不動産トピックス

クローズアップ 非常食編

2016.09.05 17:10

 東日本大震災から5年。熊本震災から5カ月弱。常に震災の可能性がある日本において非常食を完備するのは必然ともいえる。以前に比べて格段に種類が増え、味の改善が図られている非常食を今回取り上げた。

ボローニャFC 東日本大震災以降の販売戸数が10倍に 美味しさを追求した缶のデニッシュパン
 「災害時にこそ美味しい食べ物を」。そんな想いからボローニャFC本社(東京都台東区)は「缶 de ボローニャ」を製造・販売している。ネットショッピングの「楽天」やホームセンターの「東急ハンズ」の非常食ランキングで常に上位に位置し、人気が高い。同商品はデニッシュパンらしく、生地が複数層になっているため、柔らかくしっとりとした食感。甘みも十分でこのままでも十分においしく食べられるが、温めて食べるとより美味しく食べられる。レンジなどで温めることによりふんわりした食感がさらに増し、もちっとした食感に。甘みも増して常温で食べるよりもさらに美味しくなる。製造するきっかけとなったのは平成16年の新潟中越地震。それから苦節3年。平成19年に3年間保存のできる「缶 de ボローニャ」の販売を開始した。
 東日本大震災以降、防災食への需要が急激に高まり、かつ味の良さから一気に人気が爆発。震災前の売上は1万缶ほどであったが10倍までに膨れ上がり、現在では毎月10万缶を出荷している。
 営業第一部主任の吉田麻佑子氏は「現在、3年間保存のできる『缶 de ボローニャ』は一般の方によく売れています。また昨年9月より販売を開始した5年間長期保存が可能なブリオッシュタイプの『備蓄 de ボローニャ』は法人への販売がメーンですが9月より『缶 de ボローニャ』と同じく東急ハンズなどにも卸す予定になっています。これにより更なる拡がりが期待できます」と話す。
 日進月歩で販売個数が伸びる両製品。熊本震災以降も需要が増加。生産が追いついていなかったが、新潟の工場でしか製造していなかった両製品を九州・横浜の工場を増設して対応。10月から稼働させ増産体制を整えた。これにより今年度の販売個数約90万個であったが、来年度は150万個の販売を目指している。
 「『缶 de ボローニャ』と『備蓄 de ボローニャ』ともにまだまだ味の向上が望めます。また味の種類もどんどんと増やしていきたいと思います。日々美味しさへの追及を志すことで保存食としてだけでなく、アウトドアや長旅のお供に使っていただけるようにしていきたいです」と意気込みを語った。

三立製菓 誰もが知っている防災食の定番 長く愛される「カンパン」
 非常食としてまず真っ先に思い浮かべる「カンパン」。三立製菓(浜松市中区)では昭和12年より「カンパン」の生産を開始。現在においても防災食として極めて高い認知度を誇る。
 「カンパン」は小麦粉などの原料を3段階にわたって長時間熟成発酵させたのち、遠赤外線オーブンで焼き上げる。「カンパン」は火や水が使えないことを前提とする場合、非常に速効性が高い。賞味期限は5年間。特徴的なのは消化・吸収力が高い点が挙げられる。でんぷんのアルファ化度が高いため、消化吸収に優れ、災害時における栄養をすばやく摂取することができる。また、1袋に200ミリリットルの牛乳約2本分相当のカルシウムが含まれている。カルシウムが不足すると精神的に不安定になりやすい。災害時では不安に陥ることや精神的に追い込まれることが多いためカルシウムを積極的に採る必要があり、それにおいて「カンパン」は非常に優れている。また、氷砂糖を封入することで唾液の分泌を推進。これによって充分な水が取れない非常時においても水分補給や糖分の摂取を促している。

コンプ 六大栄養素を瞬時に摂取が可能 水などに溶かして飲める完全栄養食
 コンプ(東京都港区)では人が必要な栄養を全て摂取することができる完全栄養食「CОМP(以下、コンプ)」を3月1日よりインターネット限定で販売している。「コンプ」は顆粒タイプの栄養食になっており、人に必要な六大栄養素(炭水化物・タンパク質・脂質・ビタミン・ミネラル・食物繊維)を理想的に配合。水や好きな飲料に入れるだけですぐに摂取することが可能。マイルドな豆乳味になっているので、様々な素材と合わせることができる。
 また、「コンプ」の特長は頻繁に製品のバージョンを更新している点にある。3月から販売を開始して現在(8月31日現在)までの段階で10回ものバージョンアップをしている。最新のものはビタミン・ミネラル成分の含有量を大幅に増加。サトウキビ抽出物によって味を改善している。常に改善を加えることによってより良い製品作りを行っている。
 賞味期限は1年。1袋90gで400キロカロリーを摂取できる。価格は24パック入りで9000円(消費税別)~となっている。




週刊不動産経営編集部  YouTube