不動産トピックス

クローズアップ 防滑編

2014.12.01 13:55

 日々多くの人が利用するビルでは、快適性や安全性の維持あるいは向上が常に求められている。これを怠れば建物内でのあらゆる事故の原因ともなり、場合によっては建物の所有者や管理者が責任を負わなければならないためだ。中でも注意したいのは、雨天時などで濡れた床面に足をとられ起きる転倒といった、日常的に起こりうる事故に対する未然の対策である。

 樹脂材料の製造メーカーであるアルテック(東京都目黒区)では、施工場所に応じた防滑樹脂製品を「オールグリップシリーズ」として展開し、防滑材料の設計から施工に至るまで全てのサービスを提供している。
 かつて転倒事故は自身の不注意として表面化することが少なかったのだが、近年では管理者の責任が問われるケースが増えている。また、バリアフリー法の施行や転倒防止に関する様々なガイドラインの整備によって、安全管理に対する一般の意識は高まっているが、それが建築物などのハード面にはまだ生かしきれていないのが現状である。転倒事故の潜在因子は増加傾向にあるとみられるが、既存建築物の安全対策はまだ十分に追い付いていないことが、転倒事故が増加する要因といえるだろう。同社が展開している「オールグリップシリーズ」は耐久性の高い無溶剤の防滑樹脂で、製品にVOC(揮発性有機化合物)は含まれておらず、病院や介護施設、学校など高い安全性が求められる場面においても安心して施工が可能。高い耐久性によって厳しい環境下でも十分な効果を発揮する。同社によれば鉄道駅など歩行頻度が高い階段部分において、同社製品の耐久性と施工性の良さが評価され、バリアフリー対策工事の一環として採用される事例が多いという。

 道路工事などにおける交通誘導・警備、ビル・マンションといった施設警備を主な業務内容とするサンテックス(東京都中野区)。このうち、交通誘導や道路上の警備業務は、年間を通じて繁忙期と閑散期の波が大きいことから、代表取締役の朝倉正臣氏によれば、施設警備業務にも注力し収益の安定化を図っているという。また、警備業務とともに同社の主力業務となっているのが、石材やタイルなどの防滑工事である。石材やタイルは建物の周辺やエントランスの床材として広く使用されているが、雨が降っている時などは床が滑りやすくなり、利用者が転倒する原因にもなってしまう。仮に建物利用者が滑りやすくなった床で転倒して負傷した場合、建物所有者に対する責任が問われることもあるため、建物の防滑対策は非常に重要だ。
 「当社が提案する『スリップ・ガード・システム』は、特殊な液剤を床材に塗布し、床材に約7マイクロミリメートルの穴を無数にあけます。穴は肉眼では確認することができないほどの大きさで電子顕微鏡を用いて確認できるサイズであるため、床の美観に変化は生じません。雨などで床材が濡れた際、穴に入り込んだ水が表面張力の効果で靴底に対して吸着力を発揮し、滑りにくくなるのです。特殊な工事を必要とせず容易に床材の防滑対策を行うことができるため、商業施設やマンション、公共施設など、様々な施設でこれまでに多くの実績を残しています」(朝倉氏)

 タキロン(大阪市北区)が手掛ける遮音・防滑性階段用床材「タキステップ」は、転倒事故や騒音問題のもととなる階段部分の安全対策に役立つ床材である。より安全な昇り降りを実現するためにツートンカラーを採用し、視認性を向上。また、太陽光や蛍光灯などの光が当たると蓄光し、夜間や暗闇の際に蓄光部が発行することで段差部分の視認性を確保する蓄光タイプもラインアップされている。
 「タキステップ」は、階段の踏板の先端部分である「段鼻部」と「踏み面」が階段の形状に合わせる一体成型となっている。このため、滑り止め金具などの取り付けが不要であり、施工現場に応じて縞鋼板製階段用とモルタル下地階段用の2タイプを用意。両面テープと専用接着剤によって手軽に施工が可能だ。


 エービーシー商会(東京都千代田区)の「EXガード」は、タイルや石材などに塗布するだけで、優れた防滑効果を発揮する防滑専用のトップコートだ。屋内・屋外を問わず施工することが可能で、高い防滑性能によって転倒事故の防止に貢献する。同製品は骨材混入タイプを採用しており、施工後の長期間にわたる高い防滑性能を実現。タイルや石材に強力に接着することから、施工後約2時間で歩行が可能である。また、同製品はクリアタイプであり、仕上がりは施工前と変わらず床仕上材の意匠性を損なうことはない。




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