば、増税や物価上昇の前に駆け込みで家を買いたいという気持ちは理解できるものの、「以前から購入しようと思っていたら偶然タイミングが重なった」というならいざ知らず、周囲のムードに流されて物件を見に行き、耳触りの良いセールストークに乗せられて購入するのはリスクが高いという。東京五輪までに供給されるマンションは、既に資材や人件費の高騰で建築コストが上昇している。2、3年で転売するのではなく、20年、30年と長期にわたって住み続ける目的で購入するのであれば、マンション購入は慌てずに五輪開催後に遅らせることが望ましいとしている。
本書は、マンション購入に際して知っておくべき最低限の知識から五輪開催の2020年前後の不動産・建築業界の見通しを予測した上で、なぜ購入を遅らせるべきなのかを解説。流行しているサラリーマン大家のメリット・デメリットなどを紹介している。不動産購入に絡むトラブルを回避するには何をすべきか、本書は不動産に関する知識が乏しい人でも分かりやすく解説してくれる教科書となってくれるだろう。