不動産トピックス
今週の一冊
2017.03.20 12:53
ビル業界にも定着 歴史、事業スキームを完全網羅
よくわかる!家賃債務保証の知識
著 者:中島 拓
発行所:日本経済新聞出版社
発行日:2016年11月18日
価 格:1800円(税別)
アパート・マンション業界でいち早く定着した家賃債務保証が今やテナントビル業界でも広く認知されるまでに至った。テナントが賃料を滞納すると家賃保証会社が滞納分をオーナーに代わりに負担し、最終的には明渡し訴訟までワンストップで対応してくれる。一方、現在では家賃債務保証の活用シーンは拡大しており、ファンド物件等では家賃債務保証で「保証金」を減額し、その代わりに賃料を若干高めに設定している。これによりテナントは「死に金」となる保証金を減らせ、事業資金に集中投資できる。オフィスビル業界の家賃債務保証会社では、SFビルサポート(東京都中央区)やフォーシーズ(東京都港区)、アース賃貸保証(東京都中央区)等が知られた存在だ。
制度自体は非常に有益だが、基本的にビルオーナーには負担がないため、その全体像をしっかりと理解せずに活用しているケースは少なくない。本書はそうした一般読者向けに家賃債務保証について言及した解説書だ。家賃債務保証というサービスがどのように成立したか。具体的な事業スキーム、活用事例、そして課題まで網羅している。人口減少社会の到来によって人間関係が希薄になり、保証人を立てるのが難しくなった昨今。そして保証人の債務軽減に動き出した民法改正の動きをまとめると、これまで以上に家賃債務保証が活躍する場が到来するに違いない。