不動産トピックス

クローズアップ エントランス編

2015.09.14 10:28

 「第一印象で決まる」とは人間関係の作り方でよく言われることだが、ビルと入居希望テナントとの間でも同じ話。しかし、ビルのエントランス改修となると、コストもかかるのではないか、という懸念がもちあがる。ここでは、ビルの第一印象向上とバリューアップに向けて、コストを最小限に抑えることのできる解決策を紹介していく。エントランスで悩んでいるビルオーナーは必見。

アトリエボーヌ アプローチを兼ねた中庭
 アトリエボーヌ丸山保博建築研究所(東京都杉並区)代表の丸山保博氏は、「アプローチを兼ねた中庭」の建築を行っている。「アプローチを兼ねた中庭」とは、中庭が建物各部屋のアプローチの役割を果たすという事である。マンションなどの建物の各部屋入口が、中庭に面する状態だ。
 デザインはロマネスク調の外観になっている。日本にある西洋式の建物の多くがギリシャ・ローマ式の建物で、「パルテノン神殿の石柱」のようなモノをイメージしてもらうと分かりやすい。そのギリシャ・ローマ式に対し、同社ではヨーロッパの田舎町の雰囲気が感じられる外観だ。和の要素も取り入れる事で、今の日本の街並みに自然と調和する「温かみ」が感じられるデザインだ。暗い廊下や簡素なデザインは、進んで住みたくなる・利用したくなるデザインではない。対して同社の中庭は、建物のアプローチの役目をしつつ、デザインの良さと安心感が感じられる。各部屋の入口が中庭に面しているため、外からは見えず、防犯対策にもなる。
 丸山氏は「各部屋全てが中庭に面している点、ここが重要です」と話す。理由は中庭そのものが共用廊下の役目となり、アパートのような外部廊下を極力なくした設計であると語る。共用廊下が中庭なので建設費を掛ける事がなく、かつ美しい中庭は建物の特徴となる。削減できた共用廊下の面積を、住居面積として増やすことも可能だ。結果的に住戸数も多くとれ、全体の賃料アップとなる。ビルの敷地内にある中庭の多くが鑑賞用の中庭の場となっている。丸山氏はビルも同じような事が出来ないか考えた。「『デザインの良さ』のみが言われますが、利回りの良さもあります。防犯機能もあります。宣伝としても使えると思われますので、オフィスビルとしては難しいかもしれませんが、対応出来るように日夜研究しています」と語る。


みはし 簡単施工の壁面装飾パネル
 内外装華飾材の国内メーカーであるみはし(埼玉県和光市)は、粘着シートで貼り付けることができる壁面装飾パネル「デコレーションボード」を今月10日より同社直販サイト「みはしSHOP」で販売した。ビルのエントランスの壁面を立体的な模様で装飾できるすぐれものだ。
 デザインパターンはシンプルな方眼・ウェーブ模様から、より複雑な3D(立体)模様まで、15種類とさまざまなパターンを用意。使用場所・使用用途などの利用者のニーズに合わせて選択することが可能だ。パネルのサイズは1㎡~3・9㎡。色調もゴールド、シルバー、ブロンズ調などバラエティに富んでおり、より個性豊かな壁面装飾を可能になる。
 活用シーンはビルのエントランスの他、ショーウインドーやショールーム、イベントブースの背景、さらに舞台・演劇等の空間演出にも適している。
 また表面も鏡面性のあるメッキ塗装仕上げがなされた美しいボードで、光による演出効果が得られ、照明など光の当て方を工夫することで、より個性豊かな壁面装飾を演出できる。そのため華やかな演出が必要な場面にも、季節に合わせたイベントなどの演出にも、即座に対応し優れた演出効果を発揮する。
 取り付けには特別な加工を必要とせず、ボード素材はABS樹脂製のため、柔軟性があり、ある程度の曲げ加工などにも対応できる。製品の裏面の台紙をはがすと粘着シートとなっており、簡単に壁面に圧着施工ができ、釘などで補強するとより耐久性が増す。撤去時の取り外しなども簡単だ。


リック 最低限のコストで最高のパフォーマンス エントランス改修でビルの価値をアップ
 リック(東京都杉並区)は商業空間や住居空間の企画開発及び設計・監理を主な事業として行っている。インテリアデザインを得意としており、同社の企業哲学は「単純さ」、「正直さ」、「直截さ」、「経済性」、「自然さ」の5原則に基づいた業務を行っている。
 商業施設や住居を中心に行ってきたが、同社では「最低限のコストで、ビルの価値を上げる方法」としてエントランス改修をビルオーナー・ビル管理オーナー向けに提案している。同社がビルで改修設計を行う際に基本としているのは「デザイン面・機能面の両要素のバランス」。エントランスホールはビルの第一印象となるほか、エレベーターカゴ内や基準階ホールなどは快適な移動空間として、過度なデザイン性は採用していない。
 同社の企業哲学の1つである「単純さ」で不必要なコンテンツは用いない。それによって、コストが高くなりがちな改装を最低限に抑え、かつ、最高の結果を残している。
 現在、同社ではビルオーナー向けに無料診断プログラムを実施しており、改修ポイントを指摘し、他のリフォーム事例などを参照しながら自らのビルの改修イメージをつかむことができる。診断は無料だ。
 コストを嫌うオーナーも無料であれば障害はない。所有するビルの改修ポイントを把握するためにも、一度、こういうものを活用するのもひとつではないか。




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