不動産トピックス
クローズアップ 湿度対策編
2015.05.04 12:05
間もなく高温多湿の梅雨、そして夏がやってくる。気密性の高いビルにとっても湿度は天敵で、結露、カビ、腐食等、様々な被害をもたらしてしまう。今回は、湿度への対策となる調湿、除湿製品を紹介していく。
エコトランスファージャパン 建造物の寿命を延ばす
エコトランスファージャパン(東京都中央区)は、ドイツ製の省エネ建材、エコロジー建材の日本での展開を目的とし、プロクリマ社製品をはじめとした様々なドイツ建材の輸入販売を行っている。
中でも同社が日本での普及を目指している、カイムファルベン社製シリケート塗料「カイム」は大きく内壁用「カイム ビオシール」と外壁用「カイム ロイヤラン」とに分かれ、オフィスビル、住宅をはじめとしたあらゆる建造物の寿命を延ばし景観を保つことが出来るようになる、高性能かつエコロジーな塗料である。
「カイム」は選び抜かれた天然原料を使用した無機シリケート塗料であり、表面をコーティングするような一般的な塗料とは違い、コンクリート、モルタルをはじめとしたあらゆる鉱物系下地に浸透し一体化することで、高い透湿性、耐久性、防カビ性などを付与し、高湿度による結露や汚れ、浸食から壁面を保護することが出来る。
さらに、内壁用塗料である「カイム ビオシール」では塗装直後であっても強い臭気は無く、一切の有害物質を含まない為食品を扱う倉庫や店舗であっても問題なく使用が可能である。同様に、外壁用塗料である「カイム ロイヤラン」では強い撥水性や耐候性、耐紫外線性を誇っており、工業排気や酸性雨による壁面のダメージを防ぎつつ、変色や色あせを防ぎ、十年以上にわたり建造物の景観を保ち続ける。
「カイム ビオシール」「カイム ロイヤラン」共に不燃性塗料であり使用の場を問わないのと同時に、ニーズに応じて200種以上の多彩なカラーを用意することができるため、建造物に様々な意匠性を持たせつつ末永く保つことが可能だ。一般的な水性塗料とほぼ同様の感覚で施工が行えるため、業者の負担も軽い。
日本ではまだ「カイム」の認知度は低いがドイツをはじめとしたヨーロッパなど海外では既に性能の高さは知られており、ドイツの著名な建築家であるブルーノ・タウト氏が設計した集合住宅や、世界遺産であるシドニーのオペラハウスの一部などに、建造物の保護、景観の維持を目的とし「カイム」は使用されている。
エコトランスファージャパンの顧問である岩瀬信和氏によれば、「日本のビルに対しても、テナント入れ替え時の内装改修や、外壁補修の仕上げに利用しつつ強力なアクセントを持たせるなど、様々な場面で『カイム』には活躍の余地があります。希望されるどのような色にもほぼ応じられる汎用性があるので、意匠性に富んだ建築物を実現するのにも一役買います」と自信を見せている。
ダイキン工業 温度と湿度を個別に管理
ダイキン工業(大阪市北区)は、水配管不要の調湿外気処理機「DESICA(デシカ)」を展開している。 「DESICA」は、従来の室内熱交換器アルミフィンと湿度を吸着するデシカント素子を一体化した「HB(ハイブリッド)デシカ素子」を搭載した外気処理機であり、空調と組み合わせることで、オフィスの湿度と温度を個別にコントロールをできるようにした装置。冷房使用時には外気から熱を取り込まず、その熱を屋外への湿気放出に利用し除湿を行い、暖房使用時はその逆を行うことで、室内の熱を屋外へ逃がさず、吸着した湿気を室内に放出し加湿を行う。冷暖房の熱をそのまま除湿・加湿に利用する為、エネルギー効率が良いのが特徴だ。
従来の空調では設定通りの室温になっても高い湿度の為に不快感が強かったり、逆に、空気が乾燥し、肌荒れや免疫力の低下を引き起こすなど、快適な室温と適切な湿度との差から弊害があった。しかし、「DESICA」を利用することで温度と湿度のバランスが保たれ、オフィスの快適性の向上を望むことが出来る。また、「DESICA」は水配管不要のため、配管工事が要らず、水道代もかからない。同様に、水漏れの心配もなく、清掃も簡単なものとなっているため施工費用とメンテナンス費用も抑えられる。また使用量、使用環境に合わせられるよう4種類の風量別バージョンに加え、防臭性能を持たせた「ストリーマDESICA」も展開している。
日本エムテクス 湿度をにおいを吸着する赤卵漆喰
日本エムテクス(東京都世田谷区)は資源循環型社会づくりへの貢献をめざし、天然素材、天然原料を使った様々な製品を展開している。
中でも、赤卵の殻を漆喰に配合した内装材「赤卵漆喰」は、漆喰のアルカリ性による防カビ性、殺菌性を有し、さらに赤卵の殻が持つ多孔質の性質により、湿度が高ければ水分を吸収し、空気が乾燥すれば放出する調湿機能を発揮する。天然素材の為に有害物質も含まず、アレルギーなどの心配も不要だ。また、屋内に漂うにおいの原因物質を吸着する消臭・空気清浄機能を備えており、屋内の空気をさらに快適なものとすることができる。
施工は通常の漆喰とほぼ同様に行うことが可能であり、また不燃性のため使用場所を問わない。原料がほぼ国内で手に入るため、安価で高機能、そして地球に優しい建材となっている。