不動産トピックス

今週の一冊

2017.02.06 14:12

先人の失敗談に100のヒントあり

不動産投資家なら必ず体験する!本当にあった怖い話

著者:加藤隆
発行:平成29年1月10日
出版:ぱる出版
価格:1500円(税別)

 不動産投資の世界で事欠かないのは夢のような「成功体験」。しかしその夢物語に欠けているのはトーマス・エジソンの「どんな失敗も新たな一歩となる」という名言だろう。
 著者で現役サラリーマン投資家の加藤隆氏は大家歴29年。バブル前から不動産投資を開始し、全国に100戸を有するまでの過程で経験してきた「失敗体験」をもとにして、新しい不動産投資家たちにヒントを送っている。一番の苦は「バブル崩壊」と振り返っている。が、本書で紹介される事例は衝撃的なものが多い。
 その衝撃的な一例を挙げよう。加藤氏が保有していた名古屋の物件で起きた、空室であるはずの物件で起きた練炭自殺だ。消防署からの連絡、鍵を保管している管理会社との連絡がなかなかつかないなどトラブルも発生。他の入居者が外出中だったことが不幸中の幸いだった。しかしなぜ「空室であるはずの物件」に人がいたのか。管理会社に説明を求めると「年末にかけ込みで入居があり、オーナーへの連絡は年始明けにしよう」と判断したという。この失敗から加藤氏は遠隔の物件の場合には「管理会社への頻繁な連絡」を薦めている。
 この事件をはじめとして不動産投資家・オーナーにとって誰もが遭遇しうる事例をまとめている。「本当にあった怖い話」というタイトルだが、人気テレビ番組「しくじり先生 俺みたいになるな!!」に負けず劣らずの示唆に富んだ書籍となっている。




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