不動産トピックス
不動産ソリューションフェア人気セミナー紙上再現
2015.11.30 17:24
持続的な事業経営に重要なポイントを開設 法律と市況の両面からアプローチ
「不動産ソリューションフェア」で行われたセミナーは多岐に渡るテーマで、不動産業界の第一線で活躍を続けている気鋭の論者が白熱した講演を行った。ビルオーナーをはじめとして不動産業界の関係者などの多くの聴講者が今後の経営の参考に、そして市況を知っていくために、熱心に聞き入っていた。今回は多くの講演のなかで3人のセミナーを再現した。
東京貸ビル市場は来年6月以降弱含みの展開へ 最先端のトレンドを発信する銀座は現在好調
テーマ・東京貸ビル市場2015年以降予測と銀座不動産最新事情
五輪前に予定される大量供給 貸ビル市場はいかに乗り切るか
現在の東京貸ビル市場は、非常に好調な状況を維持しています。特に、大型ビル・大規模ビルについては空室を探すことも大変な状況にあるといえます。ただし、ワンフロア100坪未満の中型ビルやワンフロア50坪未満の小型ビルに関しては厳しい面があるものの、現在の好調な状況が少なくとも来年6月頃までは続くのではないかと見ています。また、2016年から17年にかけて、都心5区の超高層・大規模ビルの空室率は今年の年末より来年の年末の方が悪くなるというのが、私の予想です。なぜそのような結論になるのかというと、日本経済の問題もさることながら、国際的な経済のつながりの問題もあり、欧米・中国を含む東アジアの今後を推測するのが重要なポイントになると考えています。米国経済は現在のところ好調です。12月のFRB(連邦準備制度)の総会において、念願であった利上げを実施できる可能性が出てきました。雇用状況などは良好な状態で推移していますので、米国では緩和の状況から利上げによって引き締めの状況に転換していくものと見られます。すると、日本の株価は下落する可能性が生じてきます。欧州については、記憶に新しいところではギリシャ問題がありました。その問題をEU全体で対処している間にポルトガルやスペイン、イタリアでも経済不安が表面化し、依然として楽観できる状況ではないといえます。加えて直近では難民の受け入れ問題が出てきました。欧州では現状においても経済状況は芳しくなく、来年も継続するのではないかと思われます。最後に、日本にとって貿易相手国として非常に大きな存在である中国では、今年株価が大幅に下落しました。米国でも欧州でも、そして日本でも、経済統計や経済書などをもとに分析をすれば、その国の経済情勢をある程度把握することができるのですが、中国に限っていえば様々なデータや書物で分析すればするほど先が読めなくなってしまいます。なぜなら、中国では経済動向を判断するために公表されている情報もあれば、公表されていない情報もあるためです。数少ない中国の経済動向を正確に把握できる経済書などから判断しますと、中国経済は減速傾向に入ってきていることが分かります。また、中国は高度経済成長時代が終わり、かつての日本のように中庸な経済成長へと変化しています。現在の中国の人口は13億7000万人程度で、その内都市戸籍が約4割、農村戸籍が約6割といわれています。この農村戸籍の中で約2億7000万人程度が都市で生活し、働いている状況です。ここに大きな格差社会を生み出しており、戸籍格差が中国経済を保つ背景にあるのです。米国では移民が経済を支えています。これらの実情を総合して考えますと、世界的に経済の先行きがままならない状況になりつつあります。日本は国力の低下が著しいという現実があります。では何が日本経済を支えているのかといえば、非正規社員の犠牲の上に成り立っていると言わざるを得ません。日本も諸外国の抱える状況と変わりはないと考えると、東京の貸ビル市場だけが今後も好調なままで推移するかどうか、疑問に感じなければならないでしょう。賃料の直近のピークは2007年で、当時の最新鋭の超高層ビルでは坪4万円が成約水準となっていました。その後水準が徐々に下がっていき、現在は坪3万5000円での成約にまだ苦労している状態です。都心の超高層・大規模ビルでは2007年当時の坪4万円を目指しているというが現状ですが、今回はその水準に達する前に弱含みの状況になるものと考えています。東京では、10万m2を超えるような大規模な開発プロジェクトが次々と予定され、直近では2019年が供給のピークといわれています。需給関係は来年以降徐々に悪化し、大量供給が予定される2019年には貸ビル不況が訪れるのではないかと思われます。私は銀座を中心に日々の業務を行っています。銀座は日本の不動産における最高の人気ゾーンであるからです。中でも特に人気となるのは銀座通り(中央通り)、そして晴海通りの一部(銀座三越から「ソニービル」までの区間)が続き、銀座マロニエ通り、松屋通り、みゆき通り、交詢社通りの各通りがそれに続く形となります。その後に並木通りが人気で続くことになるのですが、立地によって条件は異なるものの、これらの通り沿いを中心とした一帯が1階で坪10万円以上の賃料が見込める物販店舗の出店ゾーンとなっています。不動産のブームはポテンシャルの高い場所から始まり、その流れが周辺に波及します。反対に不動産のブームが去るのは周辺部からで、最後に最高のゾーンでブームの終わりを感じることになります。不動産ブームはこの繰り返しを続けているのですが、現在は上昇トレンドにあり、この上昇トレンドがいつ終わるのかを判断するためには、日本一の人気ゾーンである銀座の不動産事情を観察するのが最も良く分析できると考えています。それを踏まえてお話ししますと、銀座の不動産売買市場は今がピークといえます。店舗についても今がピークに近いのですが、こちらは多少陰りが出てきたという印象です。商業ビルを企画する際に業態別の賃料負担能力が問題となりますが、中でも海外のスーパーブランドが最も賃料負担能力が大きいとされています。海外のスーパーブランドは一般的に、日本における売上金額が30億円を超えるレベルになると、100坪クラスの直営店舗の銀座への出店を検討します。また基準階には飲食・物販店舗が出店しにくく、そのほとんどがサービス店舗となりますので、基準階においてはサービス店舗が最も賃料負担能力に長けていることになります。その相場は坪当たり共益費込で3万5000円前後です。次いで事務所が坪3万円前半。飲食店舗は坪3万円前後となっています。これまでの経験上、1階の賃料が坪15万円を超えると国内のテナントが入居候補から外れてしまいます。1階を含む多層階でのテナント募集を行う際には、海外のスーパーブランドに対しての営業活動を積極的に行わなければ、具体的なテナント確保が困難になるでしょう。不動産時価は銀座通りと晴海通り(一部)が最も高く、現状では坪1億5000万円の水準に達しています。このほか、人気の通りでも1億円を超える水準という状況にあります。不動産の売買価格の上昇に応じて賃料も上昇傾向にあり、最も賃料水準が高い銀座通りと晴海通り(一部)の「ウルトラスーパーライン」は1階を含む3層で坪当たりの均し賃料が20万円以上、4層では15万円以上となっています。東京五輪を控え銀座では1階店舗をめぐって変化の時を迎えています。例えば、今月20日に銀座3丁目で「フェンディ」が仮店舗をオープンしました。同日に銀座4丁目では「マイケルコース」が4層で新規出店、晴海通り沿いでは「コーチ」がリニューアルオープンしました。新築に限らず既存店舗のリニューアルが相当に進んでいるとともに、目抜き通りでは坪30万円、それ以外でも坪25万円の成約事例が出てきています。現在進行中の開発案件を見ると、銀座1~4丁目より5~8丁目の方が、工事中・計画中を含め数が多い状況です。中でも注目されるのが松坂屋跡地で開発中の銀座6丁目10地区再開発です。計画では敷地内に観光バスの発着所が設けられ、再開発建物は国内外から訪れた観光客に銀座はどのような街なのかを知って頂くための機能を持つことになります。2017年の竣工後には、出店した各店舗の優勝劣敗が徐々に現れ、テナントの動きが活発になるのではないかと思います。
スムーズな相続のためにしなければならないこと
テーマ・FPからみた不動産オーナーの「一族」、「所有」、「経営」の問題~不動産オーナーの相談現場の事例を交えて~
問題なく事業承継を行うためにすべきこと
今日は主に不動産ソリューションフェアということで、私が不動産オーナーさんやビジネスオーナーさんに持っている問題意識をお話しさせていただきたいと思っています。ビジネスオーナーさんや不動産オーナーさんは個人として3つの立場をもっています。1つは個人としての生活。いわゆる収入があって、支出があって、奥さんがいて、子供を養ってというプライベートな生活。2つ目が会社。法人を持っていれば、法人の視点があります。株主の立場からビジネスをどう展開していかなければならないのか。いわゆる会社の経営を考えなければいけないわけですね。最後が、これはオーナー企業特有ですけど、株主としての立場。ビジネスオーナーさんは株主でもあって、経営もしなければいけない。個人の立場に戻れば、個人で家計をどう支えていくのか。この3つをバランスよく考えなければいけないということです。私が最初のお話しさせていただくのは、家族としての立場で、特に事業承継についてです。いわゆる不動産や会社をどうやって承継していくというなかで、家族のことから考えてくださいということをお話しさせていただきます。家族というのは何かというと、本人はもちろん、お子さんとか、あるいは甥っ子さんとか姪っ子さんとか、こういう間で争いが起こりますが、われわれFPの立場から言えば、家族全員が経済的に死ぬまでなんの問題もないという状態が作れればそんなにもめ事は大きくならないと思います。ありがちなのは、長男が会社のほとんどを継いで、弟、妹などは財産あるいは株なんかがほとんど持てないので、その他財産でどれくらいもらえるかで争うという話がよくありますが、大事なのは財産を継げなかった弟さん妹さんたちがなんの不自由もなく暮らせるような経済的なプランニングをしてあげることで、弟さんも妹さんも経済的になんの不安もなく生きていくことができると分かれば、それほど相続のときも争いになりにくいというふうに思っています。二つ目ですね。これは不動産オーナーさんやビジネスオーナーさんの立場としてですが、仮に法人の株を取得する、あるいは相続した場合には、ぜひビジネスとして株式の評価を上げることに注力してほしいと思っています。なぜかと言うと最近では兄弟が二人いれば二分の一、三人いれば三分の一分配されます。ここがビジネスあるいは事業承継をしていくなかで一番難しい問題となっています。私が危惧するのは、仮に遺言があったとしても、法律上では次男、三男にも遺産をもらう権利がありますので、いくら家庭内で話をしていてもいざ父親が亡くなったときに揉める可能性があります。難しいのは、長男に100%継がせようと思うと、ほかの兄弟にいく資産がないので、ほかの兄弟と相続争いになるわけですね。最後にビジネスオーナーさんの経営ですが、これは、ビジネスの発展、あるいは承継させていくためには、ファミリー一人あたりの純資産を維持する。これが欧米の基本的な考え方です。僕が日本で不動産オーナーさんあるいはビジネスオーナーさんを見ていると、やはりこの考え方が決定的に欠けていると思います。相続争いがおきる原因は限られたパイを奪おうとするから、問題になるケースが多いわけです。この発想はまったく逆で、要は経済パイを大きくすると、1人あたり貰える額が増えていく、そうすると相続争いはおきにくいと思います。そのためには皆さんのビル経営あるいはビジネスオーナーであれば、本業のビジネス。これ自体の成長が欠かせないということです。いろいろな不動産オーナーさん、ビジネスオーナーさんが相談にこられますが、やはりこれが決定的に欠けているなあと思うことが多いです。現状維持とか、だんだんシュリンクしていくものを、どうしようかということを考えられていますが、そうではなくて、世代が移ったときに、どうやってビジネスを発展させていくのか。今ある不動産をどう活かすのか。といった成長戦略を考えるべきだと私は思っています。事業承継というのは、親の世代ではできなかったことをできるようになるわけです。なので、継ぐ側の立場からすると、親の代からもらったものをイノベーションし、新しい成長戦略を描く。それをまた次の下の代に伝えていく。こういうことができるチャンスなわけなので、是非この事業承継のタイミングで、次の世代が会社あるいは不動産で何をするのかというのを考えるきっかけにしてほしいと思っています。私が感じているだけかもしれないですが、不動産オーナーさんに感じるのは、ビジネスを事業承継のタイミングで伸ばしていこうという意欲やアイデアが乏しい、いわゆるリアルビジネスと比べると不動産ビジネスは少ないような感じが心配です。家族内で事業承継をしていく難しさ。不動産オーナーさんやビジネスオーナーさんは、長年経営されているので、会社にスタッフがいれば、その人は父親と長年やってきているわけですよね。じゃあ次の世代の方々がイノベーションを起こそうと思っても、なかなかうまくいかない。やはり、お父さんが長年作ってきた企業文化を破壊しようと思ってはダメです。革命的にものごとを変えていこうと考えると、ぜんぜんうまくいかないですね。そうではなく、お父さんが築いてきた企業文化等を否定せずに、いいものは受け継ぎながら経営していくことが大事になります。事業承継をするのに三段階ステップがあります。まずは継ぐほうが20代から30代のあいだは、基本的には継がせるほうは実行してみせてください。継がせるほうがどうやってビジネスを回していくのか。ビル経営であれば、どうやってビルの収益をあげて、コストを抑えていくのかというところを実行して見せることが大切です。これを承継者がみて、学ぶのが20代の期間です。その次は継ぐ相手が30代から50代になってきたら、ビジネスをしている会社の一部をその承継者に権限をわたして、ビジネスをやらせてみせることですね。ただ、完全な手放しではなく、ちゃんと管理監督しながら経験値をつませてあげる。日本ではここのタイミング遅すぎるのではないかと私は感じますね。三段階目はまかせて実行させるということです。子供が50代から60代になれば、親のほうは実務からは引いていただいて、子供たちでやっていくようなことをさしてください。そして、継ぐ側が50代から65歳くらいの時にはその下の世代が20~30代になっていますので、今度は子供たちに実行してみせるというような連環の流れ不動産経営で必要だとおもわれることですね。また、どういうふうにビジネスをしていきたいのか、なんのためにビジネスをやっていくのかという価値観。こういったものを代々ビジネスをやっていくためには大事にしていかなければならないことだと思います。
オーナー側が知っておきたい法律の上手な活用方法
テーマ・テナントビル経営の知っておくべきトラブル解決法
延2000件の実績から見えてくるスムーズな明け渡しの方法について
ただいまご紹介いただきました、章司法書士法人代表司法書士の太田垣章子です。そもそも司法書士が裁判業務を行うことができるのか、という疑問をお持ちのお客様もいらっしゃるかと思いますが訴額が140万円以下の場合は、私たち司法書士が弁護士と同様に、委任状をいただきまして法定代理人として訴訟案件ができます。私どもは明け渡し案件を延2000件行っております。ビルが2000件ではないのですが、ただ複合ビルのテナント様の案件とかを多くやっておりますので、今回は法律の話ではなく具体的なお話をさせていただければと考えております。ビル経営で一番困ることは契約者以外の法人が部屋を使うケースが多いという点です。居住用の場合は、居住者が入れ替わるというケースは転貸ということもありますが、少ないです。ところが、テナントビルの場合は非常にこのケースが多いです。たとえば家賃負担を少しでも少なくするために、友人の会社に電話を引かせて、スペースを貸す場合、あるいは一昔前ですと株式会社をつくるのに1000万円の資本金が必要だったり取締役3名、監査役1名が必要だったのですが、今は資本金は関係なくなり、役員も1名で会社ができるようになりました。そうすると税金逃れや債権者から逃げるために簡単に別会社をつくることが可能となりました。そうするとたとえば賃料を滞納するテナント様がいた、その案件を私どものところに持ち込まれた。この場合、明け渡しの訴訟手続きを行うことになりますが、問題が出てくることがあります。たとえば賃借人がA株式会社、代表取締役がAとします。このケースの場合は、相手方はA株式会社を被告として訴訟を申し立てます。このときに強制執行で部屋のなかに入ったとき、もし株式会社Aの名刺が一枚あったときに明け渡しの強制執行ができるのかどうかというところがポイントなのですね。賃借人・被告人はA株式会社、代表取締役Aなのですね。その代表取締役が別会社で株式会社Aをつくっていたときに、同じ内容でも株式会社Aには強制執行で出すことはできないのです。明け渡しの判決の効力は被告人にしか及ばず、この場合A株式会社にしか及ばないのですね。そのようにならならいためにも誰が使っているかをできるだけ把握しておくことです。そうすれば中の人を特定して強制執行を申請することができます。この具体策としてテナントビルの場合はポストが重要となってきます。郵便物が届かなければならないので、ポストのところに会社名を入れているケースが多いです。なので、ビルのオーナーさん、管理会社さんはこのネームプレートを見て、別の会社名が貼られてないかをチェックしてほしいのです。貼られていたら、必ず賃借人に確認してください。一番いいのは、郵便物を管理人が一回受け取って、ひとつひとつポスティングしていくと、入居者の特定に役立ちます。私どももビルのテナント様を相手に明け渡し訴訟をするとき、ここが非常に重要な点となってきます。二番目に法人契約の注意点は、調べられるものは全て調べることにつきます。たとえば本店所在地を繰り返していると、登記簿からその会社の履歴を消している可能性があります。そのときは閉鎖謄本も調べてください。それから設立年月日を見て非常に浅い会社の場合は、それだけ歴史がないということなので、部屋を貸す際の実績の判断の目安にもつながります。最終的に、賃料が払われなければ、差し押さえをして回収することが王道です。差し押さえには3つありまして、動産の差し押さえ、債権の差し押さえ、不動産の差し押さえです。動産にはほとんど値がつきません。骨董品があれば話は別ですが。次に債権執行です。これは銀行口座を押さえる、給与を押さえるといったものです。社長仲間になると給与差し押さえの対策を行っておりますので、なかなか難しい。また口座は支店名までわからないと無理です。非常に空振りのケースが多いです。最終的には不動産の執行なのですね。不動産は競売の申し立てをして差し押さえの登記をしなければならないのですが、不動産の場合には差し押さえられたら登記簿は消えません。だから差し押さえをちらつかせると払ってくれるケースがあります。連帯保証人の住所はだいたいわかりますので、持ち家かどうか、ローンがついているかどうかで担保能力の確認が必要だと思います。では役員1名の会社で、その役員が亡くなったらどうなるか。そのような会社に部屋を貸していた場合、役員と株主がイコールになってしまうことがあり、相続も株主の地位です。非常に景気の良い会社なら別の方が役員になることがあるかと思いますが、そうでなければ役員が亡くなると相続放棄をしたいと考えます。ところが相続放棄をしようとするなら何らかの財産を処分してしまうと、単純承認という形で相続放棄ができなくなってしまいます。この場合、会社と代表取締役は法律上、委任関係です。亡くなると委任の終了になります。そうすると次の受任者が出てくるまでに、緊迫の場合にはこの方の相続人が適切な処理を行うことができると民法で定められています。なので相続人は株主の相続人という立場ではなく、受任者の相続人という形で代表の代わりに適切な処理をし、そのことが単純承認とはみなされないのではないかというのがだいたいの法律家の意見です。皆様にはもし一人役員の代表取締役が亡くなったらいち早く相続人の方のところに行って、解約書類と残置物の放棄書をいただいてください。これがないと非常に煩雑な手続きとなってしまいます。逆にこの書面があれば、皆様方が処分しても問題ございません。注意することは複合機がリースしているなどもありますので、リース元に返さなければなりません。次の滞納が始まったらなのですが、基本は入金チェックです。1日でも遅れたら督促するということです。テナントの賃料は高いので、特にこのことは重要です。家賃が払えないのは経営状況が相当悪いということです。書面でいつ払えるのかなどを取り決めてください。督促もできれば書面で、無理ならば電話でも大丈夫です。ただ必ず記録を取ってください。どのような形で督促をだしたのか、先方の反応を記録してください。また連帯保証人にも連絡をして督促をしてください。権利金があるからといって、滞納が始まるとオーバーしてしまいますので、これをアテにしないでください。いつどういう形で支払うかも、書面にすることが重要です。賃料は毎月毎月ですので、書面では滞納分の支払いと月々の支払いを確実に定めてください。この書面は訴訟時の重要な証拠となります。書面を交わしたにも関わらず、反故にされたら訴訟の手続きに入ることで、傷が深くなるだけです。このようなことは避けなければなりません。今回のお話で少しでもお役に立てれば幸いです。ご清聴ありがとうございました。