不動産トピックス
今週の一冊
2016.12.05 17:51
「住む場所」に対する人々の考え方をデータからひもとく
東京どこに住む?住所格差と人生格差
著者:速水健朗
発行:平成28年5月30日
出版:朝日新聞出版
価格:720円(税別)
住む場所に対する人々の考え方が変わってきていることで、東京に変化がもたらされている。人口減少でこれまで通りの経済活動の規模が維持できなくなる時代、東京一極集中という名の人口移動が起きている。
本書は個人的な行動としての「引っ越し」と国全体で見たときの「人口移動」の中間にあるもの、統計データに表れてこないこの国の社会意識や人々のライフスタイルの変化といったものへアプローチし、分析することであるとされている。人がどのような理由で移住・転居を行うのかを俯瞰することによって、「都心回帰」、「地方移住」、「一極集中」、「郊外化」等の「住む」にまつわる人々の現状の意識とその変化をひも解いている。
また、都市計画やまちづくりの専門家やデベロッパーなどのエキスパートへの取材による人々の「住みたい場所」の調査や、最新の都市論と人口移動やクラスター分析の統計データを用いながら現状の数量データとしての検証なども行っている。
人は何を指標として住む場所を決めているのか。その「考え方」に迫った一冊。ビルに集まる人々の起点となる「住」というもののニーズがどこにあるのかというのは、ビルオーナーにとっても端倪すべからざる問題であると言えるだろう。