不動産トピックス
今週の一冊
2014.09.22 12:50
契約書の逐条開設とともにビル賃貸の法的問題点を網羅した既説書!
ビルオーナーのための建物賃貸借契約書の法務事務
著者 那須・本間法律事務所
出版 商事法務
発行 平成26年9月15日
価格 4104円
不動産賃貸に携わる者にとって、建物賃貸借契約書は常に身近にあるものではあるが、契約書の条文の内容を正確に理解できているかというと、心許ない方も多いだろう。本書は、不動産賃貸管理の実務に精通した弁護士による、建物賃貸借契約書の逐条解説である。
本書には、事務所・店舗用のビル賃貸借を想定した建物賃貸借契約書のモデル文例が掲載されており、このモデル契約書の条項にそって、各条文の趣旨・内容とともに、関連する法令や法的論点、判例等が解説されている。また、契約条項毎に「賃貸人からの質問」というQ&Aコーナーが設けられており、「賃借人が賃料を滞納している。どのような方法をとればよいか?」といったありがちな法的トラブルから「賃借人の解約を禁止する特約に効力は認められるか?」といった細かな疑問点まで、実務的な観点から詳細な解説が加えられている。
「ビルオーナーのための」との表題のとおり、モデル契約書には、標準的な賃貸借契約書に使用される契約条項に加えて、ビルオーナー(賃貸人)の立場に立った場合に有利な特約条項等も記載されており、Q&Aコーナーにおいても、一般的な解説に加えてビルオーナー向けの実務上のアドバイスが記載されている点が面白い。
契約書の逐条解説という体裁をとりながら、ビル賃貸に関する法的問題点の多くを網羅した内容となっており、ビルオーナー、ビル賃貸管理担当者はもちろん、不動産賃貸に関与している者にとっては有益な内容の良書といえるだろう。