不動産トピックス

クローズアップ 断熱・遮熱ガラス編

2016.03.28 14:50

 徐々に寒さが和らぎ、暖かさを感じる季節に変化してきた。この時期からビルの窓ガラスを断熱性・遮熱性に優れた窓ガラスに交換し、暑さ対策に備え出す企業もあると聞く。今回はその手助けをすべく、断熱・遮熱に優れたビル用の窓ガラスを紹介する。光熱費削減の参考にして欲しい。

旭ビルウォール 断熱・遮熱性ガラスの導入で室内温度を下げる
 旭ビルウォール(東京都台東区)のガラスエンジニアリンググループは、高度な技術力を駆使し、DPG(ドットポイントグレージング)、MPGをはじめとしたガラスシステム工法や国内外のさまざまな素材を使ったガラスファサードを提供している。環境材料事業部環境建材営業グループの星野秀生氏は「断熱・遮熱性能はもちろんのこと、強化ガラスや様々なデザインを取り揃えているので、クライアントの要望に柔軟に対応できます」と話す。
 旭ビルウォールが提供するDPG(ドットポイントグレージング)は、強化ガラスや倍強度ガラスの四隅に皿孔加工を施し、回転機構を持った特殊ボルトを取り付けて固定する工法。ガラスの周囲にサッシ枠がないためフラットで透明なガラスファサードを構成でき、商業施設やビルのエントランス付近のウインドウ、庇、風除室、内装等に使用できる。さらに断熱・遮熱性能を取り入れることで、ガラスで囲まれた空間の室温を従来よりも2、3度下げることができた。
 またMPGは、ガラスのエッジ部分を内外から部品で挟みこんで固定する工法で、ガラスの周囲にサッシ枠がないため、こちらもフラットで透明なガラスファサードを構成できる。
 更にガラスの強化性も向上するため、ビル風の強いエリアや沿岸部近くの大型ビルでの使用に適している。断熱・遮熱性も従来より向上しているので、空調費削減も期待できる。星野氏は「築年数が経過した古ビルにこそ、是非使用して頂きたいと考えています。空調費の削減と、デザイン性の向上を提供できます」と語る。


YKK AP 窓改修カバー工法「SYSTEMA31Br」
 YKK AP(東京都千代田区)が提供する非居住ビル専用の窓の改修カバー工法商品「SYSTEMA31Br」が、オフィスビルの窓の老朽化を改善できると好評である。
 同社が手掛けるSYSTEMAシリーズの窓改修・リフォーム専用の商品で、新築オフィスビル向けの窓製品ではなく、既存ビルを対象とした改修カバー工法である。スクラップ&ビルドによる、ビルを造っては壊す建替えスタイルから、既存ビルの改修・リフォーム、また施工費用の削減・オフィスの省エネ対策の推進も叫ばれている現在、既存ビルの改装工事は今後さらに活発化すると思われ、建物機能の維持だけでなく、断熱・遮熱性向上において重要な役割を担っている。
 従来のSYSTEMAシリーズの特長・良さを生かした既設窓枠に新しい窓枠をかぶせるシンプルな新カバー工法で、従来の現場ごとに造作するカバー工法と比較し省施工を実現している。従来のカバー工法に見られた下地材を同製品は取り除くことで、眺望性の向上に繋がり、すっきりとした意匠性を実現した。ガラス面が大きくとれた製品なので開放感・透明感も実現した。
 更に、複層ガラス使用は単板ガラス仕様に比べて遮熱性が格段に向上しており、空調費の削減も可能。従来の単板ガラス仕様のビルでも同製品の複層ガラス仕様に取り換えることができるので、省エネを意識するビルオーナーが導入するケースが多い。
 また換気付非常用進入口としての使用も可能で、換気できなかった従来の非常用進入口を有効活用した形となる。室内からは60cmしか開けられないように安全面に配慮しつつ、非常時は90度での全開が可能だ。窓ガラスの性能は断熱・遮熱は現在当たり前になりつつある。更に一歩踏み込んだ機能が必要であり、導入の決め手は重要に思われる。


窓工房 長期的な施工内容に見直すことで相対的に費用の削減が可能
 窓工房(埼玉県入間市)は窓工事に特化した専門施工会社。これから春・夏を向かえるにあたり、断熱・遮熱対策の依頼が増加している。専務の海野昌人氏は「窓のカバー工法や内窓の設置、断熱・遮熱ガラスへの交換を早めに行うことで、空調費削減だけでなく施工費用もリーズナブルに済みます」と語る。
 窓ガラスのみの交換は、お手軽で費用も抑えられるため最も依頼の多い工法だ。特にゴールデンウィークの期間や梅雨入り前に取り替えて欲しいという施工依頼が、現在同社に集中している。
 しかし窓ガラスのみの交換はコストを抑えた分、窓のアルミ枠は変わらないので結露や断熱・遮熱対策まではできていない。また内窓設置の場合は、結露・断熱・防音対策に適している方法であるが、マンションや小部屋などの狭い室内であると圧迫感が出てしまい、また窓が2層あるため2回開ける手間が増えてしまう。
 その問題を解決する手法が「窓のカバー工法」である。既存の窓枠に新規の窓枠をはめる方法で近年、マンション・ビルの大規模修繕で見られるタイプである。手間暇かからない施工方法であり、築年数が30年以上経過している建物の窓枠は、経年劣化により気密漏れが出来ている場合が多く、ガラスの交換だけでは気密漏れは防げない。その場合にお勧めなのがカバー工法である。 海野氏は「カバー工法によって遮熱性が向上し、快適性が増します。施工依頼を見直すことで、相対的に費用の削減が可能です」と語る。




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