不動産トピックス
不動産ソリューションフェア人気セミナー紙上再現
2015.12.07 16:17
今回のセミナー再現はまちづくり戦略、法律家からのアプローチ、そして収益性についてなど、ビルオーナー・不動産業界関係者にとって聞き逃せないもの。惜しくも当日、聞くことができなかったという方々のために、2ページに渡って紙面再現。当日の熱のこもった話を読み、是非とも今後のビジネスにお役立て頂きたい。
鉄道会社ならではの都市開発を推進
テーマ・東急電鉄の沿線まちづくり戦略
社会環境の変化に応じてどの世代も住みやすい街を
おかげ様で、東急電鉄は沿線の複数の街で男女ともに多くの方々から「住みたい街」としての支持を頂いております。様々な理由から支持を頂いているかと思いますが、要約すれば「便利・快適・ワクワクする街、沿線」に住みたいという皆様のお考えがあるのではないかと思います。とはいえ今後も東急沿線が皆様に愛され続ける街であるのかといえば、必ずしも安泰とは考えておりません。今回は、私自身が不動産開発の企画やマーケティングに携わる中で常々考えている今後の社会や街のあり方についてお話ししたいと思います。最近、「消滅可能性都市」というキーワードが広く浸透してきました。これは地方だけの問題であろうと思われる方もいるかもしれませんが、東京23区内でも豊島区は消滅可能性都市と名指しされ、このことが地元で積極的なまちづくり活動が展開される契機ともなっています。消滅可能性都市の基本的な定義としては、出産適齢期の女性の増減が大きな要因となります。こうした子育て世代や現役世代が、住みやすいと感じて頂けるような沿線にしなければ、東急沿線も持続的に愛されることが難しいのではないかと考えています。また、2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催が控えていますが、現在の東京の街並みやインフラの多くは前回の東京五輪を契機に整備されたものです。「失われた20年」を経て各自治体の財政状況がひっ迫している中で、既存の施設やインフラの維持管理に十分な費用を投じることが困難になりつつあります。記憶に新しい「笹子トンネル崩落事故」に類似するような事故も、今後起きないとは限らない状況にあるといえるでしょう。そして、かつては郊外で一戸建てのマイホームを購入することが、社会で活躍する男性にとってのステータスであったと思います。しかし現在の若い層の方々はかつてのような収入増が見込めない等の理由から共働きにならざるを得ず、夫婦がともに働きやすい環境を求める中で、住宅の需要も都心に偏っているというのが現状です。これに伴って近年顕在化した空き家問題は郊外部から潮が引くように露見しています。ここ数年で私たちを取り巻く環境は大きく変化しました。その例としてまず挙げられるのが働き方です。当社は渋谷を中心に賃貸オフィスビルを保有していますが、テナントニーズが多様化している中で従前のように駅前好立地にビルを建てるだけでは入居企業のニーズに応えられなくなっています。住まいに対する意識も変化しています。東急電鉄グループは東急田園都市線における宅地開発を通じて利益を得てきましたが、郊外に質の高い区画整理と宅地造成を行って生活利便施設を配し、宅地を販売すれば、どなたでもお住み頂けるという時代は、曲がり角を迎えています。若い世代の方々にとっては親世代と同じ消費行動ではなく、中古物件のリノベーションや居住空間のシェアといった様々なキーワードが生まれ、徐々に大きな潮流へと変化してきていると感じます。ショッピングやエンターテイメントの仕組みも変わってきており、スマートフォンやパソコン等で時間や場所を問わず楽しめるようになりました。当社は駅前にショッピングセンターや百貨店を配置して駅利用者を取り込むビジネスモデルをこれまで行ってきましたが、ネットワークを介した商取引がここまで浸透した今、待ち構えるだけの事業展開には限界があると考えています。鉄道会社であり、不動産デベロッパーの顔を持つ当社ならではの視点から、都心の渋谷、都心と郊外の中間的な位置づけの二子玉川それぞれのまちづくりと、郊外住宅地の再生事業についてご紹介したいと思います。
都心と郊外の中間地点 二子玉川に新たな街誕生
首都圏の鉄道ネットワークは、各社間の相互乗り入れによって大きな進化を遂げました。例えば当社が特に注力している東急東横線・田園都市線・大井町線は、東横線の相互直通が開始される以前は郊外から都心へのアクセスが、路線の持つ役割の大半を占めていました。かたや都心から郊外への逆輸送でいかに利用客を取り込むかが、当社だけではなく私鉄各社にとっての課題であり、都心と郊外の中間に位置する二子玉川に業務・商業などの複合機能を集約した大規模再開発「二子玉川ライズ」は、都心から郊外へと向かう鉄道利用者の流れの形成に貢献しています。これを証明するように「二子玉川」駅の乗降人員は15%程度増加し、他社線からの利用だけではなく東急線のみの利用で二子玉川を訪れる方も急増しています。元々、東横線は「渋谷」駅が終着でしたが、東京メトロ副都心線との相互直通運転を開始したことで人の流れの大きな変化を生み出しています。東急線全体の利用者数は微増となっていますが、東武線・西武線沿線から副都心線を経由して東横線の横浜方面で向かう方が増えていることも、その要因の一つであると思います。東急線沿線の主要エリアである渋谷・二子玉川・自由が丘を結んでできる三角形を当社では「プラチナトライアングル」と呼称しています。この一帯は富裕層・知識層がお住まいになる日本でも有数の肥沃なエリアであり、「クリエイティブ・シティ・コンソーシアム」という団体を通じて多くの民間企業とともにクリエイティブなまちづくりの実現に向け活動を展開しています。そして当社グループにこれまで多くの利益をもたらしてきた郊外の住宅地について、区画整理・宅地造成をして宅地を販売するという事業はほぼ終了しています。郊外の住宅地では人口が定着し街の成熟期に突入しているのですが、同時に急速な高齢化の波が押し寄せています。この問題をどのように解消するのか、産官学民連携による次世代型のまちづくりという再生プロジェクトを現在推進しています。このプロジェクトではもう一度郊外の住宅地にスポットライトを当て、若い世代にも魅力に感じて頂き、高齢者にも安心してお住まい頂けるような郊外住宅地の魅力の再定義を進めています。これにより、引き続き東急線沿線の世代バランスの保持を戦略的に実現しようというのが目的です。
100年に一度の大改造 地形を生かした渋谷の開発
それぞれの街におけるまちづくり戦略を具体的にご紹介します。まず、渋谷は「エンターテイメントシティしぶや」というコンセプトのもと、毎日新しい発見が来街者を楽しませるような魅力あるまちづくりに取り組んでいます。現在、渋谷は「100年に一度の大改造」ともいうべき再開発が駅を中心に展開されています。2027年には再開発工事が終了し、「渋谷ヒカリエ」の他にも「渋谷」駅周辺に多くの超高層ビルが建ち並ぶことになります。現在のハチ公前広場も拡張され、より多くの方にお越し頂いても安全・快適に渋谷の街を楽しんで頂ける環境の整備を進めています。「渋谷」駅直上には高さ230mの超高層ビルが東京五輪前に完成する予定ですが、「エンターテイメントシティしぶや」を象徴するように日本最大級の屋上展望施設が計画されています。渋谷はすり鉢状の地形から移動のしにくさが街の弱点として存在していました。「渋谷ヒカリエ」で既に設けられていますが、縦動線をつなぐ「アーバンコア」をこれから完成する再開発ビルにも標準装備させ、全ての方にとって移動しやすい街を構築する計画です。次に、二子玉川ではクリエイティブシティの創造に向け都内でも最大級の再開発「二子玉川ライズ」が今年度グランドオープンを迎えました。二子玉川は優れた住環境を有していますが、これまでオフィスのイメージはありませんでした。「二子玉川ライズ」では都心とは異なり生活環境にある空間にオフィスを設けることで、クリエイティブな発想を促すオフィス空間を提供しています。また、この開発では建物屋上部に約6000m2の屋上緑化を実施し、付近を流れる多摩川河川敷の植生を移植するなどして、地域の環境再生に取り組んでいます。こうした多角的な環境配慮に特化したまちづくりを推進することで、世界的な環境認証評価であるLEEDND(まちづくり部門)で世界初のゴールド認証を取得しました。二子玉川では人の流れや人の数の変化や、新しいビジネスの芽が生まれてきていると感じています。
あらゆるトラブルを想定したうえで賃貸借契約書への記載が紛争予防に
テーマ・最新の不動産事情を踏まえた賃貸借契約書作成におけるポイント
情報の格差をなくして書面化することが肝要
消費者契約法というのは非常に漠とした法律でありまして、消費者側がこの法律をバックにして契約の相手方を攻め立てやすい法律なのです。特に問題となっているものとして消費者契約法第10条がありまして、「消費者の利益を一方的に害する条項の無効」ということで、賃貸借契約書だけでなく様々な契約が一方的に消費者に不利だったら無効になるという非常に強力な効力を持っているものです。賃貸借契約書に関しては一時期、関西のほうで敷引きや更新料に関して裁判になったケースがありました。消費者契約法の目的というところが面白く、「消費者と事業者の情報の質および量ならびに交渉力の格差に鑑み」とありまして、事業者の一定の行為により消費者が誤認し困惑したような場合とか、消費者の利益を不当に害するような場合には、契約を解除できるし、差し止め請求を行うこともできるとなっています。では実質的にそれが無効とすべきものなのかについて、二段階目で実質算段がされることになります。このとき信義則に反しているか否かが問われるのですが、この信義則は法律で取り扱われていない事柄に関して最後の伝家の宝刀として抜かれるものです。なので相当、事業者サイドが乱暴なことを行わない限りは、無効になることは防げると思います。消費者契約法の点をクリアしていくためには、契約書の内容を明確かつ平易にして十分に情報提供を行っていくことが重要です。事業者によっていろいろと工夫されているかとは思いますが、敷引き特約などについては具体的な金額を明記する、またあまり高額な工事をしないというのが必要かと思います。また敷引き特約無しで賃料を高くすることや、敷引き特約ありで賃料を安めに設定するなど、いろいろと工夫の余地はあるのかなと思います。更新料についても、裁判所の見方としてたとえば2年更新の場合、月々の支払いを低く見せかけるために高い更新料を取っているのでは、という指摘をする裁判例もあります。それに対する反証として更新料なども含めて契約の際に話して、明記しといたほうがいいと思います。次に原状回復の話をしたいと思います。原状回復の業界の状況としましては、東京都ルールがあるのに加えて、国交省でもガイドラインを示しておりまして民間賃貸住宅の退去時における原状回復に関する一般的なルールが書いてあります。ただこれがかなり膨大な量の内容となっておりまして、さらに相当細かいものとなっており、全てを反映するのは困難です。ただ、それなりにヒントになる部分はありますので、いいところだけを生かしてかいつまんでいく、という対応が適切かと思います。まず、賃貸借契約が終わったときにどの範囲を原状回復するのか、また単価が高いのではないか、といったところはよく紛糾するところだと思います。ガイドラインではあらかじめ賃貸借契約の際に貸す側が情報を提供しておくことがコンセプトとなっております。そして契約書に添付する原状回復の条件、賃貸人・賃借人の改修負担の分担、賃借人の負担の範囲、原状回復時の目安単価等に関するひな形の様式などが示されています。また原状回復費用の清算の書類様式もガイドラインには示されておりまして、具体的な原状回復の内容と費用が明記されたものとなっております。原状回復に関するガイドラインの内容は東京都ルールと同じ発想でして、賃借人が明らかに通常の使用ではない場合、あるいは手入れをいれなかったために損耗を拡大するような使い方をした場合にはその原状回復費用は賃借人の負担となり、通常の使用による損耗は賃貸人の負担になる、という当然のことがルールとして示されています。賃貸借契約書においてもこのようなことを原状回復の条項に明記しておけばもめる可能性は低くなると思います。また経過年数の考慮についてですが、通常の劣化相当分は賃料に織り込み済みであることになっておりますので、賃貸人が家賃から払う必要があります。ガイドライン、東京都ルールともにそうですが、これらに強制性はありません。なので、本来原状回復のルールなどは任意に決めることができます。次に「反社会的勢力の排除」というテーマでお話したいと思います。これに関しては全国で条例が制定されるに至っております。特に東京都の場合ですと、具体的な不動産の売買や賃貸借の定め、仲介に関する定めも盛り込まれております。この条例に関して、反社の条項を入れるというのはあくまで努力義務です。なので、契約書に「反社会的勢力の排除」の条項がなかったとしても直ちに罰則を受けるなどのようなことはございません。ただコンプライアンスの観点からは決して望ましいとは言えませんので、この条項を契約書に盛り込むとともに、もし相手が反社だと判明した場合には無催告解除ができることを盛り込んでいただきたいと思います。また最近話題となっている民泊なのですが、行政側が推進していこうという流れもあるなかで、問題も出ております。まず法律上は有償で宿泊させる場合には旅館業法の適用がありますので、これに抵触している可能性がありかなりグレーであるというのが現状のようです。マンションによっては管理規約を変更して民泊としての利用の禁止を定めたものもでてきました。では賃貸借の場面での民泊の問題について見てみますと、賃借人が民泊として利用して貸してしまうといったケースがあがります。賃貸借契約では通常転貸を禁止していると思いますが、そこの部屋に誰かを泊めたらダメということまでは言っていないと思います。ただ広く宿泊者を募集して料金を取って泊らせるということは、オーナーとしてはやめてほしい、でも転貸ではない。ということで、このような民泊をやめてもらいたいのであれば、不特定多数の者の宿泊の禁止、そういうことをした場合には契約解除事由になるということを賃貸借契約書に加えておくことが重要かと思います。逆に建物オーナーが空室活用のひとつとして民泊を利用したいが、既存の賃借人との紛争を避けたい、このような場合は既存の契約書を変更するのは難しいですが、新規の賃借人には「民泊としても利用します」と契約書に記載することで紛争を防ぐことは出来ると思います。また次にシェアハウスです。普通の賃貸よりも収益があがるので、オーナーとしてはシェアハウスとしての利用は好ましいものですが、様々な人が使いますので住居内でのトラブルは多くなってきます。そのようなトラブルを防ぐためにも規約づくりが肝となってきます。かなりきめ細かく作る必要があり、またその規約は賃貸人側で変更できるようにしておいて柔軟な対応が必要となってきます。シェアハウスに関しては寄宿舎に該当するということがありましたが、これだけ普及したこともあって消防上の規制等については緩和されております。ご清聴ありがとうございました。
「これからのビル経営」という本を基礎としたビルオーナー必須のビル管理セミナー
テーマ・これからのビル経営 ビルオーナーが知っておきたい利益を生み続けるための基本
管理会社にも耳寄りな今後のビル経営のあり方
9月に出版しました今回の講演の基礎となる「これからのビル経営」という本を、皆さんに見ていただければと思います。実は本日の講演に御越しいただいた方は、ビルオーナーが多いと思うのですが、それ以外にもしかしましたら管理会社やメンテナンス業者もいらっしゃると思われます。ビル経営というのはなかなか分野が狭いもので、出版社としては受託し難い分野です。その中で、出版にあたって協力していただいた人がいます。その人に本の企画・構成を話したところ、大学時代の友人で大手のビル管理会社に勤務する人がいました。協力して下さった方は、大手のビル管理会社に勤務する人に、「こういった企画の本をこういった経歴の方が、出そうとしているのだけど」と話したそうです。企画の趣旨と項目のみしか話していないのですが、「そんな本を出されては困る」と言われ、その後は口も利いてくれなくなりました。良く話を聞いて頂けたら、ビル管理会社の方にも役立つ本ではないかと思います。別にビル管理会社の揚げ足を取ろうという本ではなく、「ビルの経営とはどうやって見ていくのか」という本です。もしそのビル管理会社の方が、基本の部分を押さえていなければ、よりバージョンアップした管理サービス・ビル経営を出来ると私は思います。どうも誤解が生じていたので、私が協力していただいた方には「そういう訳では無くて、ビルオーナーも、ビル管理会社も知っておいた方が良い」ということを伝えしました。今日来ていただいた皆さんに、どこか役にたつ部分があるかと思いますので、熱心な方が足を運んでおりますので、こういった「見方」が大事ということで、参考になればと思います。
本日のセミナーは、来場した目的と実際に自分が所有するビルをイメージしながら聞いていただければと思います。本では「三ツ星オフィスビル」というものを前面に打ち出しています。それはコンセプトでして、「テナントが喜ぶビルとはどんなものか」について触れています。テナントはお客様で、賃料を払っていただくことが、ビル経営の前提となります。そういった視点でどういったビルをつくり込んでいくのか書いています。仕事で付き合いのあるビルオーナーさんが本を読んで、「三ツ星ビルになるって難しいよね」と話されました。ところが実際に三ツ星ビルは、新築ピカピカのビルだけではなくて、元の発想は「客であるテナントから賃料収入を継続して高くいただくにはどうしたら良いか」です。たとえ築古のビルであっても、そのビルに合った、一番賃料を貰うにはどういう視点で考えていくかである。なので「築年が30年経っているから駄目だ」でなく、経営の基本ですので、そこを考えて、貸ビル所有の目的と、本セミナーを進めていければと思います。まず今回のセミナーの対象としているビルとは、「どういった目的でビルを所有されるのか」です。私自身25年ほど前に不動産の世界に入りまして、ビルの再開発事業に携わってきました。そのビルが竣工したのは1996年なので、テナント募集をしたのが1994年。ビル不況真っ只中でした。当時バブルは弾けていましたが、まだ金融機関も潰れていない状態です。収益還元法といった世界は、外資系の方が買いに来る以前の話。その頃に何を考えたかというと、「自分たちが造るビルはなんなのか」であります。そうすると継続してこのビルで稼いでいくそのためには、「お金を頂くお客さんにとってどんなビルをつくれば良いのか」を考えることが重要です。あれから二十数年経ったところで、そうじゃない方がビルオーナーになりました。特に短期的に投資するビルオーナーが増えてきています。ビルで儲ける投資オーナーです。ビル経営が計算の世界に成ってしまったことがあげられます。テナントの中には「いきなり、家賃の値上げが来た。まったく何の連絡もなく値上げがきたので、何なんだ」というトラブルも発生しています。今までのビルオーナーはコミュニケーションを行って、友好を深めていきました。しかし投資型のビルオーナーは多少発想が違うそうです。テナントもビルオーナーも今後どうしていくか。貸ビルを商売とされる方も、改めて考えることが必要になりました。商売と言ったら違うかもしれません。お金を頂く、全ての商売でどういった視点で見ていくか。この際、再度確認して頂ければと思います。受託内容も変わってきますので、より良いビル経営にしていくには、所有するビルのメンテナンスや管理が重要になってきます。具体的に何かというと、旅客機に例えて説明します。パーツのメンテナンスのようにテナントにもクレームが来たら、どこをどのように、どんな感じで行うかが重要です。それが無いと場当たりな、その場その場での対応となり、担当のが変わってしまうと問題になりかねません。サービスレベルが下がってくる。それがしっかりできているかどうか。確認し出来ていなければ、改善することが必要です。賃料の改訂時期・手順もしっかり決めておかないと、こちらも場当たり的になってしまいます。もう1つあるのが、現在でも言われていますが、警告されている大地震や非常時に発生した火災に対する対応です。その時のお客様対応手順、これも日常的に対処法を決めて、迅速に動けるかどうか、復旧手順がわかるかどうかが、今後重要になってきます。東日本大震災の時もビルオーナーによる対応手順の違いが見られ、その際の不手際で退出したテナントがあったと聞いております。避難訓練などを日常的に行っていれば、そのような問題には至らなかったはずですが、訓練などもしていなかったのではと思われます。またビルオーナーとテナントとの間による、ルール・取り決めも重要です。基本は賃貸借契約書ですが、ビルの中の環境を維持するためには、管内規則・環境規則などによる「テナントに守ってもらうルール・規則」をしっかり作ることも重要です。その館内規則・環境規則などを賃貸借契約書に付随の契約という事でしっかり入れておくことです。管内規則を破った場合、賃貸借契約書にも違反となります。それにより根拠が出来てきます。万一のために入れておくことで、テナントも定期的に賃貸借契約書を確認するようになります。原状回復のためには、工事区分もきちっと作っておく必要があります。その三つが最低でも必要に感じます。財務の部分も重要です。いわゆるBS(資金調達や運用)・PL(売上から費用を引いて、利益がでたか)・CF(キャッシュフロー。利益が出てても、現金がしっかり残っているか。投資が出来る現金が残っているのかどうか)を作っておく必要がある。将来大きな投資をする際に、それほどの投資が出来る現金が残っているのかどうか、またその投資の見込みが立っているかどうかは直前になって慌てふためく結果になりかねません。