不動産トピックス

クローズアップ スペース活用編

2016.07.04 13:14

 都内においてシェアスペースやコワーキングスペースの供給が進み、競争率が激しくなっている。一方で、地方エリアでの需要はどうなっているのか関心をもっているオーナーも多いのではないだろうか。今回は地方で貸スペースを運営している事業者やオーナーを紹介する。

イグニティア 職種を問わずに万人受けを目指した運営
 ITの発達により特定の場所ではなく自由な場所で仕事をするノマドワーカーが増加していることにより、シェアスペースの数が増加し、競争が激しくなっている。そのためスペースを運営するに当たってのコンセプトが重要となってくる。
 イグニティア(東京都千代田区)はつくばエクスプレス「研究学園」駅から徒歩4分の場所に位置している「TOCO BLDG」の2階にてシェアスペース「ヴィアート」を運営している。
 代表取締役の河嶋茂氏は「私自身がつくば出身ということもあり、自分の仕事のほかにイベントやセミナーも利用できる場所を作りたいという願いから平成25年に開業しました。開業当時のシェアスペースの市場はIT関連の事業者が利用するケースがほとんどでしたが、当社の「ヴィアート」では万人受けすることを目的とし、できるだけ様々な業種の人が集まれることをコンセプトとして運営しています」と話す。
 シェアスペースでは利用者の属性を一定化することによって、施設利用時に仕事に結びつく確率が高くなるメリットが大きいことをPRにしている施設もあるが、「ヴィアート」では特定の職種にこだわらない運営をすることによって様々なジャンルの人がそれぞれの利用シーンに活用できる場を目的としている。
 設備についてはWi―Fiと電源を完備しており、無料でドリンクサービスを提供している。
 料金については一般が2時間500円で1時間超過ごとに300円がプラスされる。会員は月額8000円で、出入りが自由となる。専用のマグカップを置けるようになる。
 「元々は自分で利用しながら新しい市場の調査も目的としていたため、スペース利用での利益は最優先にしてはいません。内装については木目のテーブルや植物を設置することで落ち着いた雰囲気を出しています」(河嶋氏)
 「ヴィアート」が運営されている「研究学園」は比較的新しい都市であるため、民間のフリースペースも少ないことから利用者も増加しているという。
 河嶋氏は「つくばの場合は車が主流なので、物件の敷地内に駐車場の有無により厳しい環境となることも考えられます。当スペースの物件では駅からも近く、ビルには駐車場も完備されているほか、付近のコインパーキングも利用でき、利用しやすい環境が整っていることにより、利用者が増加している要因の一つです」と話す。
 筑波大学が立地していることから利用者は大学生の利用が多いと予想されるが、同氏は「意外にも大学生は少なく、市や団体の職員やフリーランスで活動している人が利用者の多くを占めています。また、フリーで仕事をしている女性も多い印象です」とのこと。
 同スペースではイベントも行われており、セミナーやワークショップはもちろん、プログラミングなど各種教室や講座にも利用されている。河嶋氏は周辺にチラシでの宣伝を行ったが反響がなかったため、facebookやホームページ上で呼び込みを行ったところつくばエリアのみではなく近隣の都市や東京からも利用者が訪れるようになった。
 河嶋氏は「空きスペースをビジネスとして考えると回転率が低いので、例えばカフェの一角をシェアスペースするといった複合型にすることによって利用者にも楽しみができ、利用者も増えるのではないかと予想しています。当社の『ヴィアート』では属性を問わずに自分の時間を自分なりに利用できる人向けになっているので、そのような人に利用してもらいたいと考えています。現在ではスペース利用が多様化しているので、内覧はいつでも無料で案内しているので、参考にしていだければ幸いです」と語った。


オフィス・ラメールビル コストを下げつつサービスの向上
 ラ・メールビル(神奈川県相模原市)では2階でレンタルオフィスを運営している。  
 オーナーの中濵昌夫氏は「『相模大野』駅から徒歩2分と立地条件は良好です。家賃、手数料、保証金含め10万円以内で起業ができることをコンセプトとしています。机や電話、OA機器、インターネット回線などビジネスに必要な設備は備え付けられています」と話す。その他にもオプションサービスとして秘書業務サービスや月額制の私書箱、テナント専用の予約制の無料の貸会議室も併設しており、サービス面も充実している。また日々の清掃を心掛けており、ゴミ一つ落ちていないほどの清潔な環境を保っている。その姿勢は入居者に好評で、現在15室はすべて満室状態となっている。 
 同氏は「開始当初は空室が埋まらず厳しい状況が続きましたが、3年以上続けた現在では空き待ちの状態となっています。横浜は競争が激しいため、できるだけコストを下げ、サービスを向上させることによって差別化を図っています。レンタルオフィスは一旦埋まると稼働率が良いので、今後も満室稼働を維持できるようにテナントの要望に応える努力をしていきます」と語った。


パクチー コンセプトは地域との繋がり
 パクチー(千葉市美浜区)は京葉線「稲毛海岸」駅から徒歩2分の場所にてコワーキングスペース「SHI TSU RAI」を運営している。
 設備面では電源のほか、プロジェクターやホワイトボードも完備されているため、プレゼンも可能。
 地域密着型をコンセプトとしており、交流会や地元住人とのイベントを頻繁に行い人や地域を繋げることに貢献している。




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