不動産トピックス

クローズアップ エレベーター編

2016.08.08 17:33

 ビルや商業施設をはじめとした建物にはエレベーターは欠かせない設備の一つとなっている。快適性や内装の美観によってはテナントリーシングにも影響がでてくるほどだ。今回はエレベーターの価値向上に貢献している製品を紹介していく。

Ving 壁面シートにマグネットを装着 独自のエレベーター空間を作ることが可能
 エレベーターは、単純に昇り降りができればいいというわけではない。エレベーターに乗った時の印象が良ければ、建物自体や入居テナントへの印象も良くなる。その結果としてリーシングへも影響が出てくることを考えると、エレベーターの内装は清潔かつ美しさを保ちたい。
 しかし、エレベーターの内装のリフォームを行ったとしても、清潔さと美観を維持することは難しい。人の乗り降りが多いため、足跡や台車などが壁にぶつかった際に傷跡が発生しやすいからだ。そのままだと見栄えが悪いため、壁紙を張り替える必要がある。もしくは傷を防ぐために養生シートで保護することが考えられる。だが、頻繁にリニューアルを行うとコストがかかる。養生シートの場合では何層も貼る必要があるため、美観が損なわれてしまう。見栄えが悪くても壁の保護を優先するか、美観を保つために傷ができるたびに壁面をリニューアルするか、どちらかを選択しなければならない。
 Ving(東京都目黒区)はニチレイマグネット(大阪府東大阪市)と共同でマグネット式のエレベーター装飾材「MAGLEAF(マグリーフ)」を販売している。同製品はエレベーターのかごの壁面を装飾するシート。表面は装飾性の高い木目調フィルムになっており、裏面にマグネットを利用しているため簡単に貼りはがしができる。
 Vingの代表である小林京三氏は同製品について「エレベーターは建物に必要不可欠な存在となっています。安全性については非常に重要視されていますが、快適性は軽視しているオーナーも多いです。『MAGLEAF』はマグネットシートとなっているため、取り外しが簡単で、搬出業者などが傷つけてしまっても複雑な施工を必要とせずに取替えが可能です。工事の期間はケースにもよりますが、ほとんどは3時間から5時間で終了します」と話す。
 搬出業で使用されるカートが当たりやすい膝から下の位置については、クッション性を付加した「MAGLEAF GUARD(マグリーフ ガード)」によって傷を残らないようにする。「従来の養生にはパンチカーペットやシートを利用していますが、染みや汚れ、臭いが付着し不衛生でした。『MAGLEAF』はエレベーターの保護はもちろん、利用者の快適性にも寄与しています」(小林氏)
 同製品の特徴は保護機能だけではなく、デザイン性の自由度が高い。木目調だけでも100種類以上用意されているほか、色についてもデザインによって選ぶことができる。化粧シートについても様々なメーカーの製品を好みに応じて利用することも可能。特注でオリジナルの印刷も行うことができ、自分独自のエレベーター空間を作りだすことができる。
 小林氏は「『MAGLEAF』は壁紙の保護は当然ながら、デザインも兼ね備えている製品です。例えば商業ビルにおいてはプリントを利用し、エレベーター全体を広告媒体として活用することも可能です。現在ではレジデンスやマンションからの需要が多いですが、雰囲気が良くなった、清潔になって利用しやすくなったという声がオーナーや居住者から寄せられています。今後はビルにも力を入れていこうと考えています」と語る。
 ビルの顔の一つであるエレベーターを美しく保つだけではなく、宣伝にも利用できる同製品はビルの価値向上に役立つ商品といえる。

オリエンタル工芸社 カバーによって非常用牡丹の誤操作を防ぐ
 オリジナルのエレベーター部品の製造やメンテナンスを手がけているオリエンタル工芸社(東京都大田区)では「非常用ボタン保護カバー」を開発・販売している。
 非常用ボタンを間違えて押してしまうことや、いたずらを防止するために作製された。両面テープを利用しているため、簡単かつ半永久的に取り付けることが可能。
 代表取締役の杉本亨氏は「最初は非常用ボタンを押されるという声が大きかったので、緊急時以外は押せないように『非常用ボタン保護カバー』を開発しました。他の企業では開発していない当社独自の製品です。最近でもかなりの反響があり、全国から注文がきています」と話す。
 ボタンのサイズに合わせたオーダーメイド形式で作成しているため、サイズによって取り付けができないということはない。ビルやマンションでは当たり前となっているエレベーターの誤操作を防ぐことができ、危険防止にもつながってくる。
 「当社は様々な種類の押ボタンを開発・製造しています。そのバリエーションの中から建物に設置しているエレベーターに合致している製品を顧客自身に選んでいただきたいと考えています。今後も押ボタンはもちろん、『非常用ボタン保護カバー』のように顧客のニーズに合わせた製品を開発・販売していきます」(杉本氏)


三菱電機 中東・欧州の低層向けのエレベーターを販売
 三菱電機(東京都千代田区)は海外市場向けエレベーター「NEXIEZ」シリーズの新機種である「NEXIEZ-S」を8月4日に発売する。 10階までの住宅やオフィスをターゲットとし、4~6人乗り領域に適した小型巻上機を開発。屋外機械室が不要となり、省スペースを実現。巻上機に永久磁石モーターと天井照明にLEDを採用したことによって省エネも向上している。かご室は世界各地域の建築デザインに調和するようにシンプルなデザイン。壁への光の映り込みを考慮した照明配置により、広がりを見せたかご室空間を実現している。
 同製品は中東・欧州における低層住宅、オフィスのニーズに対応している。




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