不動産トピックス
今週の一冊
2016.10.03 12:11
建築業界のイノベーターによるインタビュー集
リノベーションプラス 拡張する建築家の職能
監修:松村秀一、馬場正尊、大島芳彦
発行所:ユウブックス
発行日:平成28年9月10日
価格:2000円(税別)
近年、ビル業界にも定着した「リノベーション」。そのけん引役となる建築業界のキーマンが総登場するインタビュー集だ。東京大学大学院建築学専攻教授の松村秀一氏の巻頭インタビュー、ブルースタジオの大島芳彦氏とOpenAの馬場正尊氏による対談など、リノベーションの草創期から現在までの変遷を読み解く貴重な証言が満載だ。
ビルオーナーへの取材を重ねる中、実は「リノベーション」という言葉が一人歩きしていると感じることがある。単純にビルを大規模改修したものを、果たして「リノベーション」と呼べるのか。
言葉遊びのようだが、リニューアルとリノベーションには明確な差がある。インタビューの中で触れられたブルースタジオ・大島氏の「建物ではなく物語を作る」という言葉がリノベーションを端的に表している。これまでビル単体を設計していた建築士の役割は、周辺環境等を含めて「地域に必要とされる建物」のプロデューサー役に拡大しているのだ。
「リノベーター」という役割は建築士の発展形の1つだが、他にも「建築と不動産のあいだを追究する」創造系不動産・高橋寿太郎代表をはじめ、建築法規ソリューションを提供する建築再構企画・佐久間悠代表などのインタビューも収録されており、書名を体現する読み応えのある内容となっている。