不動産トピックス

クローズアップ パーティション編

2017.03.27 16:15

 パーティションはオフィスを使いやすいものとするために非常に役立つアイテム。ただ単にスペースを区切るだけでなく、プラスアルファの機能も備えた製品を紹介する。

コマツアートデザイン/ヴォイス 一から始めた防音対策商品開発 パーティションによる防音室づくり
 「音」はより快適な執務空間を構築するための重要な要素。うるさい環境では集中して仕事をこなすことが困難になることもある。また、機密性の高い会話をするために防音性の高いスペースが求められることもある。そうした「音」の問題に対応するため、コマツアートデザイン(埼玉県桶川市)とヴォイス(川崎市麻生区)は共同で消音パーティションの開発に取り組んでいる。
 コマツアートデザインは屋外広告のデザインや施工などを行う企業。本来は音に関しては専門外であり、代表取締役の小松茂男氏も専門知識があったわけではない。では、なぜ消音パーティションの開発を行うことになったのだろうか。
 そのきっかけについて小松氏は、「初めは一人用のカラオケボックスのデザインを受注したことから」と語る。
 「一人用カラオケボックスについて最初に当社で請け負ったときには、防音性はまったく求められず、純粋に箱を作って欲しいというものでした。しかし、実際に設置して稼働し始めると予想以上に好調で、その分周囲からは音に関する苦情が寄せられるようになったことから『やはり防音性が必要』ということになりました。そこで何故か音については門外漢の当社に防音性についてまでお鉢が回ってきたのです」(小松氏)
 とはいえ、音の問題は非常に専門性が高い分野。「当時は音についての知識がなかったからこそ引き受けられた。もし少しでも知識があったらまずやらなかったでしょうね」と小松氏は当時を振り返る。
 そうしたなかで出会ったのが、ヴォイスの西村文利氏だ。西村氏は防音工事などを手がける音の専門家。出会ったきっかけは、カラオケボックスの発注元の親会社が主催した展示会であったという。西村氏は自動車のエンジンルームなどに用いられる遮音制震ゴムを用いることを提案し、結果出来上がったカラオケボックスは充分な性能を実現。しかしいざ製品化、という段になってみると発注元の状況が変化し試作の数点しか納入することができなかったという。
 「ただ、この時にはある程度ノウハウを確立することができていましたので、これをうまく活用していこう、ということになり防音性能を備えた商品開発を継続しております」(小松氏)
 こうした経緯から、両社は現在消音パーティションの開発に取り組んでいる。両社が開発する消音パーティションは「吸音」による音の軽減が主眼に置かれている。「遮音」によって防音をはかるためには、隙間を完全に無くす必要がある。「隙間が壁の面積の1%あると、いくら高度の遮音をしても20デシベルまでしか低減できないが、隙間があるのがパーティション。『パーティションで防音室』というのは、これまで無理と言われていました」と西村氏は語る。そこで遮音による防音ではなく吸音性能の向上を追求することによって隙間からの音漏れをできる限り抑えるという方法を選択。現行の試作品では約40デシベル程度の音の軽減ができるようになっている。商品化に向けた開発は屋外広告の仕事で取引の生まれたパーティションメーカーと共同で行っており、この性能なら商品化も可能だということで同社のカタログにも掲載されている。
 小松氏は「今後の課題はコストカット。現状だと通常のパーティションの4倍程度になってしまっているので、これをいかに下げられるかが問題です。音に関する悩みを抱えた方は一定数いるため、そうした人たちに訴えかけられるものにしていきたいです」と意欲をみせた。

サンワサプライ 高さ調節が可能な高足式キャスターパーティション
 サンワサプライ(岡山市北区)は昨年11月1日より、自社で運営している直販サイト「サンワダイレクト」で、スペースの間仕切りなどに最適で高足式で障害物があっても設置・移動がしやすく、光を通す半透明タイプのオフィス向けパーティション「パーティション(オフィス・間仕切り・高足キャスター・高さ160cm/170cm/180cm)100―SPT016」を発売している。
 同製品は、デスクやミーティングテーブルの横に置いて使いやすい、キャスター付きのパーティションである。パーティションの高さは、160cm/170cm/180cmの3段階で調整可能であり、着席時などには160cmの高さにしたり170cmの高さにして起立時まで完全に顔を隠すなど、状況に合わせて設置・調整が可能となっている。地面からパーティションまでの高さは、パーティションの高さに合わせて10cm/20cm/30cmと調整可能。一般的なパーティションと異なり来客時なども足元が見えやすいので対応しやすく、入り口の目隠しにも最適な製品となっている。また、障害物があっても床面のケーブルやケーブルカバーをかわして設置できるというのも利点だ。
 キャスターは、4つのうちの2つはストッパー機能付きで固定時などに適しており、パネルはプラダンを採用した半透明タイプとなっている。仕切られた空間が暗くならないように光を通し、透け過ぎないのでプライベートを守りつつ明るさも確保できるようになっている。  同製品のサイズは、W836×D397×H1600/1700/1800mmで重量は約6・3kg、パーテーションサイズは、W805×D21×H1500mm。フレームはスチール製(エポキシ樹脂粉体塗装)となっている。販売価格は 直販サイトであるサンワダイレクト本店で1万1019円(税抜)となっている。




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