不動産トピックス

今週の一冊

2016.01.25 13:11

東京の競争力強化が日本経済を支える

東京一極集中が日本を救う
著者 市川 宏雄
発行日 平成27年10月25日
出版社 ディスカバー・トゥエンティワン
価格 1000円(税別)

 地方創生に舵を切った政府の意志と真逆のタイトルだ。東京一極集中を「諸悪の根源」と捉える人々にとって、いささか刺激的過ぎるのではないかと心配になるほどだが「東京一極集中こそ『正論』」と断じている。
 本書では「東京一極集中」論は国際的な都市間競争で勝ち残るためには必要不可欠だということを解説。東京の衰退こそ地方の衰退を招くことを膨大なデータから裏付けを取り「東京が発展することで地方を牽引する」と説く。
 著者は森記念財団の「世界の都市総合ランキング」の策定に関わる中心人物であり、都市政策の第一人者である。「世界の総合都市ランキング」は本紙でも何度となく取り上げてきた。
 現在、東京各地で大手デベロッパーが競うかのように大規模再開発を行っており、「競合過多」を心配してしまうが、都市機能に「多様性」をもたらし東京の新たな魅力づくりに繋がり、海外からヒト・モノ・カネを吸引し、日本経済全体を底上げすることになるという。
 無論、東京一極集中に対するデメリットも存在し、自然災害が発生した場合のリスク等が考えられるが、これに対して大阪への期待を隠さない。少子高齢化の波に呑まれる日本にとって、もはや均衡に各自治体が成長していくことは難しい。考え方を改めさせる一冊だ。




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