不動産トピックス
クローズアップ 不動産検索サイト編
2016.05.23 13:10
インターネットが普及した結果、不動産の検索サイトも誕生し、それは通常の賃貸不動産検索から空き家や空きビルなどの現代の問題に絡んだ不動産の検索サイトも誕生している。多様なニーズに沿った検索サイトを紹介する。
プロレド・パートナーズ テナント・仲介会社双方のニーズに応える「officil」ビルオーナーに使ってほしいそのサービスとは
ビルオーナーにとってリーシングは経営を安定させるために欠かせない。しかし、その方法が仲介会社に任せきり、というのでは少し戦略として手駒不足ではないだろうか。
そのような手駒不足に悩むオーナーにとってプロレド・パートナーズ(東京都港区)が昨年4月にベータ版をリリースし、10月に正式オープンした「officil」は注目に値する。同サービスはオフィス新設や移転を検討している起業者や小規模~中堅事業者向けの検索サイト。インターネットで入居先を探す傾向が高まるなかで、同サイトのようなサービスはこれまで少なかった。また「officil」はインターネットでの発信力も強い。そのような背景もあり、掲載物件数は都内で約3万件に達している。
このサービスを始めた経緯について新規事業部部長の大沼淳氏は「当社が起業した頃にやはり事務所を探していたのですが、そのときに個々の仲介会社のホームページ上には取り扱っている物件情報が載っていたのですが、横断する情報検索サイトはなく非常に不便を感じており、その思いがサービスのスタートラインにあります」と話す。
またこれまでオフィス仲介サイトの弱点として、賃貸物件の紹介が画一的になってしまった事情があった。そこで「officil」では賃貸物件に関するより詳細な情報や、入居テナントにとって有益な情報を伝える「Officil Magazine」を先月20日より展開している。
「独自の取材で記事掲載していますので、テナントにとっては事務所に関するより多くの詳細を知ることができ、オーナーにとっては自らのビルの魅力を多く打ち出していくことができます」(大沼氏)
「officil」の利用者の悩みは、同社の想定通り起業した、あるいはオフィスを移転したいがエリアごとで物件を探さなければならず、手間がかかるというもの。そして、この悩みの解決は仲介会社およびビルオーナーにとっても解決すべき問題ではないだろうか。
「そのような悩みやインターネットで横断的に検索したいというニーズを果たしていくことが仲介会社やオーナーにとっても利益となります。彼らは決してインターネットでの情報発信が得意というわけではありません。そのために良質な物件を抱えているにも関わらず、情報発信ができずにお客を取りこぼしているというケースもあります。私は、空室になっている物件でも情報の出し方ですぐに埋まる物件は多くあると思います。このサービスを通して、テナント側のオフィス探しをお手伝いするとともに、仲介会社・オーナーの情報発信のニーズにも応えていきたいと考えています」(大沼氏)
同サービスに物件を掲載するための費用はかからず、物件数などの条件もない。大沼氏は「今は仲介会社からの物件掲載がほとんどですが1件、1室からの掲載も可能です。ビルオーナーにも是非、当社のサービスを通してのテナント探しを提案したい」とし、「現在は都内に限定されていますが、近い段階で神奈川県などを含めた首都圏、そして全国へと展開を図っていきたいと考えております」と話す。
テナント稼働率を上げるためにも、「任せきり」のビル経営ではなく、「打って出る」ビル経営に変化させていきたい。
マンションリサーチ 未活用不動産再生の突破口になるか!?奇抜な「実質マイナス価格」の設定
売れない不動産が売れる仕組みをつくる。人口減少が危惧されるなか、不動産業界に求められている課題である。
マンションリサーチ(東京都千代田区)が今年初めにリリースした「リサイクル不動産」は空き家や空きビル、未活用不動産再生のための試みを示している。
未活用不動産、とりわけ空き家問題に代表される中古市場の活性化は業界の課題であったが、その進みは遅い。その理由を代表取締役の山田敏碁氏は次のように指摘する。
「空き家などの未活用不動産の情報は地元仲介事業者に偏っています。しかもそれらの物件を積極的に売買仲介しようとしません。買い手のつかない不動産は売買価格も低く、業者には利益よりも時間的コストのほうが大きくかかってしまうからです」
情報が広く表に出てこないのでは、買い手が容易に見つかるはずもない。マンションリサーチでは、積極的な情報の露出を図った。ニーズは少ないが、「田舎に住みたい」、「自然の多い場所で暮らしたい」と希望する人とのマッチングに活路を見出した。
「このサービスを通して未活用不動産の出口を見つけていくことができればと考えております」とした山田氏は、こんな奇抜な発想も口にした。
「ポイントとなるのは売り方だと思います。たとえば空き家を価格は0円で売り、かつ購入者にいくらかの礼金を支払うのも選択肢のひとつになるのではないかと思います」
まさにマイナス金利ならぬ、「マイナス価格」と言っても良いのではないだろうか。
不動産業界の課題は尽きない。損して得を取るのも一法。「リサイクル不動産」の取り組みは注目に値する。
いえらぶGROUP 掲載社1万社到達 探し手のニーズに応える
不動産業界に特化したインターネットサービスを提供するいえらぶGROUP(東京都新宿区)が運営している不動産会社情報サイト「いえらぶ不動産会社検索」の掲載社数が、1万社に到達した。
「いえらぶ不動産会社検索」は同社が運営するメディアの一つで無料で掲載できる不動産会社情報サイトだ。近年、不動産を探す際に物件情報だけでなく、その取扱い会社を併せて確認する人が増えている。また、確認するだけでなく信頼できる会社から希望条件にマッチする不動産を直接提案してほしいというニーズも増えている。「いえらぶ不動産会社検索」は、そうしたニーズに豊富かつ質の高い不動産会社情報を提供することで、より良い不動産探しを支援する。
今年2月にサイトのリニューアルを行っており、不動産を探すユーザーに有益な情報を提供する口コミ機能を搭載した。これによって、よりリアルな不動産会社の姿を知ることができる。
またユーザーは、無料で不動産に関する相談を行うことができる。実際に相談して、信頼できる不動産会社なのかどうかを自分で見極めてから不動産の提案を受けることも可能だ。