不動産トピックス
クローズアップ ガラス編
2015.04.20 16:00
ビルにおいて、ガラスは欠かすことのできない重要な建材。その使用用途は様々で、エントランス、窓はもちろん、近年の製品では壁やパーテーションに活用するなどバリエーションに富んでいる。今回は高い機能性を持ちながらも、幅広く応用することができる特徴的なガラスを紹介する。
ハードグラス工業 3層ガラスの日本国内での普及を目指す
ハードグラス工業(兵庫県伊丹市)は強化ガラスドアの製造販売を中心に事業を展開している。現在は建築物開口部の製品開発・販売に力を入れており、同社の技術を生かした製品「ハードグラス」シリーズはペアグラス、Low-Eペアグラス、強化ペアグラス、合わせペアグラスと多種に渡って用意されている。その中でもオフィスビルでの使用に関しては「ハードグラス 3層ガラス(トリプルペア)」の普及を目指している。
同製品は3枚のガラス板を使い、中に2層の乾燥中空層を備えた3層ガラス。既に北欧などでは普及しているもので、既存の2層よりもさらに高い遮熱、断熱効果が期待でき、快適な空間を維持することが可能となっている。ガラスを使用する開口部は屋内温度に影響しやすい重要な場所であるため、使用するガラスに「ハードグラス 3層ガラス(トリプルペア)」を選択することで今まで通りの採光を行いながらも空調使用時間の低減、効率の向上が望めるため、省エネと共に経費削減に効果を上げることができる。
同社東京支店長の拓殖浩二氏は「当社ではガラスの切断から加工製品化まで一貫生産を行っており、高品質を維持しながら納期が早いことも製品の特徴で、加工技術を生かしたオーダーメード製品についても対応が可能です。また、中空層へアルゴンガスを注入したトリプルガラスもあり、強化ガラスや合わせガラスを使用し万が一の場合にも備えたい、あるいは大きなガラスが必要など、どのような要望にもフレキシブルに応じられます。まずは相談いただければと思います」と自信を見せている。
日本板硝子 調光機能のあるフィルムを挟んだ合わせガラスを試験販売
日本板硝子(東京都港区)は先月、「サーモクロミック調光ガラス」の試験販売を決定した。
同製品は中間膜にサーモクロミックフィルムを挟んだ合わせガラスであり、このフィルムが太陽光で熱を持つことで色調が少しずつ濃く変化していき、最大で可視光線を約90%、日射熱を約70%遮ることができる。この変化はガラスの熱が冷めれば本来の透明さに戻る可逆的なものとなっており、さらに万一破損時にもガラス片が飛散せず、安全性も高い。オフィスビルや公共施設など、光環境、温熱環境が重要な場所での展開を目指していく。
同社営業企画グループリーダーの坪田敏氏は、同製品のオフィス空間への応用について自信を見せている。「従来カーテンやブラインドで行っていた暑い夏の強い日差しは、濃色ガラスの窓で日差しを遮り、寒い冬には透明なガラス窓で日光を取り入れるということを、このガラスでできるようにしたいです」(坪田氏)というように、ガラスそのものに調光性能を持たせることで、空調・照明設備の省エネや経費削減など、オフィス環境をさらに快適なものとする効果が期待される。また、特殊な設備などは一切不要のため、あまり出入りの無い部屋や、強い日光を遮りたいものを保管しておく部屋、カーテン・ブラインドを設置したくない店内などで気温に応じて自動的に日差しの侵入量が変化する。
フィルムを挟む2枚のガラスは応用を利かせることができ、さらに様々な性能を持たせることも可能。色付のガラスを使用し色調を変化させたり、複層化して断熱性能を持たせることなど、同社は現在様々な検討を行っている。
試験販売の開始は今年の夏頃を予定しているが、既に同製品を使用したいという問い合わせや引き合いが相次いでいる。「今年の試験販売を通じて需要のある寸法、機能、コストなどを精査していきます」(坪田氏)としたうえで、早期の一般販売を目指していく。
エージークルー LED内蔵ガラスで日常生活にもガラスアートを
エージークルー(東京都板橋区)はガラスアートを日常の生活に密着する建築空間にステンドグラスや積層ガラスなど、個性的なガラスを製造・販売している。
同社の「パワーガラス」はガラスの中にLEDの小さなライトスポットによってデザイン性に富んだ表現が可能なハイテクガラスだ。基本構造としては、ガラスとガラスの間に酸化金属膜とLEDを挟み込み、合わせることによって形成されている。ガラスとガラスの隙間はわずか2mmで、非常に薄い形状になっている。
また、ガラスを強化加工することもでき、インテリアだけでなく、エクステリアにも使用が可能。ガラス内部に供給する配線は、目に見えず、ケーブルを使用していないため、様々なデザインを実現。ロゴやシンボルマーク、メッセージなどにも活用することができ、情報メディアとしても運用できる商品となっている。
旭硝子 快適なビル環境を実現する複層ガラス
旭硝子(東京都千代田区)が販売する「サンバランス(ビル用)」。
同製品は室外側ガラスの乾燥中空層に接する面に、熱放射を遮断する特殊金属膜をコーティングしたペアガラス。夏は日射熱の流入を防いで冷房効率を高め、冬は暖房輻射熱の流出を防いで暖房効率を高めることが可能。また、特殊金属膜は紫外線も大幅にカットでき、内装や家具の色褪せ、劣化の防止にも効果がある。ガラスの透明感を生かしながら、一年を通じて快適な空間を実現。