不動産トピックス
クローズアップ バリアフリー編
2015.03.23 17:10
市役所や図書館などの公共施設では一般化しているバリアフリー設備。しかし、オフィスビルなどでの普及率は公共施設と比べるとまだ物足りない状況にある。そこで高齢者や障害者が快適に過ごす手助けとなる商品を今回は取り上げてみる。
限られた空間を有効活用「ローリングドア」
スーパーマーケットなどの店内フロアとバックヤードをつなぐスイングドアやスライドドアの販売などを行っているユニフロー(東京都品川区)。スイングドア国内販売シェア80%の実績を持つ同社が開発・販売している住宅及び商業・福祉施設向けのドア「ローリングドア」は回転しながら開閉する仕組みとなっており、外観は普通のドアと変わらないが、開閉軌道は従来の開き戸の約3分の1となっている。そのため、スペースが限られた場所に設置することが可能で、トイレや廊下との間仕切りとしての効果を発揮する。ドアは力を入れず軽く引くだけで容易に開閉が可能となっており、スイングドアの感覚でスムーズに開閉することができるので車いすの方や子供でも快適に活用することができる。安全性能も高く、ドアを開ける際に大きく後ろへ下がる必要がなく、急にドアが反対側から開いた場合でもぶつかる危険性が少ない。また、上吊りの開口システムを採用することによりフラットな床面を実現。上吊り金物を使用しているため、床に金物やレールなどを設置する必要がない。ドアのシャフト部分はアルミ仕様とスチール仕様の2種類から選ぶことができ、アルミ仕様はアール形状のアルミシャフトを採用しており、高い耐久性と軽量性を兼ね備えている。スチール仕様はシンプルな形状で丈夫になっており、ローコストでの提供することが可能だ。
「平成12年頃より住宅向け商材の販売にも力を入れていくために、当製品を開発しました。当社のスイングドアの利点を生かし、『快適に誰でも使いやすく、バリアフリーにも対応できるドアを作りたい』との想いからできました」と同社住宅設備課アソシエートマネージャーの小林秀人氏は語る。現在は一般住宅用途としての使用が多いが、福祉施設やビルなどの商業施設からも注目されており、徐々に取り扱いの機会も増えている。また、新戸建物だけでなく、リフォームでの使用も可能。
小林氏は「今後もバリアフリーやデッドスペースの活用などを中心に様々な用途で使用していただきたく思います」と話す。
ナブコシステム 溝を最小限にして人に優しいつくりに
ナブコシステム(東京都港区)では「ハートビルレールシステム」を展開している。ハートビルレールシステムとは、バリアフリーを考慮した引戸自動ドア用レールのことで、ガイドレールの溝を最小限にし、高齢者の杖などの挟まりを防止、また車椅子・ストレッチャー・台車などの通行をスムーズにするものだ。同製品の最大の特長としてこの安全性を謳っている。
また省エネ・環境にも配慮した製品となっている。外気の進入を防ぎ冷暖房費の節約に大きな効果をもたらすほか、環境面では気密性と遮音性を向上させて嫌な臭いや雨、ホコリ等の浸入も防ぐ。さらに防犯にも役立つ。同製品ではドアとレールの間の隙間を無くしたことで、開口部全域をカバーすることができる。その結果として、下からの物の差し入れやパール等の道具を使って持ち上げるスペースがなくなるため、こじ開け対策としても有用な一品だ。
クワハタデザインオフィス 突起高1.8ミリの薄型展示ブロック「エスコット」
クワハタデザインオフィス(横浜市中区)が開発・販売している「エスコット」は視覚障害者用誘導用タイル。最大の特徴は突起の高さが一般的なものに比べて半分以下のわずか1・8mmという極めて薄い形状だ。広く導入されているJIS規格型点字ブロックは、多様な路面状況でも確認しやすいように、突起の高さ5mmの突起に定められている。この凹凸が車いすやベビーカーの走行を困難にすることや、高齢者や身体障害者の歩行に支障をきたすことが指摘されていた。しかし、「エスコット」は1・8mmという突起の高さによって、ベビーカーなどの走行や、高齢者などの歩行に支障をきたすことなく快適に通行が可能となっている。そのため、公共施設や銀行など、様々な建物で採用されている。