不動産トピックス
クローズアップ 業務効率化編
2017.02.20 16:55
日本の労働生産性は先進国の中でも圧倒的に低いといわれている。少子高齢化による労働人口が減少する近い将来、生産性向上は喫緊の課題といえるだろう。そうした中、ITによる業務効率化が他業種に比べて遅れていると言われがちな不動産業界にも最新技術を駆使した改善策が数多く登場するようになった。
アドバンスト・メディア 声で議事録作成
アドバンスト・メディア(東京都豊島区)は今年2月から建設・不動産業界向けの音声認識議事録作成プラットフォームサービス「AmiVoice スーパーミーティングメモ」の販売を開始。音声認識技術で会議の発言を自動で文字化し、議事録作成の業務を効率化するのが目的だ。
建設・不動産業界の多くの企業では「OHSAS18000(労働安全衛生)」や「ISO(国際標準化機構)」の取得に伴う会議の透明化やリスクマネジメント強化の一環として、事業主・施主・建築会社が集まる定例会議や分科会、打ち合わせなど、会議の大小を問わず議事録の作成が求められており、膨大な時間が費やされている。議事録作成は意思決定や方針の記録・情報共有や備忘のため、人手や時間などの業務負荷が大きな課題となっている。こうした背景から同社は会議や打ち合わせの発言を音声認識で即時テキストにすることで、議事録作成の業務負担を軽減し、効率化を図ることができるクラウド型の議事録作成プラットフォームサービスを開発。建設・不動産業界の専門用語が入った大語彙エンジンを使用しており「揚重計画(ようじゅうけいかく)」、「有効空地率(ゆうこうくうちりつ)」など、業界独自の用語も正しく変換することができる。
ビジネス開発センターの藤枝章氏は「議事録の作成方法は大きく3つのやり方があり、ICレコーダーで録音して正確に文字おこしする場合は1時間の会議で作業時間は8時間程度かかるといわれている。一方、メモ書きのみで要約すると作業時間は短縮できるが重要なポイントを押さえていないケースがあり、議事録作成の課題」との認識を示す。
同サービスは一般的な議事録作成と比較し、最大50%(同社調べ)の作業時間を削減することが可能だ。建設・不動産業界に特化したディープラーニング技術対応の音声認識エンジンを使用しているため、専門用語や業界用語もスムーズに変換し、高い認識率を実現。発言内容はクラウドサーバーを通してリアルタイムで文字化されるため、会議後すぐに議事録作成に取り掛かれる。また、音声とテキストは自動で紐づいており、時系列に沿って発話が表示され、単語や発話者、重要発言などを検索表示が可能。会議音声の録音・再生機能が付随しているため、これまでのようにICレコーダーを聞きながら発話箇所を探す手間がない。ウェブ上で誤認識部分の修正・編集が簡単に行える。会議資料や写真も一括管理でき、発話と紐づけて編集することもできる。
ダイヤモンドメディア リーシングレポート機能を追加 1分で不動産オーナーへの報告資料を作成可能
ダイヤモンドメディア(東京都港区)は先月27日、リーシングマネジメントシステム「Centrl LMS」にリーシングレポート作成機能を追加した。不動産オーナー等に向けた募集状況・競合物件情報を網羅したレポートを最短1分で作成・ダウンロードできるようになった。
「Centrl LMS」は、物件データや仲介業者がインターネット上に掲載している情報等、物件ごとに行う必要があったインターネット上の情報を自動収集する。自社物件以外にも周辺地域の競合物件調査も自動化できるため、今まで情報収集や入力等の作業にかけていた担当者の労力を募集戦略やオーナーとのコミュニケーション等の高付加価値業務に割り当てることが可能だ。また、担当者ごとにばらつきのあった「リーシングレポート」の精度と内容を平準化することで、全社的なオーナー対応品質向上を見込める。今回追加したリーシングレポート作成機能ではダウンロードボタンを押すだけで、情報が見やすくレイアウトされたレポートをダウンロードできる。事前に行った管理会社へのヒアリングでは「競合物件の条件や設備が一目瞭然なので、社内で空き物件対策を検討する際にも活用できる」といった声が寄せられているという。
レンダーズクラウド 不動産管理システムのオーナー集客力強化
レンダーズクラウド(東京都渋谷区)は8日、不動産オーナーと不動産管理会社をつなぐ不動産管理クラウドシステム「レンダーズクラウド」の機能に不動産管理業務システムと新規オーナーの獲得のためのマーケティングノウハウを加えた「レンダーズクラウド パッケージ」の提供を開始。不動産管理の管理戸数の拡大や、従来の不動産仲介事業に加えて不動産管理事業に進出したい企業のための提供される国内初のサービスだ。
スターターキットには、クラウド型不動産システム「レンダーズクラウド」のすべての機能、契約書の雛形、必要書類一式を準備している。また、システムの保守や管理は同社が行うため、不動産管理業を始めたい企業でもわずらわしい設定はなく、サービス導入後に即事業を開始することが可能だ。同社によると「レンダーズクラウド」は開始から6カ月で311戸の契約を達成、セミナー来場した不動産オーナーの73%は同サービスの導入を検討し、32%が契約しているという。