不動産トピックス
クローズアップ 防災商品編
2014.10.06 11:15
東日本大震災以降、防災への意識は高まりつつある。それと同時に新たな防災対策商品の開発も各企業で行われている。今回は災害時の安全を守る画期的な商品を紹介する。
ボネックス(東京都千代田区)が開発・販売を行っている「SAT119 エコ」は投げるだけで消火機能効果を発揮する防災商品。特殊なプラスチック製のボトル型で大きさは500mlのペットボトルほど。火災元に同製品を投げると容器が割れ中の薬剤からアンモニアガスや炭酸ガスが発生し火の元になる酸素を抑え消火する効果をもつ。現在、テレビや雑誌などでも取り上げられえており、その高い消火機能に注目が集まっている。
「特殊なプラスチックを採用しており、手で割ることができません。しかし30cmほどの高さから落とすと容器は簡単に割れます。サイズも小さく軽いため、お年寄りから子供まで誰でも簡単に使用できます」(代表取締役社長 苅谷 公司氏)
火災死傷者の大半は逃げ遅れが原因といわれている。火災時の逃げ道確保を目的に開発され日本消防検定協会の性能鑑定(NS)を取得している「SAT119 エコ」の効果を苅谷氏は「製造した全ての商品は、NSの検査を受けて出荷されています。また小さいが高い消火能力を備えていることが最大の特徴です」と語る。
保証期限は約5年となっており、期限が切れた際には中身は下水に流し、容器はプラスチックゴミとして処理することができ消火器等と異なり廃棄コストがかからない点も同製品の特徴といえる。また同社では「SAT119 エコ」を導入し事前の登録を行った家庭、テナントが同製品を火災時に使用した場合、お見舞金として最高10万円の贈与を行っている。
アイポケット(横浜市中区)は約3年前からエレベーター用防災商品「EV椅子」を取り扱っている。東日本大震災の際、東京都内でもエレベーター閉じ込め事案が65件発生し、救出まで最大9時間を要した事例がある。同製品はそうしたエレベーターに閉じこめられた際に効果を発揮する商品であると同社、課長の金岩大介氏は語る。
「『EV椅子』はトイレと食糧備蓄の2つの機能を備えたボックス型の防災商品です。エレベーターの隅に設置し普段はイスとして使用、災害時にはボックス上部の座面シートを取り外しトイレとして活用できます。下部分には食糧などの物資が収納されており救助までの食糧を確保することができます」(金岩氏)
また同製品は、他の類似製品と異なり簡易トイレを移動させることができる特徴をもつ。「トイレの移動が可能なことでエレベーターという限られたスペースであってもプライバシーを守ることが可能になります」と金岩氏は語る。
今後30年以内に首都圏直下型地震は発生する可能性が70%あると予想されており、最大で1万7000人もの人がエレベーターに閉じこめられると見込まれている。同製品を導入することで、万が一閉じこめられても救助まで安心して待機することができるほか、日常においても安心感をもってエレベーターを利用できる。現在、賃貸住宅を中心からの引き合いが強いが今後はテナントビルやオフィスビルなどにも有効的なので「EV椅子」の認知度を高めていく。
防災備蓄センター(中央区)は災害時に有効な防災商品の開発・販売を行っている。同社の取締役、野崎一郎氏は防災への意識の高まりによって多くの建物に3日分の食糧や発電機などが備蓄されてきたと語るが、食糧には約3年の賞味期限が発電機などはオイル交換などといった点検が必要なのだ。同社では備蓄食料の補充やオイル交換など手間のかかる作業を代理でおこなう「管理代行サービス」を7月より開始。同サービスの利点について次のように語る。
「平成23年に発生した東日本大震災以降、災害時に備えて防災商品を備蓄している建物は増加しました。しかしその多くは、備蓄するだけで満足してしまい交換や動作点検などを行っていません。そうした状況を改善するため『管理代行サービス』を開始しました」(野崎氏)
防災商品は日常から使用するものではない。いざ災害時に使用できないものを備蓄していても意味がない。同サービスは災害時に備えしっかりと防災倉庫の棚卸や機械類の点検を行う内容となっている。
同社では同サービス以外にも様々な防災商品開発を行っておりの多くの問い合わせがあると野崎氏は語る。また同氏は今後も人々の役に立つ商品の開発に努めていくと語った。