不動産トピックス

クローズアップ 給排水メンテナンス編

2015.07.13 17:22

 ビルやマンションなどの建物の「見えない部分」は意識していないと忘れがちな部分である。その代表例とも言える給排水管の中は放置しておくと、錆による劣化によって管内に穴が空いてしまったり、衛生面においても悪影響を及ぼす要因となりえる。そのような「見えない部分」は常に意識して点検などを行う必要があり、ビルオーナーにとっても欠かすことのないようにしたい要素といえる。給排水管をメンテナンスし、ビルに安全・安心・衛生を提供する会社を紹介する。


サニコン 給水管のサビを止める線電極防食法
 日常的に使う、我々の命の源とも言える「水」。それをきちんと供給するために欠かすことのできない給水管はなくてはならない存在であり、きちんとメンテナンスを行うことにより安心した生活用水を使うことができる。現在では塩ビの樹脂管の給水管を用いることがほとんどでメンテナンスの手間もほぼないが、15年以上前に施工された建物の給水管の多くは鉄管、あるいは塩ビライニング鋼管が使われており、腐食やサビが発生する要因になる。
 そうした事態を防ぐため、サニコン(堺市北区)では「クレフロス」を用いた線電極防食法の施工工事を行っている。同工法は耐久性の高い線状の電極を配管内に挿入し、微弱な電流を供給。線電極が挿入された配管の腐食をほぼ100%抑えることができる。
 「線電極防食法とはいわゆる電気防錆法で、錆びている鉄に微弱な電流を流すことにより錆を止める最も基本的な防食方法であり、歴史も古く確かな実績のある工法と言えます。当社ではこの電気防錆法とクレハ環境(福島県いわき市)が販売しているチタンを酸化イリジウムで覆い、絶縁・保護のための網状の繊維としてETFE(4フッ化繊維)を用いた不溶性線電極の『クレフロス』を使った施工を行い、多くの建物に活用していただいております」と同社東京事業部長の植村真生氏は話す。
 施工方法としては、共用部の受水槽から高架水槽、そこから繋がる共用部への給水管に線電極を通し、各ポイントに引出し金具を取り付けて電源装置に配線。専有部においては配管経路に応じた配線経路を事前に調査し、給湯室などの給水管に設置していく。これにより、給水管にくまなく配線ができ、電流を通すことができるようになる。
 工事費としても、配管の取替えを行うよりも格段に安く施工することができ、半永久的に防食効果を得ることができる。
 植村氏は「分譲マンションやビルに活用されることが多いです。特にビルの場合ですと、配管経路が縦割りでシンプルな構造になっており、値段としても大きさにもよりますが、100万円以内に収めることができる物件も多いです。給水管は知らぬ間にボロボロになってしまうケースがあります。給水管の腐食によって穴が空いてしまった場合、配管の取替え工事を行わざるを得なくなります。そうなる前にも一度配管の状況をチェックし、対策することをオススメします」と話す。

タイコー 排水管更生工事に「抗菌」機能を付与
 排水管内部に発生・蓄積する細菌類は、排水管の汚れや悪臭、排水不良の原因となるとともに、排水管の劣化を進めてしまう。  そこで、タイコー(千葉県船橋市)は排水管更生工事に「抗菌」機能をプラスした「サイクロンスーパーコート工法(CSC工法)」を採用している。スピーディーな研磨と抗菌ライニングで、排水管の長寿命化とメンテナンスコストの削減に貢献している。
 同工法は独自開発の高圧研磨用専用ノズルを用いて、可能なかぎりのサビと汚れを落とし、より研磨精度を高めたサイクロンスーパーコート工法独自の高速・高精度研磨でスピーディーな工事を実現。研磨後に塗布するエポキシ樹脂に「抗菌性能」を付与する技術を自社で開発。抗菌塗装に使用する抗菌ライニング材は、塗装面における細菌の増殖を抑制する抗菌性能があり、排水管内部に塗布することで「つまり」や排水不良の原因となるバクテリアなど雑菌の発生を抑制し、排水管の劣化を遅らせることができる。
 また、抗菌製品の業界団体である抗菌製品技術協議会(東京都新宿区、以下SIAA)によって、高い抗菌性・安全性が認められ、業界初の抗菌ライニング剤としてSIAA認定を受けている。

VEEma 真空吸引力を利用した吸引式パイプライニング工法
 VEEma(ヴィーマ、福井県福井市)では、古い配管の維持に役立つ「吸引式パイプライニング工法(以下、SRCT工法)」を行っている。SRCT工法とは、老朽化した給水管に対して真空吸引力を利用してサビの清掃・管内ライニングを行う工法だ。吸引車の「真空吸引力」を利用して、老朽化した給排水管の内面に発生した錆や付着物をクリーニングし、防錆防腐食防止のために高圧で人体に無害なエポキシ樹脂塗料を管内にライニング。
 「真空吸引力」を利用することにより、既存の建築物を取り壊したり、建築物内に配管されている給排水管を取り外したりすることなく、既設管や構造物の延命を図り、かつ赤水による水質や異物による流水のつまりなどを改善させる。




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