不動産トピックス

クローズアップ 駐車場編

2015.01.19 12:03

 ビルに入居者がいる限り、駐車場への需要は尽きない。しかしながら、その駐車場の運営が上手くいっていないことも多くある。駐車場運営を改善するサービスはないか。ここでは駐車場に関するサービスを提供している企業を追った。

軒先 空き駐車場を活用して収益を生み出す
 軒先(東京都目黒区)は、ビルや商業施設、住宅などのちょっとした「デッドスペース」やテナント募集中などの「デッドタイム」が発生するような土地を有効活用することを目的に週貸し・1日貸し・時間帯貸しスペースの検索・予約サイト「軒先.com」を運営してきたが、今年1月に「軒先.com」をリニューアルさせ誰でも簡単に1日から店舗が開けるスペース「軒先ビジネス」の運営を開始した。同社は「軒先.com」のビジネスモデルを生かして、平成24年からシェア型パーキングサービス「軒先パーキング」の運営を開始し事業を拡大させている。
 代表取締役の西浦明子氏は「『軒先パーキング』は空き駐車場を1日や1週間単位で利用者に貸して収益を生み出すサービスとなっています。既存のコインパーキングや時間貸し駐車場との一番の違いは事前に予約ができるということです。また、どのようなデッドスペースや空きスペースも駐車場として貸し出すことができ、空いている駐車場をそのまま使用するため機械設置等による新たなコスト負担も行う必要がないということも既存の駐車場とは大きく異なります」と語る。
 近年はライフスタイルや経済環境の変化、カーシェアリングの普及などで自動車を持つ世帯が減少し駐車場の稼働率の低さに悩む不動産経営者も多い。一方で、行楽地や観光地等では駐車場が不足している場所も少なくない。「軒先パーキング」は需要と供給のミスマッチを解消させ、駐車場を貸したい人と借りたい人をマッチングさせるシステムとなっている。
 「駐車場情報を登録して現場の写真をアップロードし、いくらで貸したいかを設定するだけでどなたでも簡単にサービスを開始することができます。全国で約2000台の駐車場が登録されていますが、当社は札幌ドームやヤフオクドームなどの周辺や鎌倉、京都などの観光地、大きなターミナル駅の周辺などの駐車場ニーズが高い場所を積極的に募集しています。駐車場の利用料金は近隣のコインパーキングと同じくらいで設定することを推奨していますが、コンサートが開催され予約が殺到することが予想される日などは利用料金を上げるなど微調整をしています。オーナーからは想定以上の収益を得られるということで喜んでいただいております」(西浦氏)
 西浦氏の話によると、「軒先パーキング」の利用者の中心となるのは一般の消費者ではあるが、通勤・通学や営業先への移動に利用されるケースや工事車両を現場の近くに停めたいということで予約するケースも増えてきているなど利用層は拡大してきている。コインパーキングや月極駐車場には不特定多数の利用者が駐車するが、「軒先パーキング」を利用するには連絡先やクレジットカードや運転免許証などの個人情報を登録する必要がある。また、利用者が駐車場の設備を壊すなどのトラブルを起こしてしまった場合は利用者の対物賠償保険を使用するというルールが設けられている。
 「駐車場は無人の場所が多いですが、個人を特定できる情報はいただいているので問題が起きた場合でも担保はできていると思います。これからも『軒先パーキング』事業を拡大し、デッドスペースを有効活用する仕組みを作っていこうと考えております」(西浦氏)

アズーム 国内最大級の駐車場検索サイトを提供
 アズーム(東京都渋谷区)では駐車場検索サイト「カーパーキング」を運営し、オーナー側には月極駐車場賃料保証サービスを提供している。同検索サイトは取扱数が約6万件、年間仲介台数が約5400件と国内最大級の規模を誇っている。代表取締役を務める菅田洋司氏が国内初の駐車場検索サイトの制作に関わっており、駐車場検索サイトの産みの親だ。
 同社のサービスの特長は取扱数とユーザーの多さにある。同サイトの訪問者数は年間120万ユーザーを数えており、年間に5400台仲介したとしても、駐車場を探しているユーザーはストックされている状態だという。同社執行役員の立川健悟氏は「街の不動産仲介さんに募集を出すオーナーさんも多いですが、なかなか契約が決まらないことも多いのが現状です。当社ではオーナーさんと駐車場のサブリース契約を結びますので、オーナーさん側は安定した賃料収入を見込むことが出来ます。当社でも駐車場を探されているお客様の情報が多くありますので、条件に合致したお客様を紹介することで駐車場の利用につなげていっております。あるオーナーさんの駐車場では約2カ月で16台の契約を取ることができました」と話す。
 他社の駐車場のサブリースでは、二重賃料の漏えいなどが発覚しトラブルになった事例もある。同社では二重賃料の漏えいを防止するため、看板設置を行っておらずこれまでに漏えいした件数も0件を誇っている。また同社では反社会的勢力との契約を防ぐため、チェック体制を確立し、かつオーナーに対しては貸主を開示するなど、あらゆるトラブルの防止に努めている。
 同社ではITと不動産を絡めて、会議室検索サービスなども提供しており、今後もサービスの拡充に努めていく方針だ。

カーリンジャパン メーカーから直接レンタルでコストダウン
 駐車場機器の製造からコンサルティングまで駐車場ビジネスのトータルサポートを提供しているカーリンジャパン(東京都千代田区)は時間貸し駐車場に必要な料金精算機・フラップ板などの駐車場機器のレンタルを行っている。
 同社のサービスの特長はまず、運営管理が不要な点で、時間貸し駐車場運営に必要な保守、メンテナンス、集金もレンタルシステムに含めることができる。また、土地の借り上げ方式では売り上げがいくら出ても、月々の地代賃料のみとなってしまうが、同社のレンタルシステムで直接運営した場合は売上が直接オーナーの収益につながる。
 同社ではリース会社を通さず直接レンタル契約を結ぶ。そのため短期間の事業地でも対応することができ、リース会社を通した場合に発生したコストも抑えることができる。
 同社のサービスは新規に駐車場運営をするオーナーには個別に最良のコインパーキング事業を提案し、すでに運営しているオーナーには収支分析や動線分析により、価格設定や場内設備の改善による収益向上を提案できるという。




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